【新製品レビュー】ソニーサイバーショットDSC-TX100V

〜60pのフルHD動画記録が可能なスリムモデル
Reported by 吉森信哉

 この春も、多くのコンパクトデジカメが発売されているが、ソニーのサイバーショットシリーズもそのラインナップが一新された。新開発1,620万画素の裏面照射型CMOSセンサー「Exmor R」を搭載するのは7機種だが、スリムタイプでタッチパネルを採用するTXシリーズは2機種。その中の最上モデルが、今回紹介するDSC-TX100Vである。

 発売は3月4日。実勢価格は4万2000円前後。カラーバリエーションはレッド、ブラック、シルバー(ソニーストア限定)。

 搭載するレンズは、35mm判換算で25-100mm相当の光学4倍ズームレンズ(屈折光学系)で、カールツァイス「バリオ・テッサー」の称号が与えられている。

 大画面3.5型ワイドの背面モニターには、サイバーショットでは初となる有機ELを採用。ドット数は約122.9万相当。高コントラストかつ広色域により、鮮やかな色再現や滑らかな動画再生などが可能になる。また、静電容量式タッチパネルを採用しているので、画面に軽く触れるだけで操作できる。

 動画機能に関しては、ほかの1,620万画素搭載サイバーショットと同様、AVCHD準拠のフルHD動画(1,920×1,080/60i)撮影機能を搭載するが、DSC-TX100Vはさらにハイクォリティな1,920×1,080/60pでの動画記録も可能である。

 動画撮影中の低照度時の画質も向上していて、暗い室内や夜景などでも、ノイズを抑えた動画が撮影できる。

 昨年モデルのDSC-HX5Vでも話題になった「GPS・コンパス機能」も搭載しているので、撮影時の位置情報と方位情報が記録できる。そして、その情報が記録された画像は、付属ソフト「PMB」(Picture Motion Browser)のマップビュー上に表示させることができる。

 先進的な撮影機能もいろいろ搭載している。36パターンのシーンを認識し、自動で最適な設定に自動調節される「プレミアムおまかせオート」。顔・動き検出に対応する「スイングパノラマ」。4,290万画素にもなる高精細なパノラマ撮影が作れる「パノラマHRモード」。「3D静止画」、「3Dスイングパノラマ」、「スイングマルチアングル」という3D写真撮影機能。1回のシャッターで2枚撮影し、背景にぼかし処理をおこなう「背景ぼかしモード」、などである。

 画像処理エンジンは、デジタル一眼カメラ“α(アルファ)”と同名の「BIONZ(ビオンズ)」。ノイズ感を抑えた高感度撮影、高精度なフォーカシング、露出やコントラストの最適化、色再現性や色ノイズ低減の向上など、BIONZは多方面にわたって貢献しているという。


28Mbpsの60pフルHD動画記録に対応

 撮影機能での大きなトピックは、AVCHD規格の枠を超える1,920×1,080/60pのフルHD動画撮影機能を搭載したことだろう(ソニー独自規格)。この撮影モードの略称は「28M PS」で、ビットレートは28Mbps。走査線を交互に送り出すインターレース方式と比べると、スポーツ競技など動きの激しい被写体についても、高品質な再生が期待できる。ソニーによると1080/60pはコンパクトデジタルカメラとして世界初であり、その後続いて投入するDSC-HX9VとDSC-HX100Vにも搭載されている。

 これ以外にも、AVCHD準拠の「24M FX」(1,980×1,080/60i、24Mbps)、「17M FH」(1,980×1,080/60i、17Mbps)、「9M HQ」(1,440×1,080/60i、9Mbps)を選択できる。

 また、MP4方式として「12M」(1,440×1,080/30fps)、「6M」(1,280×720/30fps)、「3M」(640×480/30fps)も用意されている。

 ちなみに、従来モデルのサイバーショットDSC-TX9では、「28MB PS」はもちろん、「24M FX」もなくて、最高が「17M FH」となっていた。その点だけでも、DSC-TX100Vの動画性能の高さをうかがい知ることができる。

