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【レビュー】Osmo Pocket 4P
個人撮影の可能性が広がる「2眼」ジンバルカメラ
2026年6月29日 21:00
話題になっていたDJIのジンバルカメラ「Osmo Pocket 4P」が正式発表され、6月29日から販売が開始された。
Osmo Pocket 4Pは同社初となる2眼スタイルのジンバル一体型カメラだ。ジンバル一体型カメラでは定評のあるOsmo Pocketシリーズの最新モデルにして、同社フラッグシップモデルでもある。
筆者はDJIの中国本社を見学するメディアツアーに招待されたためひと足先に実機に触れており、現地でもブレ補正の安定感や望遠レンズの使いやすさなど完成度の高さを感じた次第だ。
そこで今回は、人物撮影を中心にその実力を改めて探ってみたいと思う。なお正式発表前のファームウェアを使用しているため、製品版とは画質や動作が異なる可能性があることをお断りしておく。また画質はビットレートを「高」に設定している。
有用な60mm相当の望遠レンズ
Osmo Pocket 4Pの大きな特徴は20mm相当の広角カメラに加えて、その3倍となる60mm相当のレンズが付いた望遠カメラが搭載されたことだ。従来モデルはデジタルズームだったが、本機は光学の望遠撮影が可能になった点が大きい。
3倍の60mmを超えると、6倍となる120mmを経て12倍となる240mmまでをデジタルズームで拡大できる。
広角から順に12倍までズームしたのが下の映像だ。ズームのやり方は複数あるが、本体のズームボタンを押すと瞬時に望遠カメラの3倍に切り替わる。そこからズームボタンを2回押すと6倍にズームインする。さらにズームボタンを押し続けると12倍までズームしていく。
またズームボタンを押し続けると連続的にズームインし、隣のカスタムボタンを押し続けてズームアウトすることも可能。そのほかズーム操作は画面のタッチでも行えるほか、ジョイスティックの上下に割り当ててズームレバーのようにも操作できる。これだと一般的なデジカメやビデオカメラのようなズームの感覚になる。
ただし、ズームを連続的に動かした場合はカメラの切り替えポイントで映像が一瞬止まるというか、カクンとなる現象が見られた。今後ファームウェアのアップデートで修正されるとありがたい部分だ。
6倍ズームまでの範囲でも、よく使われる24-70mmや24-105mmといった標準ズームレンズの画角をカバーしているため一般的な記録用途では使い勝手は良いと感じた。やはり光学的な望遠撮影からくる迫力や背景のボケ感はリッチなもので、映像にも深みが出る。
そして6倍からのデジタルズーム域だが、6倍はもとより12倍の映像を見てもさほど荒れている感はなく、この手のカメラとしては常用できそうな画質と感じた。トータルで”20-240mmレンズ”と考えるとポイントが高い。
望遠カメラで動きながら追従
続いては、ブレ補正や人物トラッキングの安定性をチェックした。ここではモデルの周囲を動きながら撮影しており、手ブレ自体はかなり発生している状況だった。
映像を見るとやはりOsmo Pocketらしくかなりブレは抑えられており、望遠カメラでも十分なブレ補正能力があることがわかった。
人物を画面中央に保つように、あらかじめ画面で顔をダブルクリックしてトラッキングを行っている。Osmo Pocket 4Pでは新たに「ActiveTrack 8.0」を搭載し、トラッキング性能が向上したそうだ。
6倍の撮影はかなり画角が狭く顔を捕捉するのは難しいと思われたが、意外と簡単に追尾できたのには拍子抜けしたほどだ。
望遠レンズでまわりながら撮ると、このように背景が大きく動いてドラマチックな映像になる。こうした映像は従来のスティック型ジンバルカメラでは撮影が難しかったシーンの1つだろう。
もしミラーレスカメラで撮ろうとすると、それなりのジンバルが必要だったりとハードルは低くない。凝ったカメラワークにも手軽にチャレンジできる懐の深さを感じるカメラだ。
スローモーションや背景のボケ味は?
