飛鳥「EX32F」

45MB/秒のExpressCard型CFアダプター

EX32F

 近年、CFやSDHCメモリーカードをはじめとした記録メディアの高速化は著しく、2009年秋にはUDMA mode6に対応し、90MB/秒の転送速度を謳うモデルが登場するに至った。

 その一方、カードリーダー側の進歩はいまひとつ出遅れている印象があり、一般にもっとも広く普及していると思われるUSBカードリーダーでも、筆者の知る限りUDMA mode6対応を謳うモデルは発売されていない。ただしこれには、国内においてUSB3.0規格の普及が進んでいないという背景もあるのだろう。

 そんな中、UDMA mode6対応のカードリーダーを相次いで発表している規格がExpressCardだ。

 ExpressCardは、USB2.0とPCI Expressを基礎とした規格。ノートPCやネットブックなどを中心に普及している。コネクター形状は幅54mmの「ExpressCard/54」と幅34mmの「ExpressCard/34」。カードリーダーというインターフェースにおいては、ExpressCard/34の方が普及しているようだ。

 今回紹介する「EX32F」(5,040円)は、45MB/秒の転送速度を謳うExpressCard型CFアダプター。Microdriveにも対応する。同じくUDMA mode6に対応していないUSB2.0のカードリーダーと比べて、実測値でどの程度の違いが出るかという点に注目したい。

端子部メモリーカードスロットにCFを挿入したところ

カードリーダー別速度計測

 測定環境として、ソニーの「VAIO Type A フォトエディション」(VGN-AW73FB)を用意。主なスペックは、Windows 7 Home Premium(64bit)、Core 2 Duo T9600×2、メモリー4GB。HDDはSATA1TB。

VAIO Type A フォトエディション(VGN-AW73FB)。Adobe RGBカバー率100%の18.4型ディスプレイを備えるExpressCardスロット

 EX32F、内蔵カードリーダー、バッファローのUSBカードリーダー「BSCRA38U2」を用いて、複数のCFをそれぞれ計測した。計測ソフトは「CrystalDiskMark Ver.2.2」。連続書き込みと連続読み出し(Sequential)の計測結果を比較した。使用した記録メディアは下記の通り。

使用記録メディア(CF)
製品名容量発売元
Extreme Pro
(SDCFXP-032G-J91)
32GBサンディスク
Extreme
(SDCFX-032G-J61)
32GBサンディスク
Ultra
(SDCFHG-016G-J95)
16GBサンディスク
Extreme IV
(SDCFX4-016G-J45)
16GBサンディスク
Extreme III
(SDCFX3-008G-J31A)
8GBサンディスク
Ultra II
(SDCFH-008G-J61)
8GBサンディスク
TS16GCF60016GBトランセンド
TS16GCF30016GBトランセンド
Professional UDMA 300x Speed 8GB
(CF8GB-300-810)
8GBレキサー

EX32F使用時の各カードの転送速度(MB/秒)


VAIO Type A フォトエディション内蔵カードリーダー使用時の各カードの転送速度(MB/秒)


BSCRA38U2使用時の各カードの転送速度(MB/秒)

 


まとめ

 計測の結果、速度面においては、最終的にEX32FがBSCRA38U2に大きく差をつける形となった。また、VGN-AW73FB内蔵のカードリーダーも、フォトエディションというだけのことはあり、高い転送速度を見せた。

 結果だけを見れば、全部とまではいかないまでも、EX32Fを使って計測した場合の方が総じて高速な傾向が見られる。特にEX32FとBSCRA38U2に関しては、両者ともUDMA mode6に非対応ながら、これほどの差がついたのは少々意外だった。

 ExpressCardはノートPCの拡張カード用インターフェースとして普及しているため、ノートPCへの転送を頻繁に行なうなら、導入を検討してみてもいいだろう。ただし、デスクトップPCで利用したい場合、大抵はインターフェースを増設する必要が出てくるため、ExpressCardのためにかける投資と手間は増大してしまう。また、増設をするならばFireWire接続のカードリーダーを使用するなどの選択肢も出てくるだろう。

 いずれは他社から発売されているUDMA mode6対応の製品についても試用してみたい。



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2009/12/14 00:00