ステレオマイクは本体上部に移動したHDMI端子も備えている

 ただし、構造上の制約だろうが、DSC-TX100VをはじめとするTXシリーズには、動画撮影時のブレを抑える「光学式手ブレ補正(アクティブモード)」が搭載されていない。正直その点には物足りなさを感じてしまう。

 なお、24M FXはAVCHD規格に準拠していない。そのままではブルーレイディスクに記録することはできない。AVCHD規格に変換してコピーすることになる。そういった点をどう評価・判断するかは、撮影者の動画撮影に対するスタンスや、その動画データを扱う環境によって変わってくるだろう。もちろん、HDMIケーブルで1080/60p対応のテレビに接続すれば、高精細で滑らかな動画再生を行なえる。

28M PS、24M FXを選択すると、それぞれ警告メッセージが表示される

スリムモデル初のGPS機能も搭載

 静止画の撮影機能では、すでに従来モデルで定着している「スイングパノラマ」に、より高解像な「高解像」モードが加わった。従来モデルのDSC-HX9などは「標準」と「ワイド」があり、ワイドの上下(スイング)で撮影すると4,912×1,920ピクセルと、けっこう高解像になる。だが、DSC-TX100Vの「高解像」モードだと、カメラを縦に構えて左右にスイングすることで、10,480×4,096ピクセルのパノラマ画像が作成できる。

 3D関連の撮影機能も搭載されている。3D対応テレビで立体的に見えるパノラマ画像が撮影できる「3Dスイングパノラマ」と、カメラを左右に傾けて立体的に見ることができる画像と3D対応テレビで再生できる画像を撮影する「スイングマルチアングル」。この2モードはDSC-TX9などにも搭載されているが、DSC-TX100Vではスイング方式ではなく通常の静止画方法で撮影する「3D静止画」というモードも加わった。

 GPS・コンパス機能も搭載されている。PMB(Picture Motion Browser)経由で「GPSアシストデータ」を取得できる点も同様だ。サイバーショットの薄型モデルとしては、初のGPS機能搭載モデルとなる。

薄型タイプのサイバーショットとして、初めてGPS・コンパス機能を搭載

 だが、GPSアシストデータをもってしても、特定の場所や周囲の状況によっては、あまり改善が見られないこともあり、屋外の開けた場所で測位したとしても、これまでと同様、測位完了まで比較的時間がかかる。そういう場合、DSC-HX5Vも含めた従来のGPS搭載モデルだと、位置情報の更新が完了するまで、以前に取得した古い位置情報が撮影画像に記録されることが多かった。

 だが、DSC-TX100Vも含めたこの春発売のGPS搭載モデルでは、新たな位置情報が取得できない場合には、位置情報が記録されない仕様らしい。今回の撮影中、何度かそういうケースに遭遇した。まあ、誤った位置情報を記録されるよりはましだろう。撮影場所や状況を覚えていれば、あとからマップビュー上で位置情報や方位情報を付け加えることも可能である。

撮影時に位置情報が取得できた画像は、再生時に画面左側にその情報が表示される
撮影時に位置情報が取得できなかった画像は、PMBの「マップビュー」画面にドラッグ&ドロップすると追加できる
後から手動で位置情報を付け加えた画像は、当然だが画像プロパティにもその情報が反映される

タッチパネルが静電容量式に

 現在のサイバーショットのうち、「TX」タイプはスライド式のレンズカバーを搭載したスリムなボディが特徴的。また、機能面ではタッチパネルの採用が挙げられる。ボクも「TX」タイプのカメラを普段から使用している。2010年3月に発売されたDSC-TX5である。だから、スライド式レンズカバーには慣れているのだが、今回のDSC-TX100Vのレンズカバーは、どうも勝手が違う。DSC-TX5のカバーよりも、スライドさせるのに強めの力が必要で、しかも摩擦の少ない表面処理になっているため、片手の指で開けるのが難しいのである。しかも、開く際に指がかけられるようなパーツも見当たらない。まあ、簡単に開閉してしまうのも困るのだが、ここまで開けにくいと、速写性面では少し問題かもしれない。ちなみに、今回ボクは、両手の人差し指を使い、「両方でシャッターを押すような恰好」でカバーを開けるようにした。

