デジカメ動画Watch
DJI Osmo Nano
自由度の高いセパレート式 1/1.3インチセンサーを搭載するウェアラブルカメラ
2025年9月25日 12:00
従来のアクションカメラは、文字通りアクション用途中心の耐衝撃や防塵防水の機能を備える小型ビデオカメラという位置づけだった。
だが、これも時代のニーズと共にいろいろ進化してきている。
今はVlogやSNSのショート動画撮影用としてアクションカメラを利用するユーザーがとても増えている。
そんな用途に便利なモデルとして登場したのが「Osmo Nano」だ。
今回試用したのはスタンダードコンボ。セパレートできるカメラ本体と多機能ビジョンドック(以下ドック)のほかに、保護ケースや各種マウント類などがセットになっている。
1番の特徴はカメラ部とコントロール部が分離できること。
実はDJIは以前「Osmo Action 2」というセパレートモデルを発売しているが、「Osmo Action 3」以降は一般的なシンプルなデザインが採用されている。
その後アクションカメラとしての基本性能をブラッシュアップして進化してきたActionシリーズから独立し、今回新たにセパレート式のNanoとして追加された。
セパレート式のカメラ本体に1/1.3型センサーを搭載
センサーサイズは1/1.3インチで、軽量コンパクトながら高品質な映像をハンズフリーで撮影できる。
動画は最大4K60fps。最大143°の超広角FOVにより、あらゆる瞬間を余すことなくフレーム内に収められる。
またコンパクトながらも10-bit D-Log M記録に対応し、ポストプロダクションでのカラーグレーディングの自由度も高い。
本体には64GBまたは128GBのストレージを内蔵しており、本体のみでも撮影が可能。もちろんmicroSDカードにも記録できる。
バッテリーは内蔵型で交換はできない。カメラ単体で最長90分、ドックに接続すると最大200分(1,080p/24fps)の撮影が可能だ。
実際に使ってみるとカメラ単体でのバッテリー消費は速いが、急速充電に対応しているのでこまめにドックに接続すると良いだろう。
セパレート式の恩恵はいろいろあるが、主に以下が挙げられる。
- カメラ部が小型軽量になり、さまざまな場所にマウントしやすい
- 遠隔プレビュー/遠隔操作が可能
今回は別売アクセサリーの「両方向クイックリリース式折りたたみアダプターマウント」も使ってみた。
三脚ネジとアクションカムマウントが一体になっており、サードパーティー製を含めたさまざまなマウントにOsmo Nanoを装着できる。
フィルターはOsmo Nano専用になる。残念ながらOsmo Actionとは径が違うため共用できない。
強力な手ブレ補正と自由度の高い撮影スタイル
手軽に手に持って歩いて撮影してみたが、Osmo Action譲りの強力な手ブレ補正RockSteady 3.0で安定して記録できた。
手ブレ補正モードをHorizonBalancingにセットすると、傾きを±30°まで補正して映像の水平を維持してくれる。
多くの場合はこのモードで撮影すると良いだろう。
派手に動き回るスポーツなどではカメラは小さく軽量な方が使いやすいのは想像しやすいが、Vlogなどの日常用途でも便利な場面はいろいろある。
例えば1人称視点映像。
ヘッドマウントやチェストマウントを利用すれば、カメラを保持する必要がないので両手を自由に使って撮影できる。
チェストマウントは付属のマグネットプレートとクリップを使えば角度調節も自在。そのまま胸に付けるとやや上を向いてしまいがちなので、モニターで確認して調節すると良い。
帽子のつばに装着する完全1人称視点でも同様だ。
このときになんとなく勘で角度調節をするよりも、モニターで確認できるので確実だし、スマホアプリとの接続も不要ですぐに遠隔操作できるのは嬉しい。
登山やサイクリングなどで臨場感のある映像を撮影できるだけでなく、料理動画のように手際を見せたい場面でも重宝しそうだ。
カメラ部を分離すれば52gと軽量。付属のストラップを使って胸元に装着してみた。
今回はゆるいTシャツを着ていたため歩行時にカメラの揺れを感じたが、記録された映像は思ったより安定していた。
よりしっかり固定したい場合はマウントを工夫すると良いだろう。
もっと臨場感のある1人称視点を望むなら、帽子のつばに装着したり、磁気ヘッドバンドにマウントすると効果的だ。
ただし激しい動きや頭の振り過ぎは、視聴時に酔いやすい動画になりがちなので注意が必要だ。
カメラ部を独立して使用できるとなれば、狭い空間での撮影にも向いているし、ラジコンなどに取り付けて迫力ある走行シーンを撮っても面白い。
また、分離した多機能ビジョンドックで遠隔プレビューでき、撮影停止や設定変更も手軽に遠隔操作できる。
これは1人で動画レポートをする際にも非常に便利だ。
画面の向きを入れ替えれば自撮りモニターにもなるので、Vlogger的な使い方にも対応できるだろう。
多彩な撮影モード
スローモーションは4Kの高解像度でも120fps(4X)で撮影できる。1080pでは240fps(8X)だ。
カメラ本体は10m防水だが、ドックはIPX4等級までとなっている。
カメラやドックには三脚ネジが搭載されていないため、自撮り棒や三脚に固定する際はクイックリリースマウントを使用することになる。
これはOsmo ActionシリーズやOsmo 360と兼用できるので、同社製品ユーザーならアクセサリーを共用できる。
また、「DJI Mic 3」などのOsmoAudio対応のマイクを直接2台まで接続できるので、自撮りレポートだけでなく対談などの記録にも重宝するだろう。
タイムラプスやハイパーラプスといった特殊撮影にも対応しているので、これ1つで多くの場面で活躍してくれるだろう。
SuperNightモードを使えば低照度下での描画性能が向上。
真っ暗な田んぼ道でも、車のヘッドライトだけで明るく低ノイズで撮影できた。
まとめ
カメラと画面を分離できる超小型カメラは、1台持っておくと撮影範囲が広がる。分離式とはいえ煩わしい設定が不要なのも使い勝手が良い。
さらに4Kの高解像度で120fpsのスロー撮影ができるのは、アクション用途の映像表現にも効果的だ。
ただし気になった点がいくつかある。
風景と自撮りを頻繁に切り替える場合、そのたびにドックを反転して付け替えなければならないのは少し面倒に感じた。
そうしたときは思い切って分離したまま撮影し、画角は手元で確認するという使い方でも良いのかもしれない。
また、撮影カットを確認する際にはカメラとドックを接続しなければ再生できない。
さらにもうひとつが熱問題だ。このロケ時には3回高温でシャットダウンしてしまった。
当日はカメラを保護ケースに入れて使っていたが、ケースに入れず使用した方が放熱効果は高かったのかもしれない。
初期ロットということもあるだろうが、熱問題はファームアップなどでの対策を望みたい。
通常版となるスタンダードコンボは内蔵ストレージ容量の違いで2種類あり、64GBモデルが4万3,890円、128GBモデルが4万8,730円。さらに用途に合わせたアクセサリーとセットになったモデルもラインアップされている。
プロの現場でもサブカメラとして活躍しそうだ。