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なぜ今、アジアで「Kodak」が着られているのか?

日本でもポップアップストアが展開中

Kodak Apparelポップアップストア(名古屋)

Hilight Brands Japan株式会社が展開するライフスタイルブランド「Kodak Apparel(コダック アパレル)」の東海地区初のポップアップストアが、名古屋PARCOにて4月24日(金)からスタートした(終了日未定)。

伝統あるコダックのロゴやアーカイブを使用したアパレル群が、韓国ソウルのフラッグシップストアに着想を得た空間に一堂に会する。Kodak Apparelの概要、名古屋ポップアポプストアのオープン初日内覧会の様子をレポートするとともに、Kodak Apparel Japanを展開するHilight Brands Japan代表取締役の小森優敏氏に話を聞いた。

アジア各国で盛り上がるKodak Apparel

写真に興味がある人はもちろん、歴史ある世界ブランドとして抜群の知名度を誇るコダック。写真好きにとってはフィルムメーカーというイメージが強く、アパレルのみで店舗展開をしているという点がとても新鮮に映る。その背景にはどのような経緯があったのだろうか。近年ではコダック製のデジカメなどが人気となっている一方、フィルムも根気強く販売を継続中。素直にコダックの内情が気になるところだ。

「Kodak Apparelが誕生したのは2020年です。韓国でファッション、スポーツウェア、アウトドア、シューズなどさまざまなブランドを展開している『Hilight Brands』がコダックからアパレル商品化の権利を取得し、韓国を皮切りにアジア各国で展開をしています。完全にアパレルのみに特化していまして、ポップアップストアではKodak Charmeraも取り扱っていますが、それはわたしたちも他社から仕入れて販売しているという流れなんです」(小堀社長)。

人気のKodak Charmera。引き当て式、どのデザインが出るかわからないというワクワク感、そしてチャームとして持ち歩けるという気軽さで大ヒットを記録。これはKodak本社ブランドの商品だ

Kodak Apparelはわずか数年でアジアで約100店舗を数えるほどに成長。日本では2023年に「Hilight Brands Japan」が設立され、2025年5月に東京・原宿店をオープン、そして渋谷PARCOでのポップアップ(2025年11月)、MIYASHITA PARKでのポップアップを経て(2026年4月22日〜5月18日)、今回の名古屋ポップアップストアという流れとなっている。アジア各国と比較すると日本展開は後発となっている印象だが、日本国内での展開に難しさはあるのだろうか。

「ショッピングモールに出店すればすぐに売れる、というような市場動向ではなく、流通チャネルが細分化されているため掴みにくさはあると思います。ですから、結果が出るまで数年かかる前提で長期目線の計画をしていましたが、渋谷PARCOでのポップアップストアは13日間で1万3,250人以上の動員を記録するなど大きな反響があり、とても手応えを掴んでいます」(小堀社長)。

Hilight Brands Japanの小堀優敏社長。スポーツウェアブランド出身で、近年は韓国初のブランド「KIRSH」の日本展開を成功させており、Kodak Apparelの日本での人気確立にうってつけの人材だったといえる

Kodak Apparelの商品群の人気に秘密

カメラ・写真関係のライセンスビジネスといえば、かつては「ゾンビブランド」と揶揄されるようなブランド名のみの存続という形態も散見されたが、Kodak Apparelはそれとは全く異なる。成功の要因には「韓国のブランド」という若者に支持される強力な背景があるほか、ブランディング、方向性、商品開発がしっかりとかみ合い、コダック新時代というようなムーブメントを形成しているからだろう。

「若年層にとっては、カメラメーカーとしてのコダックというイメージではなく、レトロでかわいいファッションブランドとして受け入れられています。同時に写真愛好家にも受け入れられる要素があるため、結果として幅広い年齢層にアプローチできていると感じますね。またコダックのアイコニックなロゴ、イエロー、レッド、オレンジなどの暖色系カラーはデザインとして強みがあり、ベースデザインのアイテムは世界的に即完売するほどの人気となっています」(小堀社長)。

レトロテイストのTシャツ。機能性、デザイン性、ロゴの存在感などのバランスが考え抜かれている

価格帯はTシャツで7,000〜8,000円、ジャケットで2万円台ほど。商品群にはバッグ、キャップ、シューズなどもあり多様だ。どの商品もコダックのロゴは付いているが、トレンドのシックスレングスショーツがあったり、アーカイブを使用したフォトプリント商品があったりと、コダックというブランドを活かすこととトレンドの両立が図られていることも伝わってくる。