 前述の通り背面モニターには、3.5型ワイドの有機ELをサイバーショットで初採用。タッチパネルは感圧式から静電容量式になった。だが、ボク個人の印象としては、「まだ触ってないのに反応したよ!」ということが起きうるのが気になった。いや、実際には触ったのだろうが、その感覚が本人にはわからなかったりするのだ。今回のレポート用の撮影でも、電車の車窓風景を動画で撮影しよう構えている(画面上の録画ボタンに指を近づける)最中に、いつの間にか録画がスタートしていた……という事が何度かあった。その反対に、力強く押しても反応しないことがある。ボクは、従来のタッチパネルを採用しているDSC-TX5を使い使い続けており、そのタッチ感覚に不満はないのだが……。ただし、このあたりの感覚や評価は、使う人によって違ってくるだろう。

 さらに気になったのは、操作レスポンスがイマイチな点である。まず、動画スタートのタイムラグの問題。静止画モードで画面上の録画ボタンのアイコンにタッチしても、実際に録画がスタートするのは約6秒弱。事前に録画モードに切り換えておけば、その時間は約2秒弱、まで短縮される(いずれも実測値)。シャッターチャンスを見つけて(または備えて)操作をしても、けっこうな確率で撮りたい瞬間を逃してしまうことが多かった。高画質な動画をウリにするモデルだけに、ちょっと残念な点である。動画撮影を重視する使い方をするなら、事前に動画モードに切り換えておくようにしたいものだ。

静止画モード(4:3)では、3.5型ワイド画面の左右に黒枠ができて、その左側の黒枠内に録画ボタンのアイコンが配置できる。だが、静止画モードで動画を撮ろうとすると、録画ボタンをタッチしても約6秒弱(実測値)後でないと録画が開始されない。撮影モードを、動画モード(16:9)に切り替えておけば、そのタイムラグは4秒くらい短縮できる

 ちなみに、光学10倍ズームモデルのDSC-HX7Vの動画モードも、同じタイムラグ問題を抱えている。これは新製品レビューですでに指摘されているし、ボク自身も別のレポートで感じた点である。

 もうひとつレスポンスで気になるのが、再生時のサムネイルの表示スピードが遅いこと。画像再生中に一覧表示のアイコンをタッチすると12枚が表示されるのだが(設定により28枚も可)、その全画像が表示されるのに、けっこうな時間を要するのである。

 この2つ問題は、今後のファームアップによって改善されることを望みたい。

再生時に一覧表示アイコンをタッチすると、画面上には12枚の画像が表示される。その待ち(読み込み)時間がけっこう長めなので、ちょっとイライラさせられる。ただし、割と短めな場合もあったりする

動体に強い60p動画

 2009年9月に発売されたDSC-TX1とDSC-WX1。この両モデルにおいて、デジタルスチルカメラとしては世界初の裏面照射型CMOSセンサー「Exmor R」が搭載された。サイズは1/2.4型で、有効画素数は1,020万画素。折しも、コンパクトデジカメのセンサーは「1,000画素から1,200万画素へ。その次は1,400万画素へ……」と、小サイズのまま高画素化を続けていたなかで、この新センサーの登場である。その革新的な構造上のメリットもさることながら、画素数を抑えながら高感度性能を重視した点が、多くのユーザーに受け入れられ評価された。

 2010年8月に発売されたDSC-TX9とDSC-WX5では、Exmor Rの有効画素数が1,200万画素にアップされた(サイズは1/2.3型)。その結果、画素ピッチが狭くなるため、高感度ノイズの増大などの画質劣化が気がかりだった。しかし、画像処理技術の向上などにより、ノイズは従来タイプ並に抑えられた。ボク自身も実写比較してみたが、たしかにノイズが増えたようには感じられなかったし「手持ち夜景モード」などの画像をチェックすると、高画素化によって精細感が高上したようにも感じられた。

