私はこれを買いました!

ついつい開放で撮影してしまいます

ソニー「FE 50mm F1.2 GM」(HARUKI)

年末恒例のお買い物企画として、写真家・ライターの皆さんに、2021年に購入したアイテムをひとつだけ紹介していただきました。(編集部)

やっぱり50mmが好き

ワイドから望遠まで各種レンズの中から、単焦点で1本だけを選ぶとすると、やはり50mmの標準レンズが一番好きな画角です。

仕事柄いろんなメーカーやマウントの機材を使っていて、ソニーEマウントではツァイスの「Sonnar T* FE 55mm F1.8 ZA」や、同じくツァイスの「Batis 2/40 CF」を所有しています。しかし50mm単焦点だけは長年空席のままでした。50mmの画角が必要な場合は万能で便利なズームレンズ「FE 24-105mm F4 G OSS」を使用してきましたが、開放F値がF4ではちょっと……という場面も。

そこに登場したのが「FE 50mm F1.2 GM」でした。F1.2という開放F値が必要なのかというと全くそうではありません。F1.4やF2で充分なのですが、コロナ禍の憂鬱でアタマがどうかしていたのでついつい……(笑)。

Sonnar T* FE 55mm F1.8 ZAを使ってきて「寄れない」こと以外で特に不満はなく、「暗い」だとか「もっとボケが欲しい」などと感じたことはありません。むしろ小型軽量であることはミラーレスカメラのレンズ条件としては必須の要素です。Batis 2/40 CFに関しては近接撮影に強く、非の打ち所のない描写性能だけど画角がちょいと広いなと感じていました。

銀塩フィルムからニコン「D3」くらいまで、約30年ニコンのカメラを使ってきましたが、その時代は50mmと同時に60mmマクロを使い分けたりしていました。話を戻すと40mmや55mmは準標準レンズであって、“50mmじゃない”ことに時々違和感を感じていたのでした。写真を撮り始めたちょうど50年前から現在までの長きに渡って「6×6判は80mm、35mm判では50mm」というのが、ボク自身の“目”にも“アタマ”にも染みついています。決して50mm以外は35mm判フルサイズの標準レンズではないのです。

FE 50mm F1.2 GMは持ち歩くには少しヘビー級ですが、カメラに装着するとバランスが良いせいか撮影時だけはあまり苦ではないです。F1.2のボケ味を特に望んでいたわけではないですが、高価だったしせっかく備わっているのだから「立っている者は親でも使え」という教えに従ってやはり開放で撮影する機会が増えてしまいますね。だって人間だもの(笑)。

ずっと撮り続けている女優の田中珠里さん。買ったばかりのこのレンズでカメラを構えてシャッターボタンに人差し指を触れた瞬間、スーっと合焦しにいく。あとはファインダーの中の彼女の動きと表情だけを見ていれば良い。
α7R IV / FE 50mm F1.2 GM / 絞り優先AE(F1.2・1/320秒・+1EV) / ISO 400

Special Thanks:田中珠里(公式HP:https://www.shuritanaka.com/

近況報告

今年は卒業してちょうど40年目にして、福岡にある母校での講演会にお誘い頂きました。未来のライバルとなる後輩たちに、自分の半生を足早に語るという恥ずかしいけどありがたい経験で、あらためて自分自身を振り返る良い機会となりました。講演後、久しぶりに九州で小さな旅をしてきました。来年こそは“旅に出て自由に写真が撮れる日常が戻りますように”と願うばかりです☆

(はるき)写真家・ビジュアルディレクター。広島市生まれ。九州産業大学芸術学部写真学科卒業。フリーランスでポートレート撮影をメインに雑誌・広告・音楽・映像メディアなどで作品を発表。「第35回・朝日広告賞、グループ入賞&写真表現技術賞」、「PARCO PROMISING PHOTOGRAPHERS #3」、「100 Japanese Photographers」ほか多数受賞。「普通の人びと」「Tokyo Girls♀彼女たちの居場所。」「The Human Portraits 1987-2007」「Automobile Americanos〜Cuba Cuba Cuba〜」「熱い風」「遠い記憶。」「遠い記憶。II」「アンソロジィ」ほか個展多数開催。プリント作品は国内外の美術館へ収蔵。長岡造形大学(NID)視覚デザイン学科非常勤講師、日本写真家協会(JPS)会員。