私はこれを買いました!

ついにミラーレス導入! レッドブル・ホンダの優勝も捉えた

キヤノンEOS R3(熱田護)

年末恒例のお買い物企画として、写真家・ライターの皆さんに、2021年に購入したアイテムをひとつだけ紹介していただきました。(編集部)

いきなりF1撮影に実戦投入!

時代はミラーレスカメラが主流の中、プロ写真家としてはかなり遅い方だと思いますが、キヤノンEOS R3を買いました。僕が撮影しているF1という被写体は目の前を高速で駆け抜けるため、一瞬の遅れが致命的になります。以前EOS R5を借りたことがあるのですが、EVFの遅延にどうしても慣れず、実戦で使うのをためらっていました。今年、デジタルカメラマガジン編集部からEOS R3を借りてスーパーGTを撮影したところ、EOS R5で感じたEVFの遅延がほぼ感じられませんでした。

さらに、びっくりしたのがAFの正確さ。被写体認識「乗り物」を使って自動選択で追いかけて見たら、驚きの認識率の高さ! あとはEOS-1D X Mark III並みという信頼性の高さを信じて、F1でのテストなしでいきなりアメリカGPから実戦投入しました。こうして発売前からテスト用機材を実戦投入していたのですが、いよいよ発売日を迎えて、自分のものとして購入したというわけです。

今年はコロナの影響もあり、アメリカGPにいったあとは、最終戦のアブダビGPまで帰ってきません。購入したEOS R3は、発売後に日本から届けてもらいました。EOS R3でうまく撮れなかったら、今年のF1はすべてダメになってしまいます。初めてのミラーレスだったので、かなりドキドキしました。使い方に慣れず苦労したところもありますが、EOS R3だから撮れた写真もたくさんあります。

S字コーナーはEOS-1D X Mark IIIでは測距点の関係でどこか1コーナーしか撮れませんでしたが、測距点がほぼ全面のEOS R3ならカメラを固定したまま、トラッキングAFで追いかけるという撮影方法になり、複数カット撮れるようになりました。

レース後はもみくちゃになり、その中で撮っていると、押されたり引っ張られたりします。そんなときは被写体認識を「人物」にして、あとはカメラを信じてシャッターボタンを押していました。ピントが外れることもありましたが、かなりの確率で目にピントが合っていて、かなりビックリしました。

いままで以上に撮れる写真も増え、新しいイメージも湧いてきました。今年1年追いかけていたレッドブル・ホンダも優勝。その歓喜の瞬間もEOS R3を信じて撮り続けました。覚悟を決めてEOS R3を持っていき、本当によかったと思っています。

キヤノン EOS R3 RF400mm F2.8 L IS USM マニュアル露出(F6.3・1/3,200秒)ISO 100 WB:太陽光

近況報告

3月3日に第4期ホンダF1の活躍をまとめた「Champion」という写真集を発売する予定です。現在、自主隔離期間中なので、その写真集の写真整理と補正を毎日行っています。いっぱい載せたい写真があって困っています。

熱田護

(あつた まもる)1963年、三重県鈴鹿市生まれ。東京工芸大学短期大学部写真技術科卒業。85年ヴェガ インターナショナルに入社。坪内隆直氏に師事し、2輪世界GPを転戦。92年よりフリーランスとしてF1をはじめとするモータースポーツや市販車の撮影を行う。 広告のほか、雑誌「カーグラフィック」(カーグラフィック社)、「Number」(文藝春秋)、「デジタルカメラマガジン」(インプレス)などに作品を発表している。2019年にF1取材500戦をまとめた写真集『500GP』(インプレス)を発行。日本レース写真家協会(JRPA)会員、日本スポーツ写真協会(JSPA)会員。