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キヤノンがプロバスケ大会で若手フォトグラファーを育成支援
EOS R1/R5 Mark IIで現場を体験
2026年8月14日 11:52
キヤノンマーケティングジャパンは、20代・30代の若手フォトグラファーを対象にした「BLACK SAMURAI SUMMIT 2026 若手フォトグラファー育成キャンプ」を開催した。
バスケットボールの国内大会を舞台に、最新フラッグシップ機材を託して2日間、プロの現場そのものを体験させるという取り組みだ。今回、その様子を取材する機会をいただいたので、当日の現場をレポートしたい。
異なる9つの被写体が、1つのアリーナに集まった
猛暑の中、全国から集まったのは、モータースポーツ、プロレス、競馬、ロックライブ、野球、ウェディング、ラグビーなど、それぞれ異なるジャンルで活動する20代・30代の若手フォトグラファー9名だ。
貸出機は、キヤノンの最新フラッグシップ機「EOS R1」と「EOS R5 Mark II」。レンズもRF15-35mm F2.8 L IS USM、RF24-70mm F2.8 L IS USM、RF70-200mm F2.8 L IS USM Zに加え、RF100-300mm F2.8 L IS USMやRF400mm F2.8 L IS USMといった超望遠まで用意された。キャンプは事前準備の座学から本番の撮影、時間との勝負となる納品作業、そして講評会までを体験する構成。
9人それぞれの背景を聞いていくと、キャリアの積み方も、写真との向き合い方も見事なまでにバラバラだった。すでに自分の機材を担いで第一線を走る者もいれば、家庭の事情で一度プロへの道を離れながらも、休日返上で撮影経験を積み直してきた者もいる。背景の異なる9人が、同じコートレベルに立っていた。
実施の経緯
育成キャンプの舞台となった「BLACK SAMURAI」とは、NBAでも活躍する八村塁選手が立ち上げた、日本の若いバスケットボール選手たちを育成・支援するイベントだ。
キヤノンマーケティングジャパン プロフェッショナルカメラマーケティング部長の市川寛明氏は、この志に深く共鳴したという。「それならば、写真・映像の世界でも全く同じことができないだろうか」。市川氏がカリキュラムに込めたのは「一生の仲間」との出会いだという。
準備が9割、そして二重人格のセレクト
講師を務めたのは、Bリーグ「ファイティングイーグルス名古屋」のチームカメラマンで元アフロ所属、五輪や国際大会も数多く手がけてきた中西祐介氏。開口一番、若手たちに突きつけたのは現実的な数字だった。「撮影の本番現場で自分がコントロールできることなんて、せいぜい1割です」。
国際大会になれば、撮影ポジションは大手メディアに優先されてしまう。そんな現場を乗り切るには、コントロール可能な事前準備に力を割くしかない。「誰よりも早く現場に入り、誰もいない静かなアリーナで光の入り方や距離感をシミュレーションして、自分の気持ちを『ホーム』に整えてから撮影に臨みます」。
さらに突きつけられたのが「30分納品」というプロの掟だ。試合終了から30分以内にセレクトした80枚を納品しろ――そんな要求が日常茶飯事の世界では、どれだけ良い写真でも時間切れになった瞬間に価値を失う。「もっと選びたいという高揚感を捨て、時間内にできる最善を尽くす、冷徹な諦めと覚悟が要る」。
この時間との戦いを支えるのが、中西氏が愛用するセレクトソフト「Photo Mechanic」だ。高速なプレビュー表示とレーティング機能に特化したこのソフトを使い、瞬時に絞り込んでいく。さらにIPTCフィールドに選手名や試合状況などのキャプションをその場で書き込み、メタデータごと納品できるのも大きな武器だという。「スポーツカメラマンがみんな使っている、業界標準のソフト」と中西氏は語る。
「写真をセレクトする時は、撮影した時の高揚感を完全に捨てて、冷徹なデザイナーや編集者の目線を持つ二重人格になることが絶対に必要です」。この切り替えができないと、自己満足の写真しか納品できない。納品データを日付別・選手別にきれいに整理して渡すことも、また次も頼まれる信頼につながる「100%のサービス業精神」だと説いた。
運動会や発表会の撮影でも応用は効く。前日に会場の動線をシミュレーションしておく、撮影後は「見せる相手」の立場で写真を選び直す――この2つを意識するだけで、仕上がりの説得力は大きく変わるという。
コートサイド6人、ファインダーの向こうの集中
当日は多数のメディアも来場するため、撮影エリアは限られている。コートサイドに入れるのは6人まで。9人は前半・後半で撮影ポジションを入れ替え、コートサイドに入れない間は2階の観客席レベルから撮影する回し方だ。本来は1日目に練習用の撮影機会が用意されていたが、こちらはなくなり、9人にとっては2日目がぶっつけ本番となった。
撮影前には「心臓が飛び出しそう」と緊張を見せる参加者もいたが、いざ撮影が始まると表情は一変する。ファインダーをのぞき込み、無言で被写体を追い続ける9人の集中力は、講義で聞いた「二重人格」をそのまま体現したものといえた。
悔し涙が磨く、次の1枚
2日間の撮影を終え、若手たちは30分という制限時間の中でセレクトした渾身の3枚を持ち寄り、中西氏の最終講評に臨んだ。最後まで賞を競り合ったのは川井晴稀氏と黒澤莉子氏で、2人とも優秀作品に選ばれた。
技術以上の財産
2日間貸し出された機材にも、参加者たちから高い評価の声が上がった。「コートエンドからのEOS R1の食いつき、特に選手の瞳やボールをリリースする一瞬を捉える能力は、本当に異次元でした」と振り返る参加者もいた。ふだん使っている機材とは桁違いの被写体追従性に、AFを信じて任せられたことで、選手の動きや表情そのものに集中できたという声も聞かれた。
2日間を終え、市川氏はこう語った。「過酷な現場を共にサバイブした同世代の繋がりこそが、写真の技術以上に一生の財産になるでしょう」。いつか彼らが現場でふと再会した時、支え合える関係になっていること、それこそがこのキャンプの本当のゴールだとした。