 そして今回のExmore Rの有効画素数は、1,400万画素台を飛び越して、一気に1,620万画素までアップされた(サイズは1/2.3型のまま)。こうなると、高感度ノイズだけでなく、全体的な絵作りも気になってくるところだ。

 高感度ノイズに関しては、かなり上手に処理されていると思う。そして、全体的な絵作りに関しては、良くも悪くも「割り切った描写だな」という印象を持った。それは低感度から感じられる。ピクセル等倍でチェックしてみると、モノの輪郭部などはエッジの効いたシャープな描写なのがわかる。ところが、少し離れた芝生や植え込みなどきめ細かい部分をチェックすると、何となく筆で塗ったような省略化が見られるのである。ただし、こういった絵作りは、このセンサー特有のものではないし、またそれがすべての絵柄で気になる訳ではない。

 では、コンパクトデジタルカメラ初の1,920×1,080/60p動画のクォリティはどうだろうか。正直なところ、AVCHD規格の最高モード「24M FX」(60i)でも十分ハイクォリティなのだが、さらに上の「28M PS」(60p)だと、水の流れなど動くモノがより滑らかに感じられるし、流れの前を舞う水飛沫の細かい様子などもハッキリ確認できるように感じられた。また、低照度での撮影でも暗くつブレることなく、比較的クリアに写し出されるのである。もちろん、これらはコンパクトデジタルカメラの動画としては最高レベルのクォリティと言えるし、ヘタなフルハイビジョンビデオカメラを凌駕するかもしれない。


まとめ

 レンズ交換式、レンズ固定式を問わず、デジタルカメラの旬の機能と言えば、真っ先にフルHD動画機能が思い浮かぶだろう。だが、実際に撮影してみると「これは積極的に使う気にならないなぁ」と、ガッカリさせられるカメラが少なくない。映像や音声のクォリティはもちろん、撮影時に光学ズームが使用できない、撮影時にズームすると大きくフォーカスが外れてしまう、撮影中にAFが機能しない、またはAFが機能しても小刻みにフォーカスが迷う……といった、動画撮影用の資質を満たさないカメラが実に多いのである。

 ソニーは、ビデオカメラ「ハンディカム」で、動画撮影に関する技術的なノウハウを蓄積してきたメーカーである。サイバーショットのフルHD動画撮影も、上記の条件はだいたいはクリアする。そのうえで、今回のDSC-TX100Vのように、1,920×1,080/60pの撮影モードを採用することで、さらなる高画質化を図ってきた。それだけに、静止画モードでの動画スタートのタイムラグの大きさや、再生時の操作レスポンスがイマイチなのが、何とも残念な点である。

 とはいえ、シャツのポケットにも楽に入るスリムなカメラでありながら、高性能なフルHDビデオカメラに迫る高画質な動画撮影が可能な点は、本機らしい大きな魅力である。

記録メディアは、SDXC/SDHC/SDメモリーカードおよびメモリースティックデュオ系。当然、TransferJet搭載メモリースティックにも対応する。バッテリーはリチウムイオンNタイプ。撮影枚数は約220枚。だが、GPS機能を使用したり、頻繁に動画撮影を行なうとバッテリー消費が激しい。予備バッテリーを用意したい
シーンセレクション(SCN)に含まれるモードは全部で15種類。個人的には、風景、逆光補正HDR、手持ち夜景、の3種類を多用した。
画面左側に並ぶ4つのアイコンは、カスタマイズ機能で入れ替えと並べ替えが可能

実写サンプル

  • 作例のサムネイルをクリックすると、リサイズなし・補正なしの撮影画像をダウンロード後、800×600ピクセル前後の縮小画像を表示します。その後、クリックした箇所をピクセル等倍で表示します。

