新製品レビュー

Think Tank「Story Teller 10」

収納量と取り回しの良さを両立したカメラバッグ

ちょっとしたお出かけ、旅先でブラつくとき、現場で使うかもしれないレンズを持ち歩きたいといった場合、小型のカメラバッグが脳裏をよぎる。今回、購入したものは、Think TankのStory Teller 10。CP+2018で見かけ、撮影現場での利用に良さそう、と購入候補入りしていたもので、いつの間にか店頭に並んでおり、取り急ぎ確保した次第。お気に入りのレンズ+αを持ち運ぶのにちょうどいいショルダーバッグだ。

Think Tankらしい信頼感のあるつくり

Story Teller 10は、中型一眼レフカメラやミラーレスカメラとレンズ数本の収納を前提にしたもので、外寸は26cm×30.5cm×1.5cmと少し縦幅がある。内寸は25cm×28cm×12.5cm。メッセンジャーバッグよりもふたまわりほど小さい感じだ。

価格帯からすると薄っぺらい部材を採用した製品というイメージを抱きがちだが、保護性の高い部材が採用されており、Think Tankらしい作りで安心感につながっている。底面はフラットで固めになっており、自立可能である。重量は約700g。

ショルダーストラップのクッションは長さに余裕があり、サクッと肩がけしやすい。

ハンドルの作りもしっかりしている。写真はレンズが3本入った状態だ。

開口部はフリップタイプ。手前に開くため、機材の出し入れ、レンズ交換が楽。

購入時には中仕切りは2枚がセット済みで、付属の中仕切りは4枚だった。容量からすれば十分だろう。

また、タブレット用のポケットは独立しており、カタログスペックでは10インチまで対応とある。そこでジャケットつきのiPad Pro 10.5インチで試してみたところ、ギリギリ。Apple Pencilホルダーも、という場合は無理だった。タブレット持ち運び派で、かつApple Pencilも収納したい場合は、前面ポケットに収納するのが妥当だろう。

タブレット用ポケットに、10インチクラスのタブレットを入れている場合、α7R III(ILCE-7RM3)をいちおう収納できたが、L型プレートを付けたままでは厳しい。タブレット用ポケットを使用しない場合は、問題ナシで、中型一眼レフカメラを楽に収納できるほどの余裕が生まれる。

フードつきのFE 24-70mm F2.8 GM(SEL2470GM)を楽に収納できたほか、小物入れとブロワーも入れても余裕アリ。

FE 70-200mm F2.8 GM OSS(SEL70200GM)もフードつきでOKだったが、タブレット込みだとギリギリである。

ポケットは小型ながら多く用意されている。前面ポケットは余裕があるつくりで小型ストロボを突っ込んでおくことも可能だ。ファスナー付きの区域もあり、見た目以上にモノを押し込める。

またポケットは3層あり、ある程度の小分けにも対応する。付属のレインコートも前面ポケットに収納されているほか、簡易的なフックもあるため、主だった小物は前面ポケットに収納することになるだろう。

なお、レインコートは取り外しが可能。

マジックテープで取り付けられているだけなので、取り外してキーホルダーをつけておくといったこともできる。

レインコートをつけて実際に濡らしてみた。レインコートにもマジックテープが用意されており、しっかりとバッグを包むことができる。

背面と側面にもポケットが用意されているが、これらは前面ポケットに比べると、オマケに近い。側面ポケットはペットボトルを入れておくには厳しく、スマホやモバイルバッテリー、背面ポケットはあまり分厚いものは入れられない。書類を入れておく程度が上限だ。

またカバー裏にもポケットが用意されている。清掃キットやフィルターを入れておくのによさそうなポケットと、Think TankがいうところのSDカード用ポケットだ。

大きいほうのポケットにはColorChecker Passportやフィルター、清掃キットあたりを入れておける。

なお、背の高いレンズを入れている場合はカバー裏のポケットに入っているものと干渉してしまいがちになる。

SDカード用ポケットはSDカード1枚用のケースを想定しており、ポケットはふたつ。予備のSDカードを入れておくのに利用できるだけでなく、小型のアルカスイス互換プレートも、やや窮屈ながら入れることができた。ダボネジやシューカバーといった小物を入れておくのにもいいだろう。

コンパクトさを活かしてフットワークを確保

なるべくコンパクトな格好で取材先に入りたい時に重宝しているStory Teller 10。同じような用途としてはベストやThink Tankのベルトシステムも候補となるが、クリーンルームウェアを着用する場合もあり、ショルダーバッグがもっとも取り回しがし易い。またハンドル付きで、かつ自立すると尚よいのだが、そういった点でもStory Teller 10は、これらの諸条件を満たしている。

いまのところボディ2台にレンズをつけたまま取材先に入り、都度レンズ交換というケースではStory Teller 10にレンズ3本を入れて、計5本のレンズを持ち運ぶ。もしくは、1本減らしてフィルターや補助アイテムを押し込んでいることが多い。

というわけで、見た目以上に融通が利く。しかしである。展示会の取材となるとパンフレットや書類を突っ込んでおくスペースが皆無であり、本稿を生成しつつ、そろそろメッセンジャーバッグも更新せねばと思っている。沼い。

次の写真は直近の研究所取材時のもので、Story Teller 10を使用した。

構成はα7R II/同 III、FE 12-24mm F4 G(SEL1224G)、FE 70-200mm F2.8 GM OSS(SEL70200GM)、Voigtlander NOKTON 40mm F1.2 Aspherical、MACRO APO-LANTHAR 65mm F2 Aspherical、MACRO APO-LANTHAR 110mm F2.5(コシナから借り受けているが、大変すごくマーヴェラスにいいレンズだ)。

レンズの出し入れもやり易く、レインコートを使用しなくても、ある程度の雨や湧水に耐えるのもイイ感じだ。またスタジオのみでの撮影予定に、急に外でブラついたカットが追加になった場合もStory Teller 10は活躍している。それもあり、サブとしての評価は高い。

メインとしてはどうだろうかと散歩にも使用してみた。Voigtlander NOKTON 40mm F1.2 AsphericalとMACRO APO-LANTHAR 65mm F2 Asphericalとα7R IIIの場合は、軽快に動けるほか、小物入れも押し込める余裕アリ。

ただ上記しているように、タブレットを愛用している場合は、ボディサイズの制限が生じ始める。α7シリーズの場合であれば、L型プレートやグリップを外せばOKだが、取り出す都度、それを付け直すのは面倒でしかなく、ある程度の割り切りが必要だ。ともあれ、ズームレンズ+単焦点でお出かけしたり、GoProなどを主とする場合にもちょうどいい容量。こうした用途なら、まず困ることはないだろう。

まとめ

こういった感じに、筆者は取材時のレンズ運搬用として購入したが、Story Teller 10は小型のシステムを気軽に持ち出すシーンを想定した作りだ。小旅行や散歩にレンズ2本くらいを詰めて出発、な感じである。もしくはバックパックに着替えや長めのレンズを入れて、宿についたらStory Teller 10に必要なものを入れて散策、といったこともやり易い。メッセンジャーバッグほどの大きさは求めていないが、ちょっと多めに突っ込めるショルダーバッグとしてオススメできる一品だ。店頭でチェックしてほしい。

林佑樹

ライター・フォトグラファー。ライター方面はPCやスマホなどの通電モノのほか、ゲーム方面も。写真方面は研究所や研究室、機器の撮影が多めなわりに、ドラマのスチルなども請負中。夏コミのウスイ研究所写真集はメロンブックスとCOMIC ZINに転がっています。