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レビュー:Insta360 GO Ultra

イメージセンサーが大型化 「ハンズフリーカメラ」のフラッグシップモデル

Insta360 GOシリーズは超小型・軽量のアクションカメラのラインアップであり、2019年に初代Insta360 GOが発売されて以来、進化を続けている。

一般的なアクションカメラとは異なり、親指サイズのコンパクトさと軽量さが最大の特徴である。

今回試用したのは、最新モデル「Insta360 GO Ultra」だ。

GOシリーズの特徴である超小型・軽量を継承しつつ、デザインを一新し、より高性能なフラッグシップモデルとなっている。

デザインと仕様

従来の親指サイズのデザインから、より正方形に近い形状へと変更されたが、カメラ部をアクションポッドから分離できる超小型アクションカメラとしての使い勝手に変わりはない。

軽量性により、服、帽子、ペットのハーネス、ヘルメットなど、さまざまな場所に装着できる。

最大の進化は、イメージセンサーの大型化だ。

1/1.28インチセンサーを搭載し、これは同社のAce Pro 2やX5と同等のサイズとなっている。

これにより光の取り込み量が向上し、低照度環境での撮影性能も大幅に改善された。

フリップ式タッチスクリーンは3Sの2.2インチから2.5インチへと大型化。こちらもAce Proシリーズと同等だ。Vlogなど自撮りの際にも使い勝手が良い。

バッテリーはカメラ・アクションポッドともに内蔵型で交換はできない。

カメラ単体での駆動時間は70分、アクションポッドでは200分使用可能。

急速充電に対応しており、0%から80%までわずか12分で充電できる。

従来のGOシリーズはストレージを内蔵していたが、UltraはmicroSDメモリーカードを使う仕様となった。

カメラを手に持って撮影しても手ブレ補正が効いて映像は安定している。
アクションポッドには三脚ネジが搭載されていないが、アクセサリーを使用すれば自撮り棒などに装着して使用可能だ。

動画は最高4K/60fpsで記録可能。

新しく搭載された「アクティブHDR モード」でも4K/30fpsで撮影できる。

【Insta 360 GO Ultra:自撮り】

ハンズフリー撮影

GOシリーズのユニークな特徴は、カメラ部を分離できることだ。

Ultraは3Sよりも大きくなったものの、カメラ部単体では53gと軽量。

背面には強力な磁石を内蔵しており、付属のマグネットペンダントやクリップで手軽に装着できる。

【Insta 360 GO Ultra:チェストマウント】
【Insta 360 GO Ultra:クリップマウント】

アクションカメラなので広角での使用が多いと思うが、ズームインしたい場面では「4Kクラリティズーム」が使える。

録画中でもタッチパネルをダブルタップするか、倍率変更アイコンをタップするだけで中央部分を拡大記録できる。

ただし、倍率切り替え時には音声が一瞬途絶えるようだ。

【Insta 360 GO Ultra:4Kクラリティズーム】

スローモーション撮影は1080pで240fpsに対応。

専用ハンドルに装着すれば、360°カメラでなくてもバレットタイムのような表現が可能だ。

【Insta 360 GO Ultra:ハイスピード】

胸に装着すればハイパーラプスも安定している。

【Insta 360 GO Ultra:ハイパーラプス】

カメラ本体はIPX8等級の防水性能を備え、単体で最大10mの水深に対応。水辺や雪山での使用はもちろん、潜水ケースを使えば水深60mまで対応できるため、ダイビングでも利用できる。

一方、アクションポッドはIPX4の防滴仕様で、軽い雨や水しぶきには耐えられるが、水没には対応できない。

【Insta 360 GO Ultra:防水】

低照度撮影

センサーサイズの大型化に加え、Ace ProやXシリーズに搭載されている「PureVideoモード」も採用。

5nm AIチップによるノイズリダクション処理により、夜間や暗い室内でも鮮明で自然な映像を撮影できる。

肉眼では薄暗くてよく見えない場所でも、明るくきれいに記録してくれた。

【Insta 360 GO Ultra:PureVideoモード】

写真性能

最大解像度はGO 3Sの12MPから最大50MPと大幅に向上した。12.5MP(4:3)か9MP(16:9)を選択した場合はHDRが有効になる。

またJPEGだけでなく、RAW形式での撮影もサポートする。

広角レンズなので景色や自撮り、集合写真などに向いているだろう。

Insta360 Go Ultra/プログラムAE(1/2,000秒、F2.8、±0.0EV)/ISO 145

バッテリーと記録時間

カメラ部が大きくなった分バッテリーも強化され、単体で約70分の4K撮影が可能となった(GO 3Sは38分)。

アクションポッドと組み合わせれば最大200分撮影でき、GO 3S(140分)から大幅に延長された。

従来はコンパクトさと引き替えに記録時間が短く、こまめな充電が必要だった。

さらに高速充電にも対応。カメラは約12分で0%から80%まで充電でき、アクションポッドも短時間で充電できる。

長時間の撮影や旅行中でも、ちょっとした休憩時間で再充電できるのは実用的だ。

従来モデルと同様に、アクションポッドは遠隔操作や映像のプレビュー、設定変更が可能である。

その他

従来のGOシリーズやAce Proシリーズのマウントとは互換性がなく、新たに専用マウントを揃える必要がある。

また従来は通常版にも付属していたピボットスタンドが別売りとなっている点には注意が必要だ。

とはいえアクセサリーは充実しており、サイクリング、ハイキング、子供やペットとの撮影など、幅広いシーンに対応できる。

左からInsta360 Ace Pro、Insta360 GO Ultra、Insta360 GO 3S

まとめ

価格は標準キットが6万4,800円。今回試用したミッドナイトブラックのほか、アークティックホワイトもラインアップされている。

Ace Pro 2に迫るスペックを備えつつ、GOシリーズならではのコンパクトさと独自のマウントシステムを継承。

GO 3Sの置き換えではなく上位モデルとして併売される。

3Sよりも高価ではあるが、画質にこだわるクリエイターやアクティブなライフスタイルを持つユーザーに最適なカメラであり、POV撮影の新たな可能性を切り開く1台だ。

わっき

デジタル・コンテンツ・デザイナー/パノラマ写真家。1999年にフリーランスとして独立。テレビ/映画/ゲームなど幅広い分野の映像制作を手がけ、現在はYouTuber、動画レポーターとしても活動中。