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レビュー:DJI Osmo 360
初号機にしてこの完成度 360°カメラの新星を試す
2025年8月2日 09:00
ドローン、電動ジンバル、そしてアクションカメラと製品を展開してきたDJIから、同社初となる360°カメラ「Osmo 360」が登場した。
今回試用したのはアドベンチャーコンボ。カメラ本体のほかに、予備バッテリーや急速充電ケース、レンズキャップ、収納ケース、インビジブル セルフィースティック、クイックリリースアダプターなどがセットになっている。
1型の正方形センサーを搭載
360°カメラとしては後発となる本製品だが、手に取った第一印象は非常にコンパクトで軽量だというもの。この小さなボディに、360°撮影に最適化された新世代の1/1.1型正方形CMOSセンサーを搭載し、表裏のデュアルレンズによるネイティブ8K(4K+4K)のパノラマ動画撮影が可能となっている。8Kで最大50fpsの滑らかなフレームレートに対応しており、激しいアクションにも対応できるだけでなく、ヘッドセットなどで視聴する際のVR酔いも軽減できそうだ。
タッチスクリーンも搭載しており、撮影モードや設定の調整もカメラ単体で行える。
本体には128GBのストレージ(105GB使用可能)を内蔵しており、本体のみでも撮影が可能。もちろんmicroSDカードにも記録できるが、高解像度で記録するにはUHS-3対応メディアが推奨されている。内蔵ストレージがあると、カードを忘れたり満杯になっても撮影を続けられるのがうれしい。
バッテリーは1,950mAh。8K@30fpsの耐久モードで約120分の連続撮影が可能。アドベンチャーコンボにはバッテリーが3個付属しており、急速充電にも対応しているので旅行などでも安心だ。
底面の三脚ネジで三脚や自撮り棒に固定して使えるほか、マグネット式のクイックリリースアダプターで簡単に着脱できる。このアダプターやバッテリーは、同社のアクションカメラ「Osmo Action」シリーズと共用できる。
防水性能はIP68等級。ハウジングなしで10mまでの水中撮影が可能なので、水辺や雪山でも安心して使用できる。同社のMIC 2/MIC Miniとのデュアル接続に対応し、2つの外部マイクを同時に利用可能だ。
動画記録は10bitおよびD-Log Mに対応しており、明暗情報を詳細に保持可能。ポストプロダクションでのカラーグレーディングの自由度が高い。HDR機能も標準搭載されているため、設定の切り替えなしで明暗差の大きなシーンも美しく撮影できる。
無料のパソコン用編集アプリ「DJI Studio」では、スティッチや色調補正、360°動画からのリフレームなどの編集が可能。直感的に操作でき、扱いやすい。

スマートフォン用アプリ「DJI Mimo」ではより直感的に構図を調整できるフリーフレームモードも搭載。インテリジェントトラッキングで被写体を追従させることもできる。
静止画は超高解像度120Mピクセル
静止画は120Mピクセル(1,5520 × ,7760ピクセル)の超高解像度。PROモードでは露出をマニュアル設定でき、凝った撮影にも対応可能だ。例えばISO感度を下げてシャッタースピードを遅くし、滝の流れなども表現できる。F値は1.9固定。
ただし現時点ではJPEG記録のみ。将来的にはファームウェアアップデートでRAW撮影にも対応してほしいところだ。
「バレットタイム」など多彩な表現も
自分の周囲すべてを動画で記録しておけば、後から必要な画角で切り出せるのが360°カメラの利点。被写体をトラッキングして常に中央に配置することもできるが、毎回の後処理は手間がかかり、不要なデータでストレージも圧迫してしまう。
自分だけを映したい場合は「セルフィーモード」が便利だ。360°のうち半分(180°)のみを記録することで、自分を中心に撮影でき、データも軽くなる。このモードで記録された映像は円形で、編集アプリで必要な画角に切り出して利用可能だ。

自撮り棒を回して自分を中心に旋回撮影する「バレットタイム」も試してみた。専用アクセサリーは使わず、付属の自撮り棒で撮影。スローモーションになるため、明るいシーンの方が効果的だろう。
「2.5m 延長カーボンファイバーセルフィースティック」も試用してみた。ドローンの使用が難しい場所でも擬似的な空撮が可能で、リフレーム編集を活用すれば、360°カメラならではのクレーンショットも楽しめる。
「シングルレンズモード」も搭載されており、通常のアクションカメラのように使用可能。画面で見たままの画角を直接MP4で記録でき、後編集は不要。撮影を止めずに前後のレンズを切り替えられるので、街歩きレポートなどにも最適だ。
夜間撮影も鮮明に
1型センサーとF1.9レンズという暗所に強いデバイスを採用する上、SuperNightモードを使うことで、さらに低照度下での性能が向上する。街灯だけの環境でも鮮明に撮影でき、歩きながらでも手ブレ補正がしっかり効いていた。
都会の夜なら、昼間と変わらない明るさで撮影できそうだ。
まとめ
DJI初の360°カメラということで、高い期待が寄せられる本機。360°撮影専用の1型正方形センサーによるネイティブ8K動画や120Mピクセル写真、Osmo Action譲りの強力な手ブレ補正など、性能面では申し分ない。同社のマイクやバッテリー、アクセサリーとの互換性もあるのも、既存ユーザーにとってはうれしいポイントだ。
通常版となるスタンダードコンボは公式オンラインストアで6万7,100円、今回試用したアドベンチャーコンボは9万1.300円。別売りのアクセサリーとして各種マウント類も充実しており、利用シーンに応じてカスタムできそうだ。
初号機ながらハードウェアとしての完成度は高く、今後のファームウェアアップデートでさらに使いやすくなっていくだろう。360°カメラ業界において、新たな主役となる可能性を秘めている。