新製品レビュー
キヤノンPowerShot G5 X(外観・機能編)
一眼レフ的デザイン+明るいズームの本格コンパクト
Reported by 礒村浩一(2015/10/30 09:34)
キヤノンから発売された「PowerShot G5 X」は、同社がラインナップするコンパクトデジタルカメラのなかでもプレミアムシリーズに位置するカメラだ。コンパクトデジタルカメラとしては大型である1型のCMOSセンサーを搭載しており、また電子ビューファインダー(EVF)を内蔵したモデルでもある。
1型の撮像素子は、有効約2,020万画素の裏面照射型CMOSセンサーだ。映像エンジンにはDIGIC 6を採用。同時に発表されたポケットサイズの「PowerShot G9 X」と同じ画素数を持つ。なお、PowerShot G9 XにはEVFが搭載されていない。
外観はデジタル一眼レフカメラのミニチュア版といった趣。一眼レフで言うところの“ペンタ部”には、同社の一眼レフデジタルカメラEOSシリーズに共通するデザインのロゴが施されている。
“イチガン”っぽい本格的スタイリングが魅力
大きさは幅112.4×高さ76.4×奥行き44.2mm。質量は約377g(撮影時)と、コンパクトデジタルカメラとしては大柄で重め。ただ一眼レフを日常的に使用している筆者からすると、一眼レフっぽい見た目ながらに非常にコンパクトで軽く感じてしまう。
搭載されたレンズは両面非球面レンズ1枚、片面非球面UAレンズ1枚、片面非球面レンズ1枚、UDレンズ1枚で構成された9群11枚の倍率4.2倍のズームレンズ。焦点距離は35mm判換算24-100mm相当で、F1.8(広角端)〜F2.8(望遠端)と比較的明るいレンズだ。
インナーフォーカス方式で、シャッタースピードにして約3段(望遠端)の光学式手ブレ補正機構を搭載する。
操作性の高いダイヤル、高精細EVFなどで本格撮影にも対応
PowerShot G5 Xはアナログ感覚で操作できるダイヤルによって高い操作性を実現している。背面のコントロールホイールと併せて、EVFを覗きながら指先だけで各種設定を変更可能だ。ホイールには好みの機能を割り当てられる。筆者はレンズ周辺のコントロールリングにステップズームを割り当てて撮影を行った。
EVFには0.39型約236万ドットの高精細な有機ELを採用。アイポイントが22mmあり、メガネをかけた状態でも周囲がケラレることなくファインダー像を見られる。背面モニターと自動で表示先を切り替えるアイセンサーも装備している。
また、アクセサリーシューはEOSデジタルと共通のスピードライトが使用可能。電波無線シンクロ方式のスピードライトトランスミッターST-E3-RTも使える。
EVFの画面表示は、カメラの横位置、縦位置に合わせて表示情報が切り替えられる。表示は精彩で色割れも感じない。ただ初期設定の表示フレームレートでは、カメラを大きく振った際に画像が少し遅れる感覚がある。気になる場合は、EVFと背面モニターの両方の動きをなめらかにする[なめらか優先]と、EVFの設定で[ファインダーの表示]を[高速]にすることで改善される。
約104万ドット3型TFTカラー液晶のバリアングルモニターを採用。ハイアングルやローアングル時にはとても便利。また、バリアングルモニターは縦位置撮影時にも扱いやすい。
モニターはタッチパネル式。画面での操作やタップした位置でのフォーカス&シャッターレリーズができる。
メニュー画面はデジタル一眼レフのEOSシリーズに似通ったデザインと配置となっている。EOSデジタルのユーザーならば戸惑うことなく操作できるだろう。
なお、PowerShot G5 XはUSB充電に対応している。DIGITAL端子にマイクロUSBのケーブルを挿入し、PCのUSB端子や、USB電源アダプターなどからカメラ内のバッテリーを充電できる。
最近はカフェや空港ロビーなど電源スポットが用意されている場所が増えているので、出先などで充電が必要となったときにとても便利だ。また、USB充電と比べて高速な単体バッテリーチャージャーも同梱されている。
Wi-Fi接続でワイヤレス撮影や画像転送に対応
PowerShot G5 Xには、ワイヤレス接続のためにWi-Fi機能が搭載されている。また。より簡単にWi-Fi接続できるNFCペアリングにも対応しており、対応スマートフォンだけでなく、同じくキヤノン製品のストレージ機器「Connect Station CS100」にワンタッチで接続してデータ転送を行うこともできる。またWi-Fiアクセスポイントに直接接続し、インターネット上のクラウドサービスやSNSへの画像投稿も可能としている。
あたらしいクリエイティブ画像の楽しみを提案
PowerShot G5 Xに搭載されたうち、特徴的で面白い撮影モードが「クリエイティブショット」だ。これは正方形スタイルが目を引く「PowerShot N2」などにも搭載されていた撮影モードで、撮影時にカメラが自動的に複数の異なるフィルター効果などを適用して記録するという機能だ。
このモードで作り出される画像は、慣れないうちには違和感も強いものだった。しかししばらく使用していると、自分では決して選択しないような組み合わせが生まれてくるので、なかなかに面白いと感じるようになった。
PowerShot G5 Xはコンパクトながらも一眼レフライクなスタイリングで、見た目も操作系も一眼タイプのカメラを使用しているユーザーにとって違和感の少ない仕上がりになっている。次回は実際に撮影した画像をみながら、このPowerShot G5 Xの描写力を検証したい。