交換レンズレビュー
OLYMPUS OM-D E-M10 Mark III(外観・機能編)
5軸手ブレ補正搭載でコストパフォーマンスの良い入門機
2017年10月12日 07:10
OLYMPUS OM-Dシリーズのエントリークラス、OM-D E-M10の三代目、OLYMPUS OM-D E-M10 Mark IIIが登場した。
オリンパスのエントリークラスといえばPENシリーズの人気も高いが、スタイリシュなイメージが強いPENと異なり、OM-DはすべてEVFを内蔵し、一眼レフスタイルを持つ本格派のシリーズ。E-M10 Mark IIIは、本格派のデザインでありながらファミリーユースにも向いたライトな機種と言える。
大きさ、重さ
大きさは、前モデルであるE-M10 Mark IIと比較して、わずかだが大きくなった。とはいえ幅で約2mm、高さで約0.5mm、奥行きで約2.8mm程度。コンパクトなボディを維持している。また重さも11g重くなったが、十分軽いと感じるレベルだ。
バッテリーとSDカードを装填した重さは410g。手にすると軽いのだが、ガッチリした感触だ。軽量ボディにありがちなチープさがなく、ワンランク上の機種のようだ。E-M10は代が変わるごとに高級感がアップしている。
ボディデザイン
デザインは、ひと目でOM-Dとわかる一眼レフライクを踏襲。しかしE-M10 Mark IIと比べ、グリップが大きくなったのが目立つ。上位機E-M5 Mark IIに近い形だ。
おかげで小さなボディながら指がグリップにしっかり掛かり、ホールド感は良好だ。背面部の親指用グリップも大きく、望遠レンズや大口径レンズでも安定して構えられる。E-M10 Mark IIよりホールド感は確実に向上した。
そのせいか、E-M10 Mark IIでは装着できた外付けのカメラグリップがMark IIIには用意されていない。代わりに本革製のボディジャケットDC-51Bがラインナップ。本格派の中にもスタイリッシュさも楽しめる。
操作性
ダイヤルやボタン類の操作感も良好だ。ダイヤルは適度な大きさとクリック感で確実な操作ができる。特に前後ダイヤルはとても使いやすい。エントリークラスはダイヤルの数を減らしている機種もあるが、E-M10は初代から前後にダイヤルを装備しているのが嬉しい。
十字ボタンにはMark IIと異なり機能の印字がされた。上がISO感度、右がストロボ、左がAF、下がドライブ。メニューやスーパーコンパネを表示させなくてもダイレクトでアクセスできる。コンパクトデジタルカメラのようで、エントリークラスらしいとも言えるが、スピーディーに設定の変更ができてとても便利だ。
また上面部には、ショートカットボタンも採用されたのも特徴だ。P、S、A、Mモードでショートカットボタンを押すとスーパーコンパネが表示され、アートフィルターではフィルターの選択画面になる。このボタンも便利で、すぐに設定が変えられる。
十字ボタンとショートカットボタンを活用するのが、E-M10 Mark IIIをスムーズに使いこなすポイントだ。
撮像素子と画像処理関連
撮像素子は4/3型の有効約1,605万画素Live MOSセンサー。これはE-M10 Mark IIと同じだ。しかし画像処理エンジンはフラッグシップ機、OLYMPUS OM-D E-M1 Mark IIと同じTruePic VIIIを採用している。感度の最高はISO25600だ。
画素数が異なるのでE-M1 Mark IIと全く同じ写りではないものの、画質の傾向は同だ。また2,000万画素オーバーが当たり前の現在のデジタルカメラ界で、1,600万画素は少なく感じるが、よほど極端なトリミングでもしない限り不満に思うことはないだろう。
手ブレ補正
もちろんオリンパスではすっかりお馴染みになった、ボディ内5軸手ブレ補正も内蔵。効果は、シャッタースピード4段分。暗い場所や望遠、マクロ撮影に強いだけでなく、動画でも手持ちで安定した画面の撮影ができるのもメリットだ。
動画機能
動画はE-M10シリーズで初めて4Kに対応。4Kで撮る際は、モードダイヤルを動画モードに設定する。静止画の撮影モードでは、フルHDまでしか選択できない。
旅行の思い出や子供の成長記録などを高精細な動画で残したいときに活躍するだろう。
ファインダー
EVFはOLED(有機EL)の約236万ドット。倍率は1.23倍。これはE-M10 Mark IIと同じスペックだ。上位機と比べると倍率が小さいが、実用上はほとんど気にならない。
色の偏りもなく、快適な視認が得られる。またファインダーを覗きながら背面の液晶モニターをなぞることでAFポイントの変更ができる「AFターゲットパッド」機能も引き続き使用可能だ。
液晶モニター
液晶モニターはチルト式のタッチパネル。上方約85度、下方約45度可動し、ハイアングルやローアングルが楽に行える。しかもピントを合わせたい部分にタッチでAF測距ができるので、チルト時でもスムーズな撮影が可能だ。
上位機のようなフリーアングル式ではないため縦位置には対応しないが、上下のチルトだけでもとても便利。横に張り出すフリーアングル式と異なり、チルト式はレンズ光軸に近いため撮影しやすく、スピーディーに操作できる。そのためチルト式を好む人も多い。
内蔵ストロボ
E-M10シリーズの特徴にストロボを内蔵している点が挙げられる。
電源レバーをオン位置から更に回すと、ストロボがポップアップする。ガイドナンバーは8.2(ISO200・m)。日中シンクロのように、補助光が欲しいときに活躍する。特に家族の記念写真を中心に撮りたい人には注目の機能だ。
連写
連写は最高8.6コマ/秒。E-M10 Mark IIからわずか0.1コマ/秒だが速くなった。より速さが感じられるのは、高速連写のHではなく低速のLモード。E-M10 Mark IIは4コマ/秒だったが、Mark IIIでは4.8コマ/秒になった。
通信機能
E-M10 Mark IIと同様にWi-Fi機能を装備。スマホに専用アプリのOi.Shareをインストールすることで、リモート撮影や写真転送、さらに写真加工などが行える。
ただ、Wi-Fiだけでなく、Bluetoothによる転送もできれば、より気軽にSNSへの公開ができるようにも感じた。
記録メディア
記録メディアはSDカード。UHS-IIに対応だ。特に4K動画を撮りたい人には、UHS-IIがおすすめ。
また連写などでショット数が多い人にも、対応するカードリーダーがあればUHS-IIはパソコンへの転送速度も速いため、大量のデータも高速でコピーできて快適だ。
まとめ
E-M10 Mark IIIは、エントリークラスとしては必要十分なスペックを持ち、しかも上位機にも通じる操作性で本格的にレンズ交換式カメラが楽しめる仕上がりだ。
それでいて、ダブルレンズキットでも12万円を切る実勢価格はコストパフォーマンスが高い。初めてレンズ交換式カメラを買う人だけでなく、上位機のE-M1やE-M5シリーズのユーザーのサブ機としても注目だ。
ライバルはキヤノンEOS M6やFUJIFILM X-T20だろう。小型軽量で本格的なスタイルと豊富なアートフィルター、そして5軸手ブレ補正は、E-M10 Mark IIIならでの魅力だ。
ライバルは?
※次回は「実写編」をお届けします。