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FeiyuTech SCORP Mini 3 Pro

持ちやすい小型ジンバルがAIトラッキングに対応

FeiyuTechの新しいカメラ用ジンバル「SCORP Mini 3 Pro」をレビューする。ペイロードは2kgで、名前に「Mini」と付くように同社のラインナップでは小型のモデルとなる。

ちなみに、FeiyuTechのカメラ用ジンバルはペイロードが3.5kgの「SCORP 3」「SCORP-C 2」、同2.5kgの「SCORP 2」「SCORP-C」および、同1.2kgの「SCORP Mini 2」というラインアップになっている。

軽めのカメラ機材に対応

最新機種ということで、動作時間が14時間に伸びたほか、人物をトラッキングするシステムが「Smart AI Tracking 4.0」になり、トラッキングの角度と反応速度も向上したという。ジンバル自体の安定性も2025年の新しいアルゴリズムになったそうで、安定感も期待できるところだ。

付属品は充実しており、カメラをコントロールするためのケーブル、アクションカム用のマウント、ミニ三脚、そして面白いところではファン付きのスマホホルダーもセットになっている。

ファン内蔵のスマホホルダー。ジンバルからケーブルで電源を取る

基本的なセットアップ方法は、一般的なジンバルと同じだ。各部の調整を順に行って、あらかじめバランスが取れるようにしておく。

最初、α7 IIIにFE 24-105mm F4 G OSS(約663g)で試したのだが、レンズが重すぎたようで動作が不安定だった。そこで今回は、レンズをより軽量なFE 28-60mm F4-5.6(約167g)に変えて試用した。SCORP Mini 3 Proの重量が約1kgなので、ジンバル撮影といっても重装備感はさほど無い。

カメラを搭載したところ

FeiyuTechのジンバルの大きな特徴が、本体から横に出ているスリングハンドルの存在だ。これによってローポジション撮影がしやすくなるほか、持ち運びも大変楽になる。

スリングハンドルが特徴的
このような撮影時に持ちやすい

ハンドルは、外すことでリモコンとしても使える。スマホにアプリを入れればリモコンにはなるが、スマホを撮影カメラにする場合などはこのリモコンが便利だろう。特別な設定は不要で、外すとすぐにリモコンとして使えるのが便利だ。

ハンドルが外れてリモコンになる
ハンドルを外しても状態がわかるLEDも装備
コントローラー部分

作画に有効なマジックホイール

まずは一般的なジンバルの使い方として、歩きながらの撮影を試した。ご覧の通り揺れをよく吸収して安定していた。

【FeiyuTech SCORP Mini 3 Pro:歩き撮り】

FeiyuTech製のジンバルが持つ特徴の1つが「マジックホイール」だ。撮影中にこれを回すとパンやチルト、ロールを細かくコントロールできる。

マジックホイール。ジョイスティックでは操作しにくい微調整もやりやすい
【FeiyuTech SCORP Mini 3 Pro:マジックホイールによるチルトとパン】

また、スリングハンドルを持って低い位置からクレーンのように高くなるカメラワークも試した。最後のところではマジックホイールによる上方へのチルトを加え、滑らかに全身を映すことができた。

【FeiyuTech SCORP Mini 3 Pro:スリングハンドルを生かしたカメラワーク】

また、AIトラッキング機能を使ったジェスチャーコントロールも搭載している。ジンバルにセンサーが搭載されており、例えば手のひらを見せると録画開始、OKジェスチャーだと顔追跡開始といった具合である。

青い部分が人物を認識するセンサーになっている

ライトユーザーの選択肢として

下位にSCORP Mini 2はあるものの、ミラーレスカメラで使うにはSCORP Mini 3 Proが実質的な入門モデルになりそうだ。

ただ、軽量なミラーレスカメラとレンズを使うなら本機でも良いが、少し重めの機材(F4の標準ズーム)や大口径単焦点レンズなどで本格的に使いたいなら上位モデルをおすすめしたいところだ。

気になった部分といえば、キャリングケースがオプションになっていることだろうか。以前レビューした「SCORP 2」はセミハードのキャリングケース付属だったことを考えるとコストダウンの跡も見られる。

化粧箱が収納ケースになっている

そのほかは総じて良くできており、使い勝手も上々だった。スリングハンドルやサムホイールといった機能が画作りをしやすくするため、同社製ジンバルのファンも少なくないのではないかと思うほどだ。

SCORP Mini 3 Proは、価格や重さが手軽なところが売りだと思う。スマホやアクションカムがメインで、たまにミラーレスカメラを使う、しかし作画にはこだわりたいといったユーザーには向くのではないかと感じた。

1981年生まれ。2006年からインプレスのニュースサイト「デジカメ Watch」の編集者として、カメラ・写真業界の取材や機材レビューの執筆などを行う。2018年からフリー。