デジカメアイテム丼

単3電池で発光するモノブロックストロボ

トキスター「mobilight D200」

プロ用ストロボで知られるTOKISTAR(トキスター、ワイドトレード扱い)から単3電池で動く強力なモノブロックストロボ「mobilight D200」が登場した。実勢価格は税込5万円弱となっている。

出力200Wsということで、クリップオンストロボの上位モデルの3~4倍の出力がありながら単3電池8本で動作するというのが特徴となっている。

同等クラスのモノブロックストロボといえば、充電式の専用バッテリーを用いるものが一般的だ(例:GODOXのWITSTRO AD200-TTLが同じ200Wsで充電式)。

その点mobilight D200はどこでも手に入る単3電池で手軽に使えるのがメリットである。

「どこでも手に入る」というのがミソで、飛行機での運搬で規制が多いリチウムイオン充電池ではなく、世界のどこでも売っている電池なので、海外ロケなどで便利というわけだ。また、エネループなどのニッケル水素充電池は航空機積載の制限を受けないようである。

電池ボックスは本体の左右にある。
片側に単3電池が4本入る。
発光量は本体のダイヤルでも設定可能。
発光管はスタジオ用ストロボと同じタイプだ。

汎用のワイヤレストリガーも同梱されており、他にはスタンドと電池を用意すればすぐに使える。

ワイヤレストリガーはホットシューに装着するタイプで、光量調節(1/1~1/64)なども可能。3グループ、9チャンネルが用意され、多灯コントロールもできる。なお、TTL測光によるオート機能は無く、発光量はマニュアルで決める仕組みだ。またハイスピードシンクロ(HSS)を使いたい場合は、オプションでHSS対応トリガーが用意されている。

同梱のワイヤレストリガーをキヤノンEOS M5に装着したところ。

その他、ストロボ前面に装着するディフューザー、標準雲台(ダボ取り付け式)、ハンドグリップも付属する。

なお今回スタンドには、トキスターの新製品となるカーボンスタンド「Carbon mobi stand」を使用した。608gと軽量になっている。

なお、メーカーとしてはニッケル水素充電池などの二次電池での使用を推奨している。乾電池の場合、最後まで使おうとすると液漏れがおきる場合があるとのこと。乾電池を使う場合は、チャージが遅くなってきたら早めの電池交換を心がけたい。

日中シンクロで試す

昨今、こうした大光量ストロボが必要とされるシーンの1つが日中シンクロであろう。背景の白トビを押さえつつ人物を明るく写すテクニックだが、大きな光量が必要なため、人物の全身を入れたい場合などはクリップオンストロボでは光量が足りない場合が多い。

まずは、人物を小さめに配置して空を大きく入れる構図での日中シンクロを試した。ストロボをモデルから数m離すので光量が必要になる状況だ。クリップオンストロボでは対応が難しいシーンだ。

今回、梅雨の時期で空が真っ白だったため、露出を切り詰めることで雲の濃淡を出すことにした。その上で、mobilight D200をモデルに直当てした。この時はフル発光だった。ちょっとおどろおどろしい感じだが、ドラマチックな写真になった。

EOS M5 / EF-M15-45mm F3.5-6.3 IS STM / 1/200秒 / F8 / 0EV / ISO 100 / マニュアル露出 / 15mm

続いては階段に座ったモデルに下からmobilight D200を直当てし、日中シンクロ撮影を行った。この時は1/2の出力で発光させた。

EOS M5 / EF-M15-45mm F3.5-6.3 IS STM / 1/200秒 / F16 / 0EV / ISO 100 / マニュアル露出 / 16mm

このシーンもストロボ無しだと背景が真っ白な空になってしまうところだが、雲がうっすら写って、よい雰囲気が出た。

スタジオで試す

日中シンクロで威力を発揮することがおわかり頂けたと思うが、もちろんこのストロボは室内でも有用である。

ここでは、ハウススタジオで天井バウンスと直当ての比較を行った。いずれも光を拡散させるために付属のディフューザーを装着している。

天井バウンスしたものは、光が全体にまわっており柔らかく描写された。背景に影も出ていない。また、手前に置いた植物にまで光がまわっているのがわかる。出力は1/4に設定した。

EOS M5 / EF40mm F2.8 STM / 1/200秒 / F2.8 / 0EV / ISO 100 / マニュアル露出 / 40mm

天井バウンスは光量のロスが大きいので、このような大出力のストロボだと絞り込んだりといった作画の自由度は高まる。

一方、直当ては光が堅くコントラストも強い。壁に影がくっきりと出ている。ただし光の質は良い。ストロボ光があたった部分の明るさが均一で、流石はモノブロックストロボ(大型発光管+丸形リフレクターのシステム)と感心した。出力は1/32だ。

EOS M5 / EF40mm F2.8 STM / 1/200秒 / F2.8 / 0EV / ISO 100 / マニュアル露出 / 40mm

ポートレート撮影ではソフトボックスなどでディフューズすることが多く、ストロボの直当てはあまり好まれないようであるが、生々しい肌のディテールが見て取れるなど見方によってはプラス面もありそうだ。このように、いろいろな光を作れるところもこうしたストロボのメリットといえる。

まとめ

単3電池といっても、エネループのような充電池を使用すればランニングコストを抑えることもできるだろう。その上で、ロケ先で電池が切れた際にコンビニで買う、といったことができるのはこのストロボならでは。

また電池を充電しておく手間を嫌う人にとっても、急な撮影のときに乾電池ですぐ使える便利さは大きいだろう。

今回はアルカリ乾電池で使用したが、チャージ時間も短くテンポ良く撮影できた。大光量のストロボを検討している人はチェックしてみてはいかがだろうか。

EOS M5 / EF-M15-45mm F3.5-6.3 IS STM / 1/200秒 / F16 / 0EV / ISO 100 / マニュアル露出 / 16mm

モデル:ちい

本誌:武石修