デジカメ動画Watch

手持ちのモバイルデバイスへのワイヤレス伝送も――送受信機能を内蔵した多機能モニター

Accsoon「CineView M7H Pro」

CineView M7H Pro

今回紹介するのは7インチのポータブル多機能モニター「CineView M7H Pro」。音声、映像のワイヤレスシステムで定評のある中国Accsoonの製品だ。日本国内では、株式会社システムファイブがAccsoonの正規輸入総代理店を務めている。

豊富なモニタリング機能

本当に多機能なモニターなので機能を順に説明したいが、1番の機能としては、高性能なタッチオペレーションが可能な7型ポータブルカラーモニターであるという点だ。

入力は最大4K60pまで対応し、実際の表示解像度は1,920×1,080のフルHD画質で、明るさは最大1,000ニト。特筆したいのは製品1台ごとに色や明るさなどの個体差をキャリブレーション(調整)し、実効測定値のデータシートが封入されていること。

もちろん、調整だけで3桁万円の業務用モニターの品質になるわけではないのだが、色の正確さはトップクラスだと言える。黒の締まりもよく、撮影した映像のイメージを現場でかなり正確に確認できるのが大きなメリットだ。

モニタリングの機能も豊富。ピントを掴みやすくする「フォーカスピーキング」や「フォーカスカラー」、画像の明るさを色で掴みやすくする「フォルスカラー」、色飽和や肌のトーン確認に便利な「ベクトルスコープ」など、業務用モニターばりの機能が搭載されている。

背面。上部の4本のアンテナは取り外し可能。バッテリーはSONY NP-F系を2本取り付けられる。スリムな本体は金属製で、下角の部分はゴム貼りでタフな仕様

実用的な同時レコーディング機能

そしてレコーダー機能。本体内のストレージやSDメモリーカードに、画面に表示した映像を音声ごとそっくり記録してしまえるのだ。

これまでもATOMOSやBlackmagic Design社などにはこのモニターレコーダーがあったのだが、それらは「高画質」の記録を目的に開発されているので、RAWやProRESなど、高画質な代わりに恐ろしくデータレートの高い記録方式が採用されていた。記録媒体の性能と容量にも実質、高いハードルが設けられていたことになる。

だが本製品は一般的なMP4/MP5で記録でき、実用的な高画質を実現しながら安価なSDメモリーカードで長時間の録画が可能。実際の録画はカメラ内ストレージに行い、モニター側で万が一のバックアップ録画が可能なのだ。

ミラーレスカメラでは、ダブルスロットを持つモデルでも動画を2つのメモリーカードに同時記録できるものはまだまだ少ない。こういったカメラでの撮影の信頼性を担保する使い方としてもバッチリだ。

SDメモリーカードを挿入して、映像の録画が可能。また、Androidに準拠したファイル管理機能があるので、カメラなどで記録した画像なども表示できるのは嬉しいポイントだ

また、本製品はAndroidをベースとしたOSで動いているらしく、スクリーンショットの撮影も簡単。スクリーンショットした写真は画面に半透明のオーバーレイ表示もできるので、別日に同じ対象を撮影するときなど、画面を見ながら構図の微調整も簡単。

好きな雰囲気のシネマ風LUTファイルを読み込んで反映させたりも可能。カメラで撮影したSDカードの中の写真を大型画面で確認する、なんて使い方もOKだ。

さらに今回は試せなかったのだが、SONYのFX3などのカメラとの組み合わせでは絞りやシャッタースピード、録画スタート/ストップなどが本モデルの画面タッチでも操作できる。ファームアップで他の機種にも順次対応とのことなので楽しみにしたい。

強力なワイヤレス送受信システム

そして最大の特徴は、無線によるTX(送信機)/RX(受信機)機能を両方とも搭載していること。これまで発売されていた同社の映像送受信システムと組み合せられることはもちろんだが、AndroidやiOSのデバイスに映像を送信してワイヤレスモニタリングの親機として使えるのだ。

運用方法として、まずキャメラマンはカメラや三脚に本製品を取り付けることで、ミラーレスカメラに備わる3.2型クラスの小さなモニターより快適で確実な撮影が可能になる。

そしてインタビューの対象者やディレクター、クライアントのところにはiPadなどのタブレットデバイスをワイヤレスで設置すれば、しっかりと映像を確認しながら撮影/制作が進められるといった使い方ができるだろう。

使い方も簡単だった。まずは本製品のMODEをタッチメニューで「TX」に設定し、タブレットデバイスに「ACCSOON SEE」アプリをインストール。「Wi-Fi」設定で「ACCSOON XX」を選んだら、アプリを立ち上げればすぐに映像がワイヤレス伝送される。

映像のディレイもほとんどの場合で2フレームほどと少なく、リアルタイムで不満を覚えることはほぼなかった。このタブレットデバイスにWi-Fiで映像を飛ばす方法に関して、公式情報に到達距離は明記されていなかったが、20mまでの簡単なテストでは映像の途切れはなく、壁がある環境でもマンションの隣の部屋までは問題なく使えた。

送受信ともに同社のCineViewシリーズ送受信機との組み合わせであれば、最大350mまでの長距離での使用が可能になるとのことだ。

iPad Pro 12.9インチにワイヤレス接続した例。撮影現場においてカメラマン以外の人が離れた場所で、ケーブルに蹴躓く心配もなく大画面で映像を確認できるのは大きなメリット。受信機や追加のモニターを購入しなくても、手持ちのモバイルデバイスでワイヤレスモニタリングが可能になる

今後への期待

これまでになく多機能で高性能なポータブルモニターだが、いくつか気になったこともあった。

1つは、モード切り替えの時間。TX/RXの切り替えをするとAndroidシステムそのものを再起動しなくてはいけない仕様らしく、切り替えに数十秒ほどの時間がかかるのだ。動画収録の現場は機材や点検項目が多く、時間がかかりがちなので早めにモード確認をしておき、慌てることのないよう気をつけたい。

そしてもう1つ、あまりにも多機能なことに関係するのだが、画面に表示されるフォントがとても小さく、読みづらいと感じる場面が多かった。動画収録は暗めの屋内で実施する場合も多く、そうすると眼の瞳孔が開き気味となり、老眼でない人でも小さい文字が読みにくい場合がある。

また、現時点で使われる言語が英語と中国語しかなく、日本語が選べないこと。将来的にファームウェアのアップデートで日本語を追加してくれることを強く望む。

業務用に限りなく近い機能の小型モニターで、しかもレコーディング機能と無線機能を搭載した他にはない製品。1人で撮影する人はもちろんだが、チームで撮影する機会がある人にもぜひ試してもらいたいモニターだ。

本体そのものがタフな設計だが、過酷なシチュエーションでの撮影や、さらなるアクセサリーの追加に便利なケージやフードが別売りで用意されている
吉村永

YouTubeがリリースされる前からネットでカメラ業界情報動画を配信していた「元祖カメラ系動画配信者」。高校生の頃から映像制作に目覚め、テレビ番組制作会社と雑誌編集を経て現在、動画と写真のフリーランスに。ミュージックビデオクリップの撮影から雑誌、新聞などの取材、芸能誌でのタレント、アーティストなどの撮影を中心とする人物撮影のカメラマン。2017年~2020年カメラグランプリ外部選考委員。