「当初はカメラマンベストなどの本格的な写真関連アイテムなども検討しましたが、それでは若者への根本的な訴求にはならないだろうと。しっかりとライフスタイルブランドとして、機能性を保ちつつ、着やすくファッションに取り入れやすい日常のカジュアルウェアのバランスに調整しています。Hilight Brandsは、現在『MALBON GOLF』『DIADORA』『SIERRA DESIGNS」『FRUIT OF THE LOOM』などのブランドも手掛けていますから、デザインと品質という点でのこだわりは強いと思います」(小堀社長)。

名古屋ポップアップストア、内覧会の様子

2026年4月24日(金)、名古屋PARCOで長期のポップアップストアがスタート。その初日に内覧会が行われた。要所要所にコダックイエローが使われてとてもカラフルな空間に2026SSを中心とした商品を展開。ポップアップストアのコンセプトは「Creative Moments」で、ブランドのルーツや世界観と現代の感性が交差する空間が意識されており、過去から現在、そしてこれから生まれる新たなクリエイティブやカルチャーへと繋がるストーリーを来場者自身が体感できる場となっている。

これを感じさせるのが、ところどころに配置されている往年のカメラや「E-6(コダックの現像の規格)」が書かれたアイテムなどだ。これらを「懐かしい」と楽しむのではなく、内覧会に招かれた多くのインフルエンサーが興味を示し、店内の至るところでSNS発信のための撮影を行っていたのが印象に残った。

写真業界からすると、フィルムメーカーのアイテムが広く受け入れられている様子を見るのはうれしい限り。Kodak Apparelの近年の展開、そしてカメラ業界としては異例中の異例の大ヒットとなったKodak Charmera、コンデジブームの中心にいるコダック製コンパクトデジタルカメラなど、全てが相乗効果を生んでいると感じた。

Tシャツは満遍なく人気が高いそう。個人的にはエクタクロームとレーシングカーのフォトTシャツのデザインが、往年のアメリカンな雰囲気でとてもかっこいいと感じた
キャップは色とりどり。ロゴのパターンもいくつもある
キャップは大人気とのことだが、実際にインフルエンサーがこぞって試着をしており、人気の高さを伺わせた
プリントサービスも行われていた。その場でプリントを手にするというアナログ体験は若者には新鮮な体験のはず。コダックのこれまでの歴史も大切にした展開
エクタクロームデザインのチェアなど、写真や映画フィルムを彷彿とさせるインテリアも多い
かわいらしいお客さんの姿も。コダックというブランドは脈々と受け継がれていくはずだ
ベースボールシャツもアメリカを代表するデザイン。2026SSの人気アイテムだそう

今後の日本国内での展開

名古屋ポップアップストアは、長期間にかけて開催するということは決定しているが、終了日は未定。並行して主要都市での全国規模のポップアップストア展開も計画されている。

「今回、東京での反響を受けて初めて東海地区でポップアップストアを展開し、より多くの方にKodak Apparelを手にしていたただけるようになりました。2027年にかけて、大阪をはじめ全国でポップアップをさらに展開していく予定なので、楽しみにしていただければと思います。そして、現時点でも韓国のMDチームは日本はもちろんアジア各国の意見を積極的に採り入れてくれる環境ですが、今後は日本のストリートカルチャーを落とし込んだ日本限定のグラフィックなども提案していきたいですし、コダックのアーカイブを活かし、写真好きのみなさまにも喜んでいただけるラインも展開していきたいと考えています」(小堀社長)。

アパレルを入り口に、フィルムカルチャー、写真カルチャーへの良い影響は必ずあるはず。そんな視点からもKodak Apparelの今後に注目していきたい。

Kodak Apparelポップアップストア(名古屋)

  • 期間:2026年4月24日(金)〜未定
  • 会場:名古屋PARCO 東館1F(愛知県名古屋市中区栄3-29-1)
  • 営業時間:10時00分~20時00分
    ※営業時間は時期により変更となる場合あり。最新情報は施設の公式情報を要確認
鈴木文彦

フィルム写真専門誌『snap!』を創刊したのち、『フィルムカメラの教科書』『中判カメラの教科書』『チェキit!』『オールドレンズの新しい教科書』『FUJIFILM画質完全読本』など、趣味の写真にまつわるムックや書籍を企画/編集/執筆/撮影。現在、『レンズの時間』『FILM CAMERA LIFE』を定期的に刊行中。