私はこれを買いました!

気軽に持ち運びできるコンパクト三脚

マンフロット「トラベル三脚 Element MKELES5CF-BH」(豊田堅二)

年末恒例のお買い物企画として、写真家・ライターの皆さんに、2024年に購入したアイテムを1つだけ紹介していただきました。(編集部)

持ち運びを躊躇しない新たな相方

三脚はベルボンのMark6など、3段のものを以前から使ってきたが、撮影のために外出する際、持って出るのを逡巡するようになってきた。重さも堪えるが、私の場合は車の運転が苦手なので近隣の外出にはママチャリを使うことが多い。そのとき三脚がママチャリの荷物カゴからはみ出してしまうのだ。

自転車をこぎながらカゴに載せた三脚が落下しないか、また横を走る車に当たって傷つけたりしないかと気がかりで仕方ない。そこで気軽に持って出ることのできる小型な三脚を探してみた。使用するカメラもデジタル一眼レフカメラからミラーレスカメラに代わってきたので、それほど頑丈なものでなくともよい。ネットの店や量販店で探したところ、マンフロットのトラベル三脚“Element”MKELES5CF-BHがよさげであったので、購入することにした。

届いた実物を見て、センターポールが引っ込まないところはちょっと想定外だったが、おおむね満足の行くものであった。脚は5段だがさすがに全部伸ばすとやわな感じである。実際の使用にはせいぜい2~3段伸ばしがいいところだろうか? さっそくママチャリで持ち出してみたが、荷物カゴにもちゃんと収まり、搬送時の不安はない。いつも使っているリュック型のカメラバッグのサイドポケットにもちょうど収まったのはありがたい。

付属の小型の自由雲台はクイックシュー形式になっている。実を言うと私はクイックシュー初体験なので、最初はちょっとまごついた。雲台のボール径が小さいのでちょっと心許ないが、このクラスの三脚ならこんなものだろうか? ありがたいのはボールによるカメラ姿勢の調整から独立した形で水平方向の回転が調整できるところである。角度目盛りと水準器も備わっているのでパノラマ撮影に使えそうだ。

使用説明書はA4の紙1枚に9か国語で表記したものが付属しているが、ちょっと説明不足の印象がある。例えばセンターポールの下端にスプリング付きのフックがあるのだが、これについての説明がどこにもない。恐らくストーンバッグを掛けるためのものだろうが、初心者にとっては謎だろう。

近年のミラーレスカメラには深度合成、ピクセルシフト、タイムラプス動画など、三脚使用が必要あるいは望ましい機能が増えてきている。今後はこのような手軽な三脚がますます活躍しそうだ。

水平方向の回転機能を利用して適当にカメラを振り、PCでつなげてパノラマ写真を作ってみた。ステッチにはAdobe Photoshop CCを用いたが、PhotoshopのAIが気を利かして勝手に足りないところを補ってくれた
OM-1/LUMIX G VARIO 14-45mm F3.5-5.6 ASPH. MEGA O.I.S./16mm(32mm)/(1/640秒、F11)/ISO 200
雲のタイムラプス動画に挑戦してみた。けっこう時間がかかったが、再生してみると、あっという間である
Z fc/AF-P NIKKOR 10-20mm F4.5-5.6G+FTZ/(1/400秒、F10)

近況報告

日本大学芸術学部写真学科の非常勤講師を辞してからは時間に余裕ができたので写真展巡りなどをして過ごしている。PRONEWSのウェブに「ニコンの系譜」という連載記事を書き始めた。なにかしら面白い裏話も明かして行くつもりだ。

豊田堅二

(とよだけんじ)元カメラメーカー勤務。現在はカメラ雑誌などにカメラのメカニズムに関する記事を書いている。著書に「とよけん先生のカメラメカニズム講座」(日本カメラ社)、「カメラの雑学図鑑」(日本実業出版社)など。