写真展

Ann Giordano写真展「In My Courtyard」シリーズからのセレクションより

(ギャラリー冬青)

わたしの庭では、好んで植えた草木と、どこからともなくやって来て根付いた雑草達が共に植生を成しています。ナデシコや、ニコチアナ、ツツジ、ヨルガオな どに混じってタンポポが生えていると言った具合に。

そこでわたしは、どんな植物が庭を訪れ、根を下ろすのかということを観察し始 めました。植物たちが引っこ抜かれたり、ほかの植物と競合したりしながらも生き抜いていく様子が、わたし自身の変化、親しい友人の死、闘病、そして両親の 衰えを目の当たりにする事などと共鳴して、わたしの作品制作にインスピレー ションを与えるようになったのです。

タンポポはもはや侵入者ではなく、困難を乗り越えた生存者として受け入れられ、根付いています。バラやランの花、イチョウの葉は、地に還り永遠のものと なり、ヨルガオは、夜の訪れとともに、まるで満月のように美しく香り高い花を 一思いに咲かせ、朝になるとまたしぼんでしまいます。その葉を残したままにして。

In My Courtyard は、これらのイメージを作品化したものです。

2006年から、生きること、変化すること、自然衰退や死について、植物のイメージを使って表現しようと研究して来ました。植物の標本をネガとして、日光写真などのカメラを使わない写真技法を使用し、毎年作品を制作しています。印画紙を紫外線に露光して、1枚きりのオリジナルプリントを焼き付けます。

サンプリントとルーメンプリントが現像とトーニングを実験する為にあらかじめ コーティングされた印画紙を使う一方で、サイアノタイプの薬品は、水彩画用の紙に手でコーティングしています。

今回は、これらのオリジナルプリントのアーカイバルピグメントプリントを展示します。

(写真展情報より)

  • ギャラリー冬青
  • 住所:東京都中野区中央5-18-20
  • 会期:2013年9月6日(金)〜2013年9月28日(土)
  • 時間:11時〜19時
  • 休館:日・月・祝

(本誌:折本幸治)