神保町写真教室の教科書「写真総合」by 岡嶋和幸先生
仕上がり設定（カメラ基礎：色）
2017年7月5日 07:34
一歩進んだ“自分らしい”“伝わる”写真表現が学べる「インプレス・フォトスクール 神保町写真教室」。その分かりやすく実践的な講座内容に定評のある岡嶋和幸さんが12回にわたって本誌Web特別講座を連載。写真撮影の基本となるピント、露出、色、レンズ、光、構図、そして実践的な撮影方法の中からトピックを厳選してお届けします。（編集部）
好みの画作りを選べる「仕上がり設定」
フィルムカメラでは、撮影で使用するフィルムを使い分けることで、イメージや好みに合った仕上がりが得られるようになります。デジタルカメラでは「仕上がり設定」のプリセットモードを使い分けるだけで、同様に写真の印象を変えることができます。
コントラストや彩度などの設定がプリセットされたもの
色や調子など写真の画作りをコントロールするのが「仕上がり設定」です。メーカーによってその呼び方は異なりますが、基本的にどのデジタルカメラにも搭載されている機能です。コントラストやシャープネス、彩度などのパラメーターがあらかじめプリセットされたモードが用意されていて、被写体やシーン、撮影意図などに応じてそれらを使い分けたり、自分好みの画作りにパラメーターを微調整をすることが可能です。
仕上がり設定のプリセットモードの種類はカメラによって異なります。各モードの名称もメーカーによって違ったりしますが、［スタンダード］［ニュートラル］［ビビッド］［モノクロ］［人物］［風景］に相当するものはほとんどのカメラに用意されています。この他にも個性的な画作りの仕上がり設定を選べる機種もあります。
一般的な被写体やシーンでは［スタンダード］で十分に鮮やかで好ましい仕上がりが期待できます。コントラストやシャープネス、彩度は少し物足りないくらいがちょうど良く、条件によっては［ニュートラル］の方が自然でバランスよく感じられることもあります。天候などによっては［スタンダード］だと控えめすぎて物足りなく感じたり、反対にくっきり鮮やかすぎることがあります。
仕上がり設定はメーカーや機種によって画作りの傾向が異なります。同じ［スタンダード］でも、色の鮮やかさやコントラストなどが違っていたりするのです。標準設定が［ビビッド］のようにくっきり鮮やかな場合もあるため、モードの名前にとらわれないで、いろいろ使って最適なものを選ぶといいでしょう。［風景］や［人物］も、その他の被写体やシーンで使用してもいいのです。
多くの被写体やシーンに対応できる［スタンダード］はバランスのとれた仕上がりになります。［ニュートラル］は自然かつ控えめ、［ビビッド］はくっきり鮮やかな仕上がりです。［風景］［人物］は基本的にそれぞれの被写体に適した設定になっていますが、［風景専用］［人物専用］というわけではありません
高度な処理を手軽に楽しめるアートフィルター
デジタルカメラならではの特殊効果を満喫できるのが「アートフィルター」機能です。フォトレタッチソフトなどパソコンでの画像処理では高度な技術を要するようなことが撮影時に簡単にできて、ひと味違ったイメージの写真に仕上げることができます。カメラによって用意されている効果は異なるのですが、被写体やシーンなどに応じて使い分けるなど気軽に楽しむことができます。写真撮影の総合教科書『写真総合』を発売予定！
カメラの基礎から実践、作品制作、展示までを網羅的にまとめた写真撮影に関する総合教科書『写真総合』を発売。その一部を本連載で紹介しています。「インプレス・フォトスクール 神保町写真教室」の公式テキストしても採用予定です。ぜひご期待ください。（編集部）
仕様
『写真総合』岡嶋和幸 著
2017年9月発売予定／定価：本体3,680円＋税
B5変型判／320ページ
内容
第1章 カメラ基礎／第2章 撮影基礎／第3章 撮影実践／第4章 写真制作／第5章 写真表現／第6章 プレゼンテーション／写真関連用語集
※本書の仕様、発売日、内容は変更になる場合があります。
図版制作●村上総、吉光さおり（Kamigraph Design）
イラスト●今道千里