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DJI Osmo Pocket 4

向上した画質と操作性 定番ジンバルカメラが手堅く進化

DJI Osmo Pocketシリーズは、ポケットサイズのコンパクトなボディに3軸メカニカルジンバルを搭載したハンドヘルドカメラとして、Vlogや日常撮影に最適な製品である。

2023年に発売されたOsmo Pocket 3は、1インチCMOSセンサー搭載により大幅な画質向上を実現し、発売から2年以上が経過した現在でも根強い人気がある。

今回試用した「Osmo Pocket 4」は、Pocket 3の強みを継承しつつ、操作性・バッテリー・動画性能の洗練を図った「進化版」として位置づけられる。

革新的なアップデートというよりは、画質や使い勝手を重視した実用的なアップデートが中心といえるだろう。

外観・仕様など

今回試用したのは「Osmo Pocket 4 クリエイターコンボ」で、基本セットとなるスタンダードコンボに広角レンズ、DJI Mic 3、専用補助ライト、ミニ三脚、キャリーバッグが付属している。

開封してすぐに気づくのがケースの有無。Pocket 3で標準搭載となっていたハードケースがなくなり、ジンバル部を保護するコンパクトなクランプになっていた。

個人的にはこれはちょっと残念で、小さくてなくしやすい広角レンズやフィルターを収納する場所がないので、持ち運びに工夫が必要そうだ。

ちなみにPocket 3のハードケースにPocket 4を入れてみようとしたところ、微妙に寸法が違ってきっちりハマらなかった。

本体サイズはPocket 3の139.7×42.2×33.5mmからわずかに大きくなり、Pocket 4では144.2×44.4×33.5mm。重量も179gから190.5gに増えているが、手に持ったときの変化はほとんど感じられない。

ジンバル可動範囲はPocket 3から変更なし。残念ながらパン軸方向の360°回転には今回も非対応だ。

背面モニターは引き続き、解像度556×314ピクセルの2インチ回転式OLEDタッチスクリーン。ただし画面輝度が700ニトから1,000ニトへと明るくなり、視認性が向上している。

操作性において最も向上したのは、2つの物理ボタンの追加である。

Pocket 3でのズーム操作は、主に背面モニターやスマートフォンアプリ上であったのに対し、Pocket 4には専用のズームボタンが搭載された。さらにその隣には、カスタマイズ可能な機能ボタンが設けられている。どちらも背面モニターを横にすると現れる。

ズームボタンを1回押すと1倍と2倍ズームを瞬時に切り替えられ、2回押せば一気に4倍までズームできる。遠くの景色や人物にフォーカスしたい場合に重宝する。

機能ボタンには様々な機能を割り当てられる。筆者の場合は、1回押すと補助ライトのON/OFF、2回押すとジンバル位置リセット、3回押すとロックモードの切り替えを行うよう登録した。

ちなみに縦動画を撮影するときは背面モニターを縦にして撮影するため、これらの新しいボタンにアクセスできないのでは? と思ったところ、横画面のまま縦動画を撮影する設定もあるので大きな問題はない。

本体内蔵マイクは3基で同じだが、4チャンネル出力&立体音響に対応。

クリエイターコンボに付属するマイクはMic 3であるが、もちろんMic 2やMic Miniなどもペアリング可能だ。

さらに最近のDJI製カメラと同様に、107GBのストレージを内蔵するようになった。購入してすぐに撮影できるのは嬉しい。とはいえパソコンでの編集を考えると、microSDメモリーカードに記録した方が使い勝手は良いだろう。

ちなみに、本体およびバッテリーハンドルのUSB Type-Cポートは、USB 2.0からUSB 3.1になっている。PCに直結してデータ転送をしていたのなら、速度アップを感じるかもしれない。

本体のバッテリー容量は、Pocket 3の1,300mAhよりも大きい1,545mAhになった。急速充電にも対応し、動作時間も240分と向上している。

アクセサリーのPocket 4用バッテリーハンドルは容量1,080mAh(Pocket 3用は950mAh)。

端子位置や形状はほぼ同じなので、Pocket 3用のバッテリーハンドルをPocket 4に装着しても使えた。

動画撮影

イメージセンサーはPocket 3に搭載されている1インチCMOSの改良型で、新たに10bit D-Log プロフェッショナルモードにも対応した。

同時にダイナミックレンジも14ストップにアップグレードし、より柔軟なグレーディングが可能となる。

レンズはPocket 3と共通。35mm判換算20mm相当の焦点距離やF2.0の開放F値、0.2mの最短撮影距離も変更なし。

1インチのイメージセンサーにより、一般的なスマートフォンのカメラでは得にくい、背景ボケを使ったシネマティックな映像が撮影可能である。

またタッチ画面右側を上下にスライドさせることで、シームレスなズーム操作も可能。ただし2倍通過時に一瞬引っかかりがある。

ズームを多用する場合は、設定でジョイスティックの上下操作に変更も可能。その際、チルト制御がタッチ画面のスライド操作に入れ替わることになる。

【DJI Osmo Pocket 4:歩きブレ補正とズームボタン】

被写体追従性能はActiveTrack7.0にアップグレード。画面上で被写体をダブルタップするだけで、人物だけでなく車両やペットなどあらゆる物体をトラッキングする。