・画角

広角端 / DSC-TX100V / 2.9MB / 4,608×3,456 / 1/640秒 / F4.5 / 0.0EV / ISO125 / WB:自動 / 4.4mm望遠端 / DSC-TX100V / 2.5MB / 4,608×3,456 / 1/500秒 / F5.6 / 0.0EV / ISO125 / WB:自動 / 17.7mm

・歪曲収差
広角端 / DSC-TX100V / 2.8MB / 4,608×3,456 / 1/160秒 / F3.5 / +0.3EV / ISO125 / WB:自動 / 4.4mm望遠端 / DSC-TX100V / 2.5MB / 4,608×3,456 / 1/80秒 / F4.6 / +0.3EV / ISO125 / WB:自動 / 17.7mm

・感度

 最低感度のISO125から感度を上げていくと、それに合わせて少しづつ画面がざわついた感じになる。それだけに、どの感度までが良好で、どこから問題となる画質なのかの線引きが難しい。ボク個人としては「ISO400くらいまでかな」という印象を受けるが、被写体や絵柄によってはISO800くらいまでもアリかも。さすがに、ISO1600以上になると、ノイズ感よりも細部が省略された描写に違和感を覚えてしまう。

ISO125 / DSC-TX100V / 5.2MB / 4,608×3,456 / 1/13秒 / F3.5 / -0.7EV / WB:太陽光 / 5.2mmISO200 / DSC-TX100V / 5.1MB / 4,608×3,456 / 1/20秒 / F3.5 / -0.7EV / WB:太陽光 / 5.2mm
ISO400 / DSC-TX100V / 5.4MB / 4,608×3,456 / 1/40秒 / F3.5 / -0.7EV / WB:太陽光 / 5.2mmISO800 / DSC-TX100V / 5.0MB / 4,608×3,456 / 1/80秒 / F3.5 / -0.7EV / WB:太陽光 / 5.2mm
ISO1600 / DSC-TX100V / 4.7MB / 4,608×3,456 / 1/125秒 / F3.5 / -0.7EV / WB:太陽光 / 5.2mmISO3200 / DSC-TX100V / 4.8MB / 4,608×3,456 / 1/250秒 / F3.5 / -0.7EV / WB:太陽光 / 5.2mm

 赤色は感度変化による差が少ないように思えるが、人形部分の微妙な色再現や、小物の細部の様子などをチェックすると、ISO800で少し大きめに画質劣化しているように思える。背後の暗い部分に注目すると、ISO1600あたりから顕著にざわついた描写になっており、あまり積極的に使う気にはなれない。
ISO125 / DSC-TX100V / 4.3MB / 4,608×3,456 / 1/10秒 / F3.5 / 0.0EV / WB:自動 / 5.6mmISO200 / DSC-TX100V / 4.3MB / 4,608×3,456 / 1/15秒 / F3.5 / 0.0EV / WB:自動 / 5.6mm
ISO400 / DSC-TX100V / 4.7MB / 4,608×3,456 / 1/30秒 / F3.5 / 0.0EV / ISO400 / WB:自動 / 5.6mmISO800 / DSC-TX100V / 4.4MB / 4,608×3,456 / 1/60秒 / F3.5 / 0.0EV / WB:自動 / 5.6mm
ISO1600 / DSC-TX100V / 4.4MB / 4,608×3,456 / 1/125秒 / F3.5 / 0.0EV / WB:自動 / 5.6mmISO3200 / DSC-TX100V / 4.7MB / 4,608×3,456 / 1/250秒 / F3.5 / 0.0EV / WB:自動 / 5.6mm

・風景(シーンセレクション)

 DSC-TX100Vにはビビッドや風景といった「仕上がり設定」的な機能や、「彩度」などの色調節機能が備わっていない。そこが不満点である。しかし、シーンセレクション(SCN)の「風景」に設定して撮影すれば、通常撮影よりも色鮮やかな印象の写真に仕上げることが可能だ。

