イベントレポート
蜷川実花氏の作品など、葛西臨海公園で真夏のインスタレーション「海とつながる。アートをめぐる。」が開催中
水族園ガラスドームも噴水&ミストで演出
2024年8月2日 13:30
今年も葛西臨海公園にひまわりが咲き誇る季節を迎えた。4万本の花に加え、写真家の蜷川実花氏らアーティストによるアート作品が出現した。都立公園の魅力を高めようと東京都が行なう取り組みの一環で、「海とつながる。アートをめぐる。—Harmony with Nature—」と題したアートインスタレーションだ。会期は8月2日(金)〜8月18日(日)。
駅から中央園路を歩いていくと、正面に展望レストハウスのクリスタルビューが現れる。その壁面には普段見られない、ポップな色合いの花々の写真が描き出された。蜷川実花 with EIMによる「Garden of Sky(空の庭園)」だ。バックは鮮やかなブルー。
「空と溶け合うような空間を作りたいと思った」と蜷川さんは話す。この公園は学生時代から何度も訪れた思い入れのある場所であり、この企画を受けた時、蜷川さんがこの場所で展示したいと申し入れたそうだ。
屋外からは花とともに館内にいる人たちの姿が透けて見え、作品のモチーフとして重要な役割を果たす。
景色を一望できる館内のスペースには、多種多様なクリスタルが天井から吊り釣り下げられた。光を通すフィルム素材のコルトンを使い、ひとつひとつ蜷川さん自身が手作りし、配置したという。制作期間は約2ヵ月。
「外からの光を受けて、見え方が変わります」
そこには瞬間の美しさ、儚さもある。工夫次第で予想外のイメージが撮れそうだ。
ひまわり畑には3つのアートを設えた。1つは平子雄一氏による「Wooden Wood 73」。植物や自然と人間がいかに共存していくかや、自然と人の曖昧な境界線などをテーマに制作を行なう作家だ。
この作品の素材は木。本は人間が文明を発展させるきっかけの1つであり、サボテンは現在、観葉植物として人気の品種。
「自生しない場所に植えられ、人工の生態系が生まれている。ネコと犬は野生でも、人との共存できる生き物です。これを自然の中で見ることで、何かを感じたり、考えるきっかけになれば良いと思う」
作品に施した色は敢えて不自然な色合いを選んだそうだ。
その向かいには約8mのワイドなモニターが置かれ、音と映像が流れる。落合陽一氏の「リキッドユニバース:向日葵の環世界のコペルニクス的転回」だ。
写し出す映像はAIが作り出したひまわりのイメージ。現実との対比により、未来の自然観を想像させる試みとなる。
4つ目の作品は映画監督の河瀨直美さんによる「隠されたもう一人の私。ひまわり畑での問いかけ」。作品は写真でも映像でもなく、文字。畑の通路内に8つのメッセージを置いた。
周囲が見渡しづらい、ひまわりの道を歩いていくと、突然、メッセージが現れる。その投げかけに触発され、何らかの想いや、ストーリーが浮かび上がる。自分を発見する散策だ。
葛西臨海水族園にも新たな撮影スポットが加わった。「海とつながる」と題したミストによる演出を行なっている。
場所は園内入口からガラスドームをつなぐエリア。加えて、ガラスドーム周囲の