デジカメ動画Watch

【レビュー】今春発売の人気ジンバルカメラを比べる

Insta360 Luna Ultra、Osmo Pocket 4P/4、それぞれの特徴は?

左からOsmo Pocket 4、Osmo Pocket 4P、Insta360 Luna Ultra

いま小型ジンバルカメラ市場で、熾烈なバトルが繰り広げられている。

Insta360 Luna Ultra(以下Luna Ultra)とDJI Osmo Pocket 4P(以下Pocket 4P)は、共に6月に登場した小型ジンバルカメラのフラッグシップモデルである。

両者ともポケットサイズのボディに最大で1型のイメージセンサーを搭載し、クリエイター向けの安定した映像撮影を可能とする点で共通するが、操作性や詳細スペックには明確な違いがある。

加えて今回は、より一般ユーザー向けと考えられるOsmo Pocket 4(以下Pocket 4)についてもあわせて検証する。

基本仕様とハードウェア設計

まず、Luna Ultraが採用するLeica共同開発のデュアルレンズシステムを見てみよう。

Insta360 Luna Ultra

メインカメラは1インチ8Kセンサー(Leica Summicronレンズ、F1.8、20mm相当)、望遠側は1/1.3インチセンサー(F2.0)で、光学3倍ズームを備え、6倍ロスレスズームを含む最大12倍ハイブリッドズームを実現する。

重量は233g(ホワイトは235g)で、着脱式2インチOLEDタッチスクリーンを搭載する点が特徴的である。

バッテリー容量は1550mAhで、最大4時間程度の撮影が可能。

microSDメモリーカード以外に、47GBの内蔵ストレージへも記録できる。

Pocket 4Pもデュアルカメラ構成を採用する。

DJI Osmo Pocket 4P

メインカメラは1インチセンサー(F2.0、20mm相当)、望遠カメラは1/1.28インチセンサー(F1.8、60mm相当)。光学3倍ズームを備え、6倍ロスレスズームを含む最大12倍ハイブリッドズームを実現する。

同じく2眼カメラによる構成だが、Pocket 4Pの望遠レンズにはより明るいF1.8が採用されている。ポートレート撮影時の自然なボケ表現を重視しているのだろうか。

スクリーンは2インチ回転式OLED。

内蔵ストレージが103GBと大容量なのも特徴になる。USB 3.1による高速データ転送(最大800MB/秒)にも対応する。

重量は約230gで、Luna Ultraとほぼ同じ。

バッテリー容量は1,545mAhで、最大約210分の撮影が可能となっている。

Osmo Pocket 4は1インチセンサー(F2.0、20mm相当)のシングルレンズ。ロスレス2倍、ハイブリッドで最大4倍のズームに対応する。

DJI Osmo Pocket 4

カメラ部以外の仕様はPocket 4Pとほぼ同等で、重量は約190.5gと軽量。3機種の中では最も機動性に優れている印象だ。

バッテリー容量は1,550mAhで、最大4時間の撮影が可能。

Pocket 4Pと同様、microSDメモリーカードに加えて、107GBの内蔵ストレージが利用できる。

使い勝手と拡張性

リモコン対応

Luna Ultraの目立った機能の1つとして、スクリーン一体型のコントロール部を取り外し、ワイヤレスリモコンとして使えることが挙げられる。

そこがPocket 4Pに対する優位性と見られていたが、DJIはスマートフォン用のジンバル「Osmo Mobile 8P」(以下Mobile 8P)のコントロール部としても使える「FrameTap」をPocket 4Pのワイヤレスリモコンとして用意してきた。

FrameTapはPocket 4PのVlogコンボに付属するが、Mobile 8Pをお持ちの方ならファームウェアアップデートすることで、Pocket 4Pとペアリングして使えるようになる。

また今後のファームウェアアップデートで、Pocket 4でも使えるようになるとのことだ。

両モデルのワイヤレスリモコン。左はPocket 4Pで使用できるFrameTap(別売、Vlogコンボに付属)だ

コントロール部

Luna Ultraのジョイスティックとズームスライダーは直感的だが、操作感が機械的で少し固く感じる。

ズームスライダーを長押しするとリニアズーム、軽く引くと1・2・3・6・12倍へステップで切り替わる仕組みだ。一気に望遠レンズへ切り替えたいときには、若干不便に感じる。

Pocket 4/4Pの5Dジョイスティックは速度調整が柔軟で、じんわりとしたパンやズーム操作が可能だ。また、専用ズームボタンで一気に3倍や6倍へズームできるのも使い勝手が良い。

さらに、ズームボタン/カスタムボタンを長押しすることで、リニアなズーミングも可能である。

アクセサリー

Pocket 4はOsmo Pocket 3とほぼ同じデザインなので、サードパーティー製も含め、豊富なアクセサリー類をそのまま利用できる。

また、Pocket 4/4PにはLEDのFill Lightが付属。夜間の自撮りなどで活用できる。さらにDJI Micシリーズなど、自社のエコシステムとの親和性が高い。

Luna Ultraも純正のInsta360 Mic Air/Mic Proなどをペアリングして使えるほか、本体付属の着脱式タッチスクリーンにもマイクを1基搭載している。外した状態でもマイクを使用可能だ。

付属の1/4ねじ付きハンドルの底面に、引き起こし式の小型三脚が内蔵されているのも気が利いている。テーブル上での設置も、これだけでかなり安定する。この三脚は、クリエイターキットなどに付属するバッテリーハンドル(別売も可能)にも装備されている。

Luna Ultraの付属の1/4ねじ付きハンドルには小型の三脚が内蔵されている

また、Luna Ultraには別売のスライド式保護ケースやPOVヘッドトラッカーなどのアクセサリーもあり、創造性を広げてくれる。

動画性能

動画の解像度を見ると、Luna Ultraのみが8K30fpsに対応している。とはいえいずれの機種も、常用するのは4K60fpsあたりだろう。

Luna Ultraは4K120fps、Dolby Vision HDR、10-bit I-Logをサポートし、14ストップのダイナミックレンジを実現する。

デフォルトではややビビッドな色味で、SNSなどで映える印象だ。

Leicaの色調(Leica Natural、Leica Chromeなど)を簡単に設定できるため、手軽にフィルムライクな表現を楽しめる。

Pocket 4Pは10-bit D-Log2をサポートし、17ストップという広いダイナミックレンジを実現。色再現性とグレーディングの柔軟性に優れ、プロ向けのワークフローを重視した設計である。

ただし、D-Log2は広角1倍でしか使用できない。望遠レンズや広角レンズのズーム使用時は、14ストップの10-bit D-Logを使用することになる。

画角を比較すると、同じスペック表記でもPocket 4PよりLuna Ultraの方が若干広いようだ。微妙な違いではあるが、自撮り重視ならLuna Ultra、望遠重視ならPocket 4Pが向いているかもしれない。

ジンバル効果によって、歩きながらの撮影でも手ブレを大幅に軽減できる。

カメラを大きく振ってもしっかり水平を維持してくれるため、映像の安定性は抜群だ。

いずれの機種もジョイスティックを押すとトラッキング機能が有効になる。

トラッキング時の画面の動きを比較すると、Pocket 4Pは非常にスムーズなのに対し、Luna Ultraは一瞬遅れて追従するような感覚があり、望遠レンズ使用時には画角から外れてしまうことがあった。

スローモーション撮影はどうか。Luna Ultraの4K120fpsに対し、Pocket 4/4Pでは広角レンズで4K240fpsに対応。望遠レンズでも4K200fpsの高フレームレートで撮影できる。

マクロズームにも対応しているため、昆虫などの撮影にも威力を発揮してくれるだろう。

大型で明るいセンサーを搭載しているため、多少薄暗いシーンでも通常動画で十分明るく撮影できる。

さらに、いずれの機種も低照度撮影に関するモードを搭載しており、利用することでノイズを抑えつつディテールを向上してくれる。

比較すると、Pocket 4Pは望遠レンズ使用時の描写が特に明るくきれいだが、低照度撮影時はズームが効かなくなるのがマイナスポイント。ただしDJIによると今後、ファームアップデートで対応できるよう準備中とのことだ。

Luna UltraはPureVideoモードでも1倍から12倍まで、通常の撮影モードと同様にズーミングできる。

その他の機能

明るい中望遠レンズということで、ポートレート撮影用スチルカメラとして使っても楽しそうだ。

両機種ともに3,000万画素以上の解像度で、JPEG+RAW記録にも対応している。

Pocket 4Pで撮影

Pocket 4/4PのUSBポートはディスプレイアウトにも対応している。ライブ配信用カメラとして利用したり、外部モニターに映像を出力できる。これならフォーカスを外す心配も軽減できるだろう。

両機種に搭載されているパノラマ撮影とタイムラプスにも違いがある。

超広角パノラマ撮影に加え、Luna Ultraでは全天周の360°パノラマにも対応。360°カメラを持っていなくても、景色や室内など動きのない被写体であれば、自動で複数枚撮影して繋ぎ合わせてくれる。

下の360°パノラマはLuna Ultraで撮影したものだ。

タイムラプス撮影では、Pocket 4/4Pは複数の画角を指定したモーションラプスも撮影できる。

気になった点をいくつか

Luna Ultra

ズーム撮影時のオートフォーカスに若干難あり。6倍や12倍で撮影している時に、画角外にある被写体にフォーカスを引っ張られてしまう現象が何度かあった。トラッキングは望遠レンズでは速い動きについて行くのが難しそうだ。

Pocket 4P

現状、低照度モードでズームが効かないのはやはり残念だ。また、自分の環境ではFrameTapとMicを同時に接続できず、折角の望遠レンズとワイヤレスマイクを遠隔操作で活かせい。Bluetoothではなく、Micをレシーバー経由で接続すれば、FrameTapとMicの同時利用が可能だった。

また17ストップダイナミックレンジの10-bit D-Log2が、1倍でしか使えないことにも注意が必要だ。

まとめ

今回3機種を比較してみることで、それぞれの特徴が見えてきた。

とにかくコンパクトに機動性を重視したいのであれば、シングルレンズのPocket 4。アクセサリー類も豊富で、Vlogやライトユーザー向け。

お子さんの運動会やペットなどを撮影したい方には、望遠レンズ搭載の2機種が候補になってくるだろう。どちらを選ぶか悩ましいところだが、オールインワンの「使って楽しいガジェット」を望むならLuna Ultra。

さらに本格的な「カメラとしての機能と性能」を重視するならPocket 4Pが向いていそうだ。

ご自身の利用シーンに合わせて、重視する機能や性能から機種選びをすると良いだろう。

わっき

デジタル・コンテンツ・デザイナー/パノラマ写真家。1999年にフリーランスとして独立。テレビ/映画/ゲームなど幅広い分野の映像制作を手がけ、現在はYouTuber、動画レポーターとしても活動中。