新製品レビュー
Apple iPhone 17 Pro
安定の撮影性能はそのままに、望遠カメラを刷新
2025年10月1日 08:00
秋の新スマートフォンシーズンがやってきた。AndroidのGoogle「Pixel 10」シリーズに続き、Appleの「iPhone 17」シリーズが登場した。
今回の新製品としては、本体の薄さが特徴の「iPhone Air」、ベーシックモデルの「iPhone 17」、そしてフラッグシップモデルの「iPhone 17 Pro」「iPhone 17 Pro Max」が用意されている。その中で今回は「iPhone 17 Pro」を取り上げる。
iPhone 17 Pro 主な仕様
- チップ:A19 Pro
- ストレージ:256GB/512GB/1TB
- 広角カメラ:24mm、F1.78
- 超広角カメラ:13mm、F2.2
- 望遠カメラ:100mm/200mm、F2.8
- 外部メモリ:なし
- ディスプレイ:6.3インチ、2,622×1,206ピクセル、460ppi、Super Retina XDRディスプレイ
- 外形寸法:150×71.9×8.75mm
- 重量:206g
48MPになった3つのアウトカメラ
「iPhone 17 Pro」は望遠カメラが12MPから48MPにアップデートされ、ようやく3つのカメラが48MPで統一された。これによって、ピクセルビニング技術による高画質での撮影が楽しめるようになった。8倍時でも光学「品質」での望遠撮影ができる(12MPで記録)。デジタルズームは最大40倍まで可能だ。
1倍時 (焦点距離24mm相当)
- 使用カメラ:メイン
- 仕組み:48MPセンサー全体を使用 (12MP/24MP出力)
- 品質:光学
2倍時 (焦点距離48mm相当)
- 使用カメラ:メイン
- 仕組み:48MPセンサーの中央を12MPでクロップ
- 品質:光学「品質」
4倍時 (焦点距離100mm相当)
- 使用カメラ:望遠
- 仕組み:48MPセンサー全体を使用 (12MP/24MP出力)
- 品質:光学
8倍時 (焦点距離200mm相当)
- 使用カメラ:望遠
- 仕組み:48MPセンサーの中央を12MPでクロップ
- 品質:光学「品質」
高倍率の望遠撮影時、被写体をフレームにきちんと収めるのが難しい。この辺りの操作性と画質はAndroid機のフラッグシップ端末にまだまだ敵わない。
動画撮影機能も向上
ProRes RAWでの撮影が可能になった。高品質なRAW動画撮影が可能で、後処理での柔軟な編集が行える。対応するアプリケーションでホワイトバランスなどの細かい調整ができ、イメージどおりの作品制作が実現する。
またDolby Vision HDRによる、4K解像度で120fpsの高フレームレート撮影に対応。HDR映像の撮影が可能になった。さらにApple Log 2に対応。プロフェッショナル向けのLog撮影ができ、色補正やグレーディングの自由度がアップした。
Genlockに対応し、Blackmagic Camera ProDockを使用して、複数のカメラでの同期撮影が可能になり、映像制作における柔軟性が向上したという。
操作感に変化がない「カメラコントロール」
「iPhone 16」世代で大々的に登場した「カメラコントロール」。ダブルタッチでの「露出」「被写界深度」「ズーム」「カメラ」「スタイル」「トーン」の呼び出しや、シャッターレリーズが可能なボタンだ。「iPhone 17 Pro」にも同様に搭載されている。
カメラライクな操作性を提供することから存在自体の印象は良いのだが、操作のしにくさは相変わらずだ。横位置での撮影時にもう少し外側にあれば、使う機会も出てくると思うのだが……。
実写インプレッション
リニューアルされた望遠カメラの写りは良い。シャープさとディテール感が向上した印象だ。ようやくAndroidフラッグシップ並みの写りを手に入れたと言える。
超広角カメラが担うマクロモード。狛犬が押さえこんでいる玉を撮ったが、細かいディテールをしっかりと写し取っている。
ポートレートモードの境界判定がいまひとつな印象のiPhoneだが、このような形状のものなら大きな不具合は起きにくい。
フラリと立ち寄った餃子店で撮影したギョーザ。それぞれ2倍、4倍、8倍である。シズル感を写し取った。
今回撮影していて気になったのが、やや露出がオーバーめの傾向があることだ。色味も少し暖色系に転ぶ印象を持った。
今回の「iPhone 17 Pro」の特徴といえば、望遠カメラの描写がよくなった、ということに尽きる。遠くのネコも逃げられることなく撮影が可能だ(笑)毛並みの描写と少しだけ出ている舌もしっかりと写し取っている。
超広角カメラの写りも変わらない。寺の門を撮ったが、パースを活かして庇の形状を表現しつつ、銀杏の葉も克明に表現できた
点光源撮影時に発生するフレアとゴーストは改善されていない。このカットでも球形のものが発生している。撮影時にフレーミングに気をつけて対処するしかなさそうだ。
4倍望遠を使用して24MPと48MPでモデルを撮影した。さすがに48MPの描写は圧巻だ。しかし両者を並べて比較すると24MPもかなり健闘している画質だと感じた。目の周囲の精細感やスキントーンが見事である。ふだんは24MPでの撮影で十分だろう。 ※どちらも1,440×1,920ピクセルにリサイズしています
モデルの横顔をポートレートモードで。髪の毛部分の切り抜きもまずまずでボケ感も好印象のカットとなった。
高感度特性の向上により都心部だとなかなかナイトモードに切り替わらない。ライトアップされた橋のたもとにひっそりと佇むサギを狙ったが、雰囲気良く撮影できた。
まとめ
例年のモデルと同じく気軽にシャッターを切っても、おおむね失敗のない写真が撮れる端末に仕上がっている。特にアップデートされた望遠カメラはなかなかの写りだ。
しかし、不安定なホワイトバランスと色調は少し気になった。ソフトウェアアップデートに期待したい。
一方、アルミニウムになったボディは高級感がない。これまでのApple製品が持っていた品位とは少し異なる方向性の仕上げである点が好みの分かれるところだろう。
モデル:吹