自撮りの際には顔検出モードが起動し、自動でトラッキングが開始される。ジョイスティック操作で捕捉先を設定できるので、ひとりレポートなどでも簡単に画作りができる。

また新たに追加された「被写体ロック追跡」機能により、検出した顔を手動で選択してロックできたり、「登録被写体優先」機能で事前に登録された顔を自動的に優先してトラッキングすることも可能だ。

【DJI Osmo Pocket 4:トラッキング】

通常ビデオ撮影では最高で4K(16:9)3,840×2,160/60fpsとPocket 3から変わらないが、スローモーションは4K/240fpsに強化された。

【DJI Osmo Pocket 4:240fpsスローモーション】

9:16の縦動画は3K1,728×3,072/60fpsまで対応。これもPocket 3と同等だ。

10-bit D-Log MやHDRも継続・強化され、低光量時のノイズ低減やダイナミックレンジの改善が期待される。ビットレートや処理エンジンの最適化により、全体的な画質の一貫性も高まっているという。

静止画撮影

ジンバルカメラという特性上、あまり静止画撮影には使われないのかもしれないが、Pocket 4では記録解像度が940万画素から3,700万画素へと大きく増加している。

DJI Osmo Pocket 4/7.08mm(20mm相当)/プログラムAE(1/400秒、F2.0、±0.0EV)/ISO 50

内蔵ビューティーフィルター(美肌フィルター)も搭載し、カメラ内で肌を滑らかに、トーンを明るく調整可能だ。

さらに新機能としてライブフォトの撮影もサポートした。iPhoneに取り込んでみるとライブフォトとして認識され、長時間露光などの効果を反映できる。これで人混みを消したり、光の軌跡や水の流れを幻想的に表現できる。

iPhoneにPocket 4で記録したライブフォトを読み込んだところ

また従来通り、ジンバルの特性を活かした2種類のパノラマ撮影にも対応している。

DJI Osmo Pocket 4/パノラマ撮影

低照度撮影と補助ライト

感度は写真/動画ともにISO 50-12800(Pocket 3はISO 50-6400)に向上、さらに低照度モードではISO 25600(Pocket 3はISO 16000)まで上げられる。

Pocket 3でも十分明るくきれいだったが、さらに向上してより自然なトーンで記録できるようになった。

クリエイターコンボに付属する補助ライトは、単体でアクセサリーとしても購入可能

ジンバル部背面に電子接点が搭載され、マグネットで装着してカメラ本体から電源供給して使用する。上部にはボタンが2つあり、色温度と照度を変更可能だ。

【DJI Osmo Pocket 4:低照度撮影と付属の補助ライト】

このライト、ジンバル部と一緒に回転するので常にカメラと同じ方向を照らしてくれるのはありがたい反面、バッテリー駆動ではないので、取り外してセパレートで使うようなことはできない。

まとめ

1インチセンサー、回転画面、機械式ジンバル、10-bit Log撮影という装備・仕様を持つPocket 3は、いまだに画質・安定性ともに非常に高い完成度である。日常Vlogや旅行撮影で十分満足できるPocket 3ユーザーは、Pocket 4への乗り換えを急ぐ必要はないだろう。

一方、Pocket 4の魅力は「使いやすさの洗練」にある。

物理的なズームボタンやカスタムボタンによる操作性の向上をはじめ、トラッキング精度の向上により撮影時のストレスが減り、よりクリエイティブな撮影に集中できそうだ。このサイズのカメラにして、4K/240fps記録の追加も大きい。

低照度下での画質やダイナミックレンジの改善も、プロユースや高画質志向のユーザーにとって魅力的なポイントである。

総じて、Pocket 4は「Pocket 3の良いところをさらに磨き上げた」アップグレードモデルと言えるだろう。

Vlogクリエイターや、コンパクトながら本格的な映像を求める人にとって、Pocket 4はより快適で長く使えるツールとなりそうだ。

本誌:折本幸治