私はこれを買いました!

長く通用する画質に太鼓判 高画質だからこそ引き出せるものがある

FUJIFILM GFX 50S/萩原史郎

2017年を締めくくるにあたり、本誌のレビュー系記事にご寄稿いただいた皆様に今年新品で購入したデジタルカメラ、レンズのうち、特に思い入れのある製品について語っていただきました。(敬称略)

写真は「画質」より「内容」でしょ! いや、ごもっともです。内容のある写真こそ見る価値があるものですから。でも、内容のある写真を撮ることができるなら、画質は良いほうがイイですよねー。

場合によっては画質が撮り手の真意や狙いを汲み取ってくれることがあります。俗に言う空気感とか、奥行きとか、温度感とか……。あるいは、雰囲気と言った曖昧模糊としたデリケートな部分までをも。

高画質だからこそ引き出せるものって、やっぱりあるんです。そうだとするなら、やはり画質は内容と表裏一体であり、背中合わせのものと言えそうです。

そんな「内容」と「画質」を高いレベルで融合してみせたカメラが、富士フイルムのGFX 50Sなのではないかと思っています。内容と画質に加えて「価格」も高いことがなかなかのハードルであり、現時点でレンズのラインナップが不十分であることもマイナス要因ではあります。

とは言え、この圧倒的な画質が生む高い表現力は、一度体験してしまうとどっぷりとはまってしまう危険な沼。私は今年、このGFX 50Sを買い、今たっぷりと沼に浸かっています。

三脚を使うことは必須ですが、そういうオーソドックスなスタイルで撮影した作品は厚みがあり、多くを語りかけてきます。長きにわたって通用する画質には太鼓判を押します。レンズ? 出てくるに決まっているので、安心してください……って、私が言うことじゃないか(笑)

雨に濡れる石畳の古道。古人がひたひたと歩く音が聞こえてくるようではありませんか。森の匂いが、石の匂いが、葉の匂いがしませんか。GFX 50Sとは、そういう表現力を持ったカメラなのです。FUJIFILM GFX 50S / GF32-64mmF4 R LM WR / 1/7秒 / F11 / -0.7EV / ISO400 / 絞り優先AE / 39mm

プロフィール & 近況報告:今年になって講演やクラブ例会指導など、これまであまり体験しなかった仕事が増え、それはそれなりに嬉しいものの、写真を撮る時間が減りました。来年は撮る時間を作らないとフォトグラファーでなくなってしまう(笑)

萩原史郎

(はぎはら しろう)1959年山梨県甲府市生まれ。日本大学卒業後、株式会社新日本企画で「季刊風景写真」(※現在は隔月刊) の創刊に携わり、編集長・発行人を経験。退社後はフリーの風景写真家に転向。著書多数。日本風景写真家協会(JSPA)会員。カメラグランプリ選考委員。