デジカメアイテム丼
Cマウントのフランジバックを手軽に調整できる非金属のスペーサー
香取製作所「フレキシブルなCマウントレンズ用スペーサーリング 3点セット」
2018年6月11日 12:00
昨年初めてCマウントレンズを購入し、以来キヤノンEOS M5に装着して楽しんでいた。ところが、使っているうちに気がついたのが「フォーカスの合焦範囲が遠景側にズレている」ということだった。
Cマウントのフランジバック問題
最初レンズがおかしいのかと思ったが、いろいろ調べると特にCマウントのアダプターは無限遠が確実に出るための配慮として、フランジバックが短めに作られたものが多いとのことだった。
確かに無限遠は出ているので実用上問題は無いが、フランジバックが短いと最短撮影距離が本来のスペックよりも長くなってしまうのが難点だ。
実際、筆者が購入した「FUJIAN TV LENS 35mm F1.7(GDS-35)」は、距離指標から見るに30cmが最短撮影距離だ。ところが、使ってみると37cmより前にピントが合わなかった。そのままレンズを付けただけでは本来の性能が発揮されず、もったいない話である。
合焦する範囲を近接側にシフトするには、フランジバックを長くすれば良い。すなわち、レンズを少し前に移動させるのだ。Cマウントはスクリューマウントなので、「スペーサー」や「シム」と呼ばれるリングを挟めば簡単に解決する。
そこでネットでスペーサーを探してみたのだが、Cマウント専用品はジャストサイズだが結構いい値段で二の足を踏んだ。一方、汎用の金属リングは安価なものの、なかなか適当な径と厚みのものが見つからない……。
異色の非金属スペーサー
そんな中で見つけたのが、今回紹介する香取製作所の「フレキシブルなCマウントレンズ用スペーサーリング 3点セット」、略して「FCS」である。
シリコン製のスペーサーリングで、厚みが1mm・1.5mm・2mmの3つが入っている。価格が安く、アマゾンで税込540円だった。
本来フランジバックの調整には、コンマ数mmといった厚みの金属スペーサーを使うものだが、FCSは少し弾力のある素材のためレンズの締め付け加減で微調整ができるのが特徴となっている。
使い方はレンズ側に装着して、マウントアダプターにねじ込むだけ。サイズもネジの径にぴったり。複数枚を組み合わせて使うこともできるので、調整の幅は広い。レンズから外しやすいようにつまみが付いているのもナイスだ。
先のレンズにFCSを挟んで無限遠を確認したところ、1.5mmでは薄く(無限遠を越える)、2mmでは厚い(無限遠に届かない)という結果だった。
そこで2mmを挟んできつめにレンズを装着したところ、ちょうど無限遠ぴったりの位置で固定することができた。この状態で最短撮影距離は27cmとなり、当初に比べて10cm短縮できた。この差は結構大きく、テーブルの上の料理を撮る際などの使い勝手が違ってくる。
この状態でしばらく使用してみたが、レンズが緩むといったことも無かった。シリコンリングということで摩擦が大きい、ということもあるのだろう。
なお無限遠が出なくなる代わりに、スペーサーを厚めに挟めばさらに近接撮影ができる。マクロレンズ的に使えるというわけだ。
また別の活用法を挙げると、もし金属製のスペーサーを考えている人なら、必要な厚みを検討する際にFCSを挟んで調整しておくと、ノギスなどでの計測がしやすいと思う。
他の厚みも欲しい!
FCSは1/1.5/2mmの3点セットであるわけだが、願わくば0.25mm厚と0.5mm厚も加わるとより使い勝手が高まると感じた。
とはいえ、この価格で手軽にフランジバック調整ができるのはありがたいものだ。Cマウントはオールドレンズでも人気。ユーザーはぜひ活用してみてはいかがだろうか。