本機はスローモーション(ハイスピード撮影)機能も搭載しており、広角カメラでは最大8倍スロー(240P)、望遠カメラでは最大8倍スロー(200P)という超スロー映像を記録できる。
ここでは両カメラが対応している8倍スロー(200P)で撮影してみた。このモードでは記録フレームレートは25Pとなる。またこのサンプルのみ「フィルムカラー」機能で「レトロ」を適用している。
8倍スローということで、かなりゆっくりした映像を撮ることができた。ミラーレスカメラを含めてもここまでのスローを4K撮影できるカメラは多くはないので、クリエイティブな作画には大いに活用できそうだ。
サンプルの後半は3倍望遠で撮影している。圧縮効果も見られ、スティック型カメラで撮ったとは思えない印象的なカットになっていた。望遠カメラのセンサーは1/1.28インチだが、レンズがF1.8と明るめなせいか背景は結構ボケている。
ボケに関してはソフト的な処理はしていないそうで、光学による自然なボケが楽しめるということだ。なお、スロー撮影時はフレームレートにかかわらずズームは3倍までに制限されていた。
ちなみに通常の動画モード時は4Kで60Pが上限となっているので、それ以上のハイスピード撮影はできない。120Pや240Pといったハイフレームレートで記録しておいて、編集時にスロー映像に変換したいというニーズもあると思うので、こちらもファームアップで対応があると魅力は増すと思う。
「D-Log2」でダイナミックレンジを見る
望遠カメラが目立つ本機だが、広角カメラも進化している。センサーサイズこそOsmo Pocket 4と同じ1インチだが、新たにLOFIC技術を用いたセンサーに刷新され、ダイナミックレンジが向上しているという。
LOFIC(Lateral Overflow Integration Capacitor=横型オーバーフロー蓄積容量)センサーは、フォトダイオードからあふれた電荷を貯めておける”バケツ”を備えたセンサー。電荷の飽和を防ぐことで白トビを軽減できるといったメリットがあり、一部の高級スマホでも採用されつつある。
これにより、Osmo Pocket 4Pの広角カメラは17ストップのダイナミックレンジとアナウンスされている(望遠カメラは14ストップ)。10ストップ台前半とされるミラーレスカメラに比べてもかなりダイナミックレンジが広く、数字の上では高価なシネマカメラに匹敵する。
そのダイナミックレンジを最大限に活かすには、新しく採用されたカラーモード「D-Log2」で撮影する必要があるようだ。サンプルはD-Log2で撮影し、公式の「D-Log2からRec.709に変換するLUT」を適用した。
LUTを適用しただけだと左のビルの上の方や奥の店内が白トビしているが、DaVinci Resolveでグレーディングしたところハイライトの情報が戻り、白トビを抑えることができた。
Log収録になるので後処理が必要にはなるが、一般ユーザーが手にできるカメラとしては異例のスペックといえる。
注意点としては、D-Log2に対応しているのは広角カメラだけということ。そのためD-Log2に設定するとズームは無効になる。一方で従来からある「D-Log」は両方のカメラで使えるため、望遠カメラも使いたいというLog収録にはD-Logを使うことになる。
このあたり、センサーの種類が違うためか少々ちぐはぐ感もあるが、映る範囲の広い広角カメラのほうが広ダイナミックレンジセンサーの恩恵を受けやすいという判断なのだろう。ゆくゆくは望遠カメラもLOFICやD-Log2に対応してほしいというのが正直な思いではある。
大容量メモリ内蔵でコスパも◎
「Osmo」と言えば、スティック型ジンバルカメラのパイオニアとして2015年から実績を積んできたシリーズだ。3年前に登場した「Osmo Pocket 3」はハイレベルな性能で今でも評価が高いし、今年4月に出たOsmo Pocket 4も好調なセールスと聞いている。
デュアルカメラ化で、これまでジンバルカメラが苦手としてきた超望遠撮影も手軽に行えるようになった。広角と望遠が両方撮れることで絵にバリエーションが生まれ、作品として編集しやすいメリットも生まれる。同じ画角でカットを繋ぐこと(ジャンプカット)を避けられるのは大きい。
そしてLog記録の使いこなしによって、これまで以上に高品質な映像も作れそうなポテンシャルも感じた。自撮り中心のVlogカメラから、”他撮り”もできる作品制作用カメラに進化したとも言える。
進化ということでは、将来的には2つのカメラによる同時記録ができるとかなり面白いカメラになりそう。現在はまだ技術的に難しいようだが、2つのファイルで後からマルチカム編集できるといった夢も広がる。
ベーシックな「スタンダードコンボ」が9万9,000円と10万円を切ることから、性能を考えるとコスパは悪くなさそうだ。
例えば内蔵ストレージは103GBと大容量で、4K30Pだとビットレートが「標準」で4時間47分も記録できる。メモリーカードが高騰している昨今、カード不要で使えそうなほどの内蔵ストレージはありがたい。
いろいろな可能性を感じる新機軸のカメラだけに、これから増えるであろう使い手のアイデアや工夫がいまから楽しみだ。
モデル:進藤もも









