デジカメアイテム丼
衝撃に強くて転送速度も速い…PGYTECHの“カードリーダー内蔵ケース”
2024年4月2日 07:00
メモリーカードケースあるいは、記録メディアケースと呼ばれる製品。最近は大容量のメモリーカードも増え、なんとなくカメラに挿しっぱなしのままで事足りることが多くなったが、それでも転ばぬ先の杖的にバッグへと忍ばせている人は多いだろう。
もちろん、ガッツリ撮影したい時は必須だし、動画メインなら容量なんていくらあっても足りないので、こうしたメモリーカードケースは極めてメジャーなアイテムと言える。
基本的に、この手の製品は収納性や携帯性、頑丈さなどを基準に選ぶことが多い。気に入ったデザインがあれば、それもまた良しだ。
が、かなりニッチだが、多機能性をうたい文句にする製品もある。例えば、PGYTECHの「CreateMate 高速カードリーダー内蔵ケース」がそれだ。
ラインアップも充実
今回、CFexpress Type Bカードに対応した「CFexpress Type B/SD版」(税込1万6,225円)を試す機会があったので、色々とチェックしてみたい。
ちなみに、「CFexpress Type B/SD版」は、CFexpress Type Bカード2枚、SDカード3枚、microSDカード4枚、nano SIMカード2枚、カードイジェクトピンを同時に収納可能となっている。
同製品のラインナップとしては、CFexpress Type Aカード3枚、SDカード3枚、microSDカード4枚、nano SIMカード2枚、カードイジェクトピンを同時に収納できる「CFexpress Type A/SD版」(税込1万6,225円)がある。
そして、SDカード4枚、microSDカード4枚、nano SIMカード2枚、カードイジェクトピンを同時に収納できる「SD版」(税込6,600円)の計3モデルをラインナップしている。
カラーバリエーションについては、それぞれブラックとモスグリーンの2色を用意する。
カードリーダーはデュアルスロット式
特徴となるカードスロットについては、CFexpress Type BスロットとSDカードスロットのデュアルスロット構成。
「CFexpress Type A/SD版」は、CFexpress Type AスロットとSDカードスロットのデュアルスロット構成となり、microSDカードをSDカードサイズに変換するための高速アダプターが付属する。
「SD版」では、SDカードスロットと、microSDカードスロットを備えたデュアルスロットになる。
同梱のイジェクトピンはクイックリリースプレート用のマイナスドライバーとしても機能するため、出先でグラついた時などに便利そうだ。
また、PCへの接続だけでなく、USB Type-Cを備えたスマートフォンやタブレットでの使用も可能となっている。
USB Type-Cケーブルは直付けとなっており、ケース内に収納されているため、コンパクトかつ、忘れる心配がないのが良い。
転送速度は申し分なし
製品名からもわかるように、「カードリーダー」を内蔵する記録メディアケースとなっており、USB Type-C(USB 3.2 Gen 2)経由(SD版はUSB 3.1)でのリード/ライトが可能。
データ転送速度は、最大1,000MB/秒(SDカード/microSDカードは、最大312MB/秒)と十分な速度を確保する。
実際に、プログレードデジタルの「CFexpress 2.0 Type B GOLD」(公称値:読み込み速度1,700MB/秒、書き込み速度850MB/秒)を使用し、ベンチマークソフト「CrystalDiskMark」で速度を測ってみると、データサイズが「1GiB」(GiB=ギビバイト)の時、シーケンシャルアクセス(SEQ)のリードが約1,054MB/秒、ライトが約1,039MB/秒となった。
ランダムアクセス(RND)については、リードが約253MB/秒でライトが約250MB/秒と、悪くない結果が出ている。
公称値で最大1,000MB/秒のデータ転送を可能とするカードリーダーに、最大1,700MB/秒のカードを使用するという、カードの性能は生かし切れていない使い方なのにもかかわらず、公称値よりも高い結果となった。これなら十分に活用できるだろう。
ちなみに、データサイズを写真データおよび、動画データを想定して「2GiB」「4GiB」「8GiB」と「16GiB」「32GiB」「64GiB」に設定して計測してみた。
結果は、「64GiB」時にやや速度が低下したものの、誤差は少なく安定したデータ転送能力を有していると言えそうだ。
さらに、ProGrade Digfitalの「SDXC UHS-II V90 COBALT 128GB」(公称値:読み込み速度300MB/秒、書き込み速度250MB/秒)を使用してみたところ、データサイズが「1GiB」(GiB=ギビバイト)の時、シーケンシャルアクセス(SEQ)のリードが約282MB/秒、ライトが約236MB/秒だった。こちらも十分な転送速度が出た。
- PC:ThinkPad X13 Gen2
- OS:Windows11 Pro 22H2 64bit
- CPU:Intel Core i3-1115G4
- メモリ:8GB
- 接続端子:USB4(Thunderbolt4対応)
- 利用ソフト:ベンチマークソフト「CrystalDiskMark」
というのも、似たような製品を個人的に利用していたこともあり、それに比べればはるかに実用的というのが素直な感想だ。
もっと詳しく言えば、出先でメモリーカードケース内蔵のカードリーダーを使用したのは、覚えている限りで1回のみ。あったら便利かな? と思っていたが、カードとの相性もあったのかも知れないが、転送速度が遅すぎて使うのをやめてしまった。
カードスロットのせいで、完全防水・防塵ではなかったし、余計にデカくなっていたため、結局は速度の出る単体のカードリーダーとメモリーカードケースで運用しているのが実際のところだ。
翻って、この製品。1枚板のアルミ合金で成型され、シリコーンケースにより耐衝撃性能、そして保護等級IP54の防塵・防滴性能を備えている。
実用性の高さに期待ができそう
メモリーカード収納部へのアクセスは、“ところてん”のように底部を押し出す方式を採用。やや堅いが、シーリングを含め、それだけしっかりした作りということなのだろう。
カードリーダー機能も実用的なレベルで、不満はない。唯一の心配は、カチッとした押し込み感がないので、きちんと収納できたのが分からない点だろうか?
便利だなぁと思ったのが、5V2A電源に対応した専用の補助電源入力ポート(USB Type-C)の存在だ。
よく分からないのだが、使用するカードによっては、使用電力の問題か、データ転送が不安定になることがある。そういった場合は、この補助電源入力ポートにモバイルバッテリーなどから給電することで、安定した電源供給が可能になるという仕組みだ。
かなり絵面的に大がかりだし、そこまでする必要があるのかと思う人はいるだろうが、手持ちの携行アイテムを使って、安定した転送を確保できるというのはかなり心強い。
ゴツい見た目で耐衝撃性能もあり、カラビナを備えているためカメラバッグなどに直接取り付ける事も可能。宣材写真的には、まさにそういったイメージ写真が用意されているが、個人的にはバッグの中に収納しておきたい。
機材で一杯になったバッグ内でも、その耐衝撃性能は有効に働くはずだ。
カードスロットの性能が実用的な本製品。出先におけるとりあえずのデータ転送用途としてなら、十分に活用できるだろう。
欲を言えば、メモリーカードの収納部が取り外し可能で、オプションの収納部と入れ替えられる……、そんな構造だったら最高だったのになぁと。
でもまぁ、カードスロット内蔵ケースとしては、使い勝手がかなり良いので、手荷物を減らしたい人にオススメです。