プログラムオート / DSC-TX100V / 5.1MB / 4,608×3,456 / 1/1,000秒 / F4.5 / 0.0EV / ISO125 / WB:自動 / 4.4mm風景 / DSC-TX100V / 5.3MB / 4,608×3,456 / 1/1,000秒 / F4.5 / 0.0EV / ISO125 / WB:自動 / 4.4mm

・拡大鏡モード

 通常のプログラムオートだと、広角端で約8cmまでしかピントが合わないが、マクロ設定を「拡大鏡」に設定すると、約1cmまでピントが合うようになる。このマクロ機能はTXシリーズの魅力のひとつである。ちなみに、おまかせオート時にも約1cmまでピントがあう。

プログラムオート / DSC-TX100V / 3.2MB / 4,608×3,456 / 1/800秒 / F4.5 / 0.0EV / ISO125 / WB:自動 / 4.4mm拡大鏡 / DSC-TX100V / 2.8MB / 4,608×3,456 / 1/500秒 / F6.3 / 0.0EV / ISO125 / WB:自動 / 4.4mm

 マクロ設定を「拡大鏡」にして、ピント合わせをタッチによる「追尾フォーカス」に設定する。この追尾フォーカス、被写体が動いても自動でピントを合わせ続けるAFモードだが、被写体とは逆に“カメラ側が動く”場合にも有効である。ここでは、花の中央に集まるシベの部分にタッチして、構図を変えながら何枚か撮影した。

拡大鏡+追尾フォーカス / DSC-TX100V / 2.8MB / 4,608×3,456 / 1/1,000秒 / F4.5 / 0.0EV / ISO125 / WB:自動 / 4.4mm

・背景ぼかしモード

 センサーサイズが小さいカメラの泣き所は、背景がぼけないこと。その背景を画像処理によってぼかす撮影モードが「背景ぼかし」である。ズーム域によって、推奨撮影距離が表示される。効果の度合いは3段階。ここでは中間(標準)の設定で撮影した。

プログラムオート / DSC-TX100V / 5.2MB / 4,608×3,456 / 1/320秒 / F4.6 / 0.0EV / ISO125 / WB:自動 / 17.7mm背景ぼかしモード(Mid) / DSC-TX100V / 4.1MB / 4,608×3,456 / 1/320秒 / F4.6 / 0.0EV / ISO125 / WB:自動 / 17.7mm

・逆光補正HDR

 通常のプログラムオートで撮影した写真と、シーンセレクション(SCN)の「逆光補正HDR」で撮影した写真。かなり輝度差の大きい状況だったが、逆光補正HDRで撮影した方は、暗い室内の様子がよく見えるよう再現されている。

プログラムオート / DSC-TX100V / 2.9MB / 4,608×3,456 / 1/30秒 / F3.5 / 0.0EV / ISO200 / WB:自動 / 4.4mm逆光補正HDR / DSC-TX100V / 3.7MB / 4,608×3,456 / 1/30秒 / F3.5 / 0.0EV / ISO400 / WB:自動 / 4.4mm

 五重塔をシルエットで表現するのではなく、塔の階調もしっかり見せたいと思った。そこで思いついたのが逆光補正HDR。正直、あまり期待してなかったのだが、実際に撮ってみると意外とよい結果が得られた。

プログラムオート / DSC-TX100V / 3.1MB / 4,608×3,456 / 1/30秒 / F3.5 / 0.0EV / ISO800 / WB:自動 / 5.1mm逆光補正HDR / DSC-TX100V / 3.6MB / 4,608×3,456 / 1/30秒 / F3.5 / 0.0EV / ISO640 / WB:自動 / 5.1mm

・手持ち夜景モード

 「手持ち夜景モード」と通常のプログラムオートでの比較。感度はどちらもISO1600だが、手持ち夜景モードの方が低ノイズで滑らかな描写になっている。

プログラムオート / DSC-TX100V / 3.2MB / 4,608×3,456 / 1/8秒 / F3.5 / 0.0EV / ISO1600 / WB:自動 / 4.4mm手持ち夜景モード / DSC-TX100V / 2.7MB / 4,608×3,456 / 1/8秒 / F3.5 / 0.0EV / ISO1600 / WB:自動 / 4.4mm

作例

風景 / DSC-TX100V / 4.0MB / 4,608×3,456 / 1/800秒 / F8 / -0.7EV / ISO125 / WB:自動 / 13.8mm風景 / DSC-TX100V / 4.1MB / 3,456×4,608 / 1/800秒 / F5.6 / -0.7EV / ISO125 / WB:自動 / 17.7mm
風景 / DSC-TX100V / 2.7MB / 4,608×3,456 / 1/640秒 / F4.5 / 0.0EV / ISO125 / WB:自動 / 4.4mm手持ち夜景 / DSC-TX100V / 3.0MB / 3,456×4,608 / 1/8秒 / F3.5 / 0.0EV / ISO2000 / WB:自動 / 7.3mm
手持ち夜景 / DSC-TX100V / 2.7MB / 3,456×4,608 / 1/8秒 / F3.5 / 0.0EV / ISO1000 / WB:自動 / 4.4mm
拡大鏡 / DSC-TX100V / 2.9MB / 3,456×4,608 / 1/250秒 / F3.5 / 0.0EV / ISO125 / WB:自動 / 4.4mm拡大鏡 / DSC-TX100V / 2.6MB / 4,608×3,456 / 1/320秒 / F3.5 / +0.7EV / ISO125 / WB:自動 / 4.4mm
DSC-TX100V / 6.0MB / 4,608×3,456 / 1/800秒 / F4.5 / -0.3EV / ISO125 / WB:自動 / 4.4mmDSC-TX100V / 5.5MB / 4,608×3,456 / 1/500秒 / F4.6 / 0.0EV / ISO125 / WB:自動 / 17.7mm
DSC-TX100V / 3.6MB / 3,456×4,608 / 1/640秒 / F4.5 / 0.0EV / ISO125 / WB:自動 / 4.4mmDSC-TX100V / 3.7MB / 4,608×3,456 / 1/400秒 / F5.6 / -0.3EV / ISO125 / WB:自動 / 17.7mm
DSC-TX100V / 3.3MB / 3,456×4,608 / 1/640秒 / F4.5 / 0.0EV / ISO125 / WB:自動 / 4.4mmDSC-TX100V / 5.2MB / 4,608×3,456 / 1/640秒 / F4.5 / 0.0EV / ISO125 / WB:自動 / 4.4mm
DSC-TX100V / 3.6MB / 4,608×3,456 / 1/40秒 / F4 / -0.3EV / ISO125 / WB:自動 / 11.2mmDSC-TX100V / 2.3MB / 3,456×4,608 / 1/400秒 / F3.5 / 0.0EV / ISO125 / WB:自動 / 7.3mm

・動画
  • 動画作例のサムネイルをクリックすると、未編集の撮影動画をダウンロードします。
  • ファイルの拡張子.mt2sは.mtsに変えてあります。
  • 再生についてのお問い合わせは受けかねます。ご了承ください。
AVCHD 28M PS / 33MB / 1,920×1,080/60p
AVCHD 24M FX / 28.2MB / ,920×1,080/60i
AVCHD 17M FH / 21.0MB / 1,920×1,080/60i
AVCHD 9M HQ / 16.0MB / 1,920×1,080/60i
MP4 12M / 16.9MB / 1,440×1,080/30fps




吉森信哉
(よしもりしんや)1962年広島県庄原市出身。東京写真専門学校を卒業後、フリー。1990年からカメラ誌を中心に撮影&執筆を開始。得意ジャンルは花や旅。1970年代はカラーネガ、1980年代はモノクロ、1990年代はリバーサル、そして2000年代はデジタル。…と、ほぼ10年周期で記録媒体が変化。でも、これから先はデジタル一直線!? 自他とも認める“無類のコンデジ好き”

2011/3/22 00:00