写真展レポート

これまでの感謝と、新たな出発に——「miru×福島裕二 写真展 -Gypsophila-」

本人の音声ガイドで作品鑑賞も AtelierY -青山-にて7月25日まで

miruさん。お気に入りの作品と

写真展「miru×福島裕二 写真展 -Gypsophila-」が7月16日に始まった。会場は表参道近くのギャラリーAtelier Y-青山。セクシー女優のmiruさんをモデルに、写真家の福島裕二さんが撮り下ろした作品を展示している。ここでは会場の様子とともに、お二人へのインタビューをお伝えする。

特大サイズのプリントを含む51点が並び、miruさんのさまざまな姿を見ることができる。無料の音声ガイドが用意されているのもポイントで、miruさん自身の語りとともに作品を観賞できるようになっている(要スマートフォン)。会期は7月25日まで。miruさんご本人の在廊もある。

「自分が進んでいく道が写っていた」――miru

――簡単に自己紹介をお願いします。

エスワン専属のセクシー女優をしています。今年の8月でデビューして3年になります。

――今回の撮影のきっかけは?

事務所を移籍して名前も坂道みるからmiruになりました。その新たなスタートに当たって、これまで応援してくださったファンの方への感謝の機会を作りたいと思いました。そこで、福島さんに写真を撮ってもらって展示会をするという事になったんです。話の始まりは4月頃からで、ここまでトントン拍子に進みました。

福島さんにはデビューしてすぐの頃から作品パッケージの撮影をしてもらっていたので、何度か撮ってもらっていました。その縁もあり、写真展をやるなら福島さんに撮影してもらいたいという希望がありました。

――撮影期間はどれくらいですか?

一泊二日で九十九里に行ったのと渋谷で1日、それとプラスαくらいでしたので3~4日です。それだけで、これだけ凄いものが撮れたことにびっくりしました。

――写真展も初めてですね。

不思議な感じですよね。こんなに自分の写真が並んでいる空間にいることはなかなか無いですし、来てくれた沢山の知り合いにも見てもらえるというのが新鮮です。

――一番見てほしいところは?

写真の並びも福島さんがこだわってくれて、私のこれから進んでいく道筋を表現していたりするので1枚1枚に意味があるんです。今まで大変だった事が多かったのですが、これから新しい道を歩んでいくというストーリーになっているので、そのあたりをイメージしながら見て欲しいですね。

それから、かすみ草の花言葉を題材にしている写真展なので、かすみ草の花言葉がどういうものなのか調べたりして見て頂けると嬉しいです。かすみ草はもともと大好きな花で、花言葉も自分に合っていると思いました。それで、写真展が決まったときからこれを題材に取り入れようと考えていました。それを福島さんに伝えて、撮影に挑んだという感じですね。

来場者の方には、かすみ草を一輪プレゼントしています。家に帰っても写真展を思い出してもらえるようにしました。

――お気に入りの1枚は?

1枚選ぶのは迷っちゃいますね(笑)。一番ということだと、夜景をバックにホテルの部屋で撮影した写真です。モノクロなのに、夜景が本当に光っているようで綺麗じゃないですか? それに、なぜか惹かれる部分があるんですよね。

――撮影は緊張しましたか?

緊張はしませんでした(笑)。むしろ楽しくて夢中になっちゃいました。夜遅くまで福島さんと撮影が盛り上がって、スタッフに「そろそろ……」といわれたこともありましたね。私はまだいける! と思っていたのですが。

――撮影中に心がけていたことは?

体型と肌を最高のコンディションで臨めるように準備していました。それくらいですね。撮影中は本当に楽しんでいました。

――福島さんの撮影はどのような感じでしたか?

福島さんの言葉や撮影中の雰囲気は、感情が乗ってきやすいんです。なので、かすみ草を持っているシーンではいろいろな感情がこみ上げてきて泣いちゃいそうでした(笑)。すごく女の子のことをちゃんと見て撮ってくれるから、感情が持っていきやすかったですね。撮影中は褒めてくれることが多かったですよ。

miruさんの語りによる音声ガイドも

――撮影を終えての感想は?

作品を見たときに、ほとんど加工をしていないのにちゃんと見られる写真になっていて、自分でも成長したというか良かったと感じる部分でした。そして、写真展が開催できたことで活動に身が入るというか、もっと頑張ろうというふうに心境がかわりました。

移籍もせず名前も変えず写真展もしていなかったら、3年目でこの仕事は辞めていたと思います。そういう気持ちが大きく変わりました。

――読者にひと言をお願いします。

ここに来てくれたらいままで応援してくれた方は感慨深いと思いますし、お花が飾ってあったりもして女の子も楽しいと思うのでぜひいらしてください。私の在廊日も多いので、会場でお待ちしています。

「かすみ草をファンに見立てた」――福島裕二

――miruさんを撮る事になった経緯は?

彼女の移籍にあたって事務所の社長から「何かやりませんか?」という話があって、「ぜひやりたいですね」ということで決まりました。彼女は写真が好きな子で、ずっとこういう写真を撮りたいというのがあったのですが、なかなか機会が無かったんです。かすみ草という想いのある良いテーマもあって、じゃあやろうということになりました。

福島裕二さん。「ジャンヌ・ダルクじゃないけれど、“我が光はここにある”という彼女の意思が現れています」というお気に入りの作品と

――コンセプトと作品の解説をお願いします。

ファンへの感謝も込めて、さらに頑張っていきたいという決意表明があったので、それを形として見せるということです。

展示の最初の方にはかすみ草と一緒の写真があります。僕はかすみ草をファンに見立てて、「抱いちゃえよ」と。そういうイメージです。かすみ草はたくさんの花が付いていますが、それもファンへのたくさんの感謝だと考えました。

だから彼女は、かすみ草を慈しんでいるんですね。かすみ草の間から手を伸ばした写真がありますが、あれは「まだ足りない。もっと欲しい」という現状に満足していない気持ちを表しています。

それから重要な2枚の作品があります。いずれも彼女を背後から写したものです。右の写真は絵画っぽくて古いイメージ。足下も見えないし、道も見えない。だけど奥に何かが光っている。これは名前が変わる前の彼女を表しています。一方左は、名前が変わった後です。足下もしっかり見えて、目標としての道もある。これからしっかり歩いて行くという対比になっています。

――miruさんの印象は?

体力お化けのところがあって、撮影にも没頭できるし楽しんでくれるし、写真が好きな子です。僕の写真を好きと言ってくれるので、それは嬉しいですね。素直に被写体として楽しいし、綺麗だし。見ての通りそのまま魅力が写っていると思いますね。

――撮影期間がかなり短かったと聞きました。

九十九里では1時間ほどの撮影でした。それと別日で6時間くらいでしたね。基本的に僕は撮影時間の長い短いは関係無いんです。ただ、彼女も撮影経験が多いので、スイッチが入るのが早いというのはあると思います。

――――撮影時の工夫があれば教えてください。

古典的な手法ではありますが、シャッタースピードを遅くしてストロボと組み合わせてブラした作品があります。これによって、彼女のセクシーな魅力を表現したかったのです。

もう一つはスマホのライトを照明に使ったということです。片手でスマホを持って、片手でシャッターを切りました。暗い写真のほとんどはこれで撮っています。指で遮って光量と範囲を調節するんですね。

――撮影機材について教えてください。

今回は100%ライカですね。50mmのアポ・ズミクロンを付けたM10-RとM10モノクローム、21mmのスーパー・エルマーを付けたM10-R、そしてQ2、Q2モノクロームです。レンズはE58のノクティルックスも少し使いました。それと、展示の最初にあるフレアのある写真はズマールというレンズをつかっています。

撮影に使われた機材

――読者に一言お願いします。

例えば、「これピント合っていないけれど、ただのピンボケ写真とは何かが違う……」とかそういう部分を見て欲しいと思っているので、ぜひ一度来てもらいたいと思います。形を決めて撮るのも良いと思うのですが、その人に向き合う大事さというのも感じて欲しい。特に今ポートレートが流行っているので余計にそう思います。

写真として良い時間を閉じ込められるということは、自分が幸せになれるということ。良い写真だなって、何度でも幸せな気持ちになります。見方を強要するつもりは無いですが……。あとはプリントの素晴らしさを感じて欲しいと思います。

色々話しましたが、miruちゃんが如何にステキかというのがわかりますよ!

Tシャツや図録など様々なグッズの販売も

写真展概要

会場

AtelierY -青山-
東京都渋谷区神宮前3-5-2 EFビル 地下1階

開催期間

2021年7月16日(金)~7月25日(日)

開催時間

平日:15時00分~19時00分
土日祝日:11時00分~19時00分

休館

7月21日

入場料

無料

在廊日

7月22日(木)15時00分~17時00分
7月23日(金)17時00分~19時00分
7月24日(土)13時00分~16時00分、18時00分~19時00分
7月25日(日)11時00分~12時00分

ギャラリートーク(有料)

日程:7月24日(土)17時00分~18時00分
参加費:3,000円(事前予約)、3,500円(当日予約)
定員:30名

1981年生まれ。2006年からインプレスのニュースサイト「デジカメ Watch」の編集者として、カメラ・写真業界の取材や機材レビューの執筆などを行う。2018年からフリー。