ロープロ「Dラップ」

“巻いて留める”ユニークな収納グッズ

ロープロDラップ(レッド/ブラック)

 コンパクトデジタルカメラをバッグに入れて持ち歩くとき、他の固いものと擦れて本体に傷がつかないか心配になる読者は多いと思う。カメラバッグのように緩衝材入りの独立したポケットがあるならともかく、一般的なバッグにむき出しで放り込むのは、それなりに勇気がいることだろう。

 そのため「カメラポーチ」と呼ばれる製品が、カメラ業界では定番商品となっている。コンパクトデジタルカメラを包み、開口部をジッパーなどで留めるアレだ。量販店に行けば、あきれるほど多種多様なカメラポーチを見ることができる。

 ただしカメラポーチにカメラを入れておくと、どうしても撮影の前にとり出す必要が生じる。とり出した後、バッグにカメラポーチをしまう手間もあり、素早く撮りたいときほど面倒に感じるものだ。カメラの傷より速写が重要、傷こそカメラの勲章だと開き直りたいところだが、現実にはポーチのジッパーをゆるゆると開け、恐る恐るカメラをとり出す自分がいる。

 傷防止と速写性を両立するアイテムはないものかと探していたら、今回紹介するDラップを発見したので、さっそく試用してみた。ハクバが輸入販売代理を行なう米国のロープロ(Lowepro)ブランドの製品で、国内での発売は2月。カラーはブラック、グレー/ブラック、レッド/ブラック。価格は2,835円と、カメラポーチにしては少し高価だ。

 ポーチというより、「ラップ」の名の通りカメラに巻き付けて使用するのが特徴。これだけなら一眼レフカメラや交換レンズ向けに多い、カメララップ系の製品と違いはない。Dラップのユニークな点は、カメラの三脚穴に取付けるという装着方法にあり、そのため撮影時でも、カメラ底面にくっついて離れない。これならなくす心配はないし、外したDラップをしまう手間もない。

 収納時はくるっと巻いて、ベルクロテープで留めるだけ。カメラの太巻きみたいだ。開いた状態のDラップは114×210mm。伸縮性のあるネオプレーン素材のため、ある程度ならカメラ側のサイズオーバーを許容できる。

カメラ取り付け部のネジをカメラの三脚穴に取付ける。ネジの位置は左右に動かすことが可能
この状態からくるっと巻く。巻いたらベルクロで留める。写真のカメラはIXY DIGITAL 930 IS

 身の回りにあったデジタルカメラでは、サイバーショットDSC-W350D、μ-7040、IXY DIGITAL 930 ISあたりがベストフィット。PowerShot G11は厚みがありすぎ、ベルクロを留められなかった。

 いずれにしても左右が空いているので過信は禁物だが、裸でカメラに放り込むよりは断然安心。ストラップを装着したまま巻ける点にも注目したい。ちなみにネオプレーンの厚みは6mm。

 面白いのは、カメラとDラップを固定する三脚ネジが、左右スライド式になっていること。コンパクトデジカメの三脚穴は中央にあるとは限らず、特にスリムタイプの機種は本体端にあることが多い。三脚穴の位置を問わないスライド機構は、汎用性の面で歓迎したいところだ。

撮影時。素早く撮影できる

 なお、記録メディアスロットやバッテリー室を底面に装備しているコンパクトデジタルカメラ(つまりほとんどの製品)は、Dラップをいったん外してから、記録メディアなりバッテリーなりを交換するしかない。またそのままでは、三脚が使えないことにも注意したい。

 操作面ではベルクロの音が少々大きいのと、撮影時にDラップがブラブラするのが気になるところ。もっとも後者についてはDラップそのものが40gと軽いこともあり、徐々に違和感を覚えなくなってきた。バッグ内へのコンパクトデジタルカメラの収納に悩んでいる人は、一考の価値ある製品だ。

(本誌:折本幸治)

2010/4/19 00:00