デジカメ動画Watch

【レビュー】Insta360 X6

イメージセンサー、エンジン共にグレードアップ! カメラ内での自動編集も

Insta360からXシリーズのフラッグシップモデルとなる360°カメラ「Insta360 X6」(以下X6)が8月12日に発表・発売された。

前モデルである「Insta360 X5」(以下X5)から大幅な進化を遂げ、画質・バッテリー・AI機能・利便性のすべてにおいて高い水準を実現している。

今回試用したのはX6のエッセンシャルキット(直販価格13万5,000円)。カメラ本体のほかにレンズキャップと収納ケース、充電ケーブル、追加バッテリー、急速充電ケース、自撮り棒(114cm 見えない自撮り棒)がセットになっている。

Insta360 X6 エッセンシャルキット内容物

外観・主な仕様

本体の外形寸法は50×100×40mm、重量約196g。X5よりコンパクトかつ軽量に再設計され、X5より全高が低く、若干幅広い形状となった。

左からX5、X6、Insta360 X4 Air

本体はコンパクトになったが、イメージセンサーは大型化している。360°カメラに特化したソニー製カスタム1/1.1型スクエアセンサーを前後に2基搭載。X5の1/1.28型からスペックアップし、画質の向上にも期待がかかる。

処理能力とAI機能も強化された。4nmプロセス(X5は5nmプロセス)のトリプルAIチップを採用し、計算能力が向上。これにより、リアルタイムでの高度なスティッチング、ノイズ低減、HDR処理、被写体追跡などがスムーズに行えるという。

OLEDタッチスクリーンは2.32インチとX5から少し小さくなったが、最大約1,200nitsの高輝度となり、屋外での視認性が向上している。

従来モデルまでは本体下部にあった録画ボタンやモード切替ボタンがなくなり、タッチスクリーン内の感圧式ボタンに変更となった。

さらに設定で全画面プレスにも対応し、ライダーなどがグローブを装着したままでも扱いやすくなっている。

また本体側面の電源ボタンの下には物理録画ボタンも搭載している。

画面下部のボタン類
全画面プレスで操作中

バッテリーは2,600mAhに容量アップし、8K30fpsの360°撮影で最大約140分の連続録画が可能。(X5は2,400mAhで93分)。急速充電にも対応し、約24分で80%、35分程度でフル充電できる。

またXシリーズ初となる本体内ストレージ(47GB)も備えているので、microSDメモリーカードを用意せず、購入してすぐに使えるのも嬉しい。

防水性能は本体でIP68相当の水深約20mまで対応し、オプションの潜水ケースで最大60mまで拡張可能。

X5/X4 Air同様、破損したレンズの交換にも対応しているので、レンズ交換キットを持ち歩けば、何かあったとき現場で対応できる。

X6のレンズ。X5より直径が大きくなっている
撮影中にレンズが破損したときもレンズ交換キットで対応できる

音声面では、前面以外のマイクにも風切り音を抑えるウインドガードが付くなど改良され、さらにエンジン音などをクリアに収録するというHidden Engine Micを備えている。

スペックアップした動画性能

360°カメラは「周囲をすべて撮影する特殊なカメラ」という印象を持っている方も多いだろう。

X6はその「360°撮影」以外にも、超広角アクションカメラのように使える「シングルレンズモード」、ジンバルカメラの動作を再現する「InstaFrame 2.0」といった、異なる撮影体験が1台に統合されている。

そのためInsta360は、カメラひとつで旅行、家族の記録、アウトドアアクティビティなどの幅広い撮影ニーズに対応可能と説明している。

そしてこれらのすべての撮影モードで色深度10-bitでの記録に対応し、滑らかな階調表現と色調補正の自由度を確保している。さらにI-Log記録に加え、今回からカメラ内でのネイティブDolby Visionにも対応した。より高度なポストプロダクション作業に対応できるだろう。

360°

8Kでの360°記録は、X5の30fpsから50fpsにフレームレートが向上している。

再生・編集側の負荷を考慮すると8K30fpsでの運用が推奨されるが、ここぞという場面でよりスムーズな映像表現が可能となる。多くの場面では8K30fps、スタンダードモードのフルオートHDR撮影が使い勝手が良さそうだ。明暗差の激しいシーンでも白飛び黒つぶれが軽減され、広いダイナミックレンジの映像が記録できる。

シングルレンズ

片方のレンズだけで撮影するモード。背面モニターで見たままを記録するので、通常のアクションカメラやスマートフォンと同じような感覚で撮影できる。360°映像と違いフレームを切り出す作業が不要なので、撮影データ(.mp4)をそのまますぐに使えるのが手軽だ。

こちらは最高5K/60fpsに対応。360°水平維持機能も利用でき、激しいアクションシーンでも構図が斜めにならず、安定した映像が記録できる。

もちろんインカメラでの自撮りや縦動画にも対応しているので、さまざまなシーンに対応できるだろう。

InstaFrame 2.0

これは360°の視野からリアルタイムに画角を切り出し、ジンバルカメラ、例えば「Insta360 Luna Ultra」のような操作感で使えるモード。後編集の段階ではなく、撮影中に被写体を追いかけながら構図やアングルを変えてくれる。

X6単体でも動作するモードだが、今回はアクセサリーの「折りたたみ式内蔵三脚付き自撮り棒」とセットで試してみた。

リモコン部分をX6本体とペアリングすることで手元で録画開始・停止ができるだけでなく、リモコンに付いているジョイスティックで画角を変更したり被写体追従をオンにしたりできるようになる。

撮影中のズームには対応していないが、まさにジンバルカメラと同じような操作感になる。街歩きでのVlogなどに適しているだろう。

低照度での画質もアップ

大型センサーとAIチップの採用で、低照度環境でのノイズ低減とディテール保持もさらに向上した。

低照度撮影用のPureVideoモードを利用すると、暗所でもクリアな映像を実現する。

InstaFrame 2.0を選ぶとPureVideoは使えなくなるが、よほど暗くなければ、通常撮影でもフェイストラッキングが動作してくれる。

360°の静止画撮影も

360°の静止画は最大1億2,000万画素(15,520×7,760ピクセル)と解像度が大幅に向上した(X5は7,200万画素)。

全方位で起こっている瞬間を単に1枚に記録できるだけでなく、露出を変えて撮影した複数枚を合成してくれるHDR撮影や、AEB撮影モード(自動露出ブラケティング)も搭載。JPEGだけでなくRAWでの記録にも対応している。

カメラ内で自動編集してくれる「AIエディター」

さらに注目したいのが自動編集関連のトピックだ。

360°動画は情報量が多いので、後から必要なシーンを選んで編集するにも手間や時間がかかる。ついつい撮りっぱなし素材が増えてしまうという経験もあるのではないだろうか。

新たに搭載された「AIディレクター」は、充電中のX6本体に保存されている映像を自動分析して、カットごとにハイライトを抽出、つなぎ合わせて1つの映像ファイルにする機能。タイトルやBGMも追加してくれる。

動画が完成するとスマートフォンへ通知が届き、アプリ経由で転送してそのままSNSなどに投稿できる。

望み通りの仕上がりでなかったとしても、動画の長さやテーマ、BGMを変更したり、気になるカットを入れ替えるなどの編集も可能。

Vlogやダイジェスト動画などなら、もうAIに編集を任せられる程度に進化している。

360°写真も被写体をAIが認識し、数パターンの画角を切り出してくれる。

360°AI写真フレームの生成例

まとめ

最近のInsta360製品はバージョンアップのたびに新機能が多く盛り込まれてくるが、今回はハードウェアの刷新と共にAI機能もかなり強化された印象だ。

すでに360°カメラという枠を超えて、ライフログを記録する新しい相棒のような存在にもなりつつある。

これにより、プロから一般ユーザーまで幅広い層に対応する完成度の高い機種でありながら、難しそうと尻込みしていたユーザーにも使いやすく進化したといえるだろう。

冒険、旅行、日常の記録から水中撮影まで、あらゆる角度から高品質な映像を簡単に作り出せる魅力的な1台と言える。

そろそろ「360°カメラ」という呼び名自体を改める必要がありそうだ。

わっき

デジタル・コンテンツ・デザイナー/パノラマ写真家。1999年にフリーランスとして独立。テレビ/映画/ゲームなど幅広い分野の映像制作を手がけ、現在はYouTuber、動画レポーターとしても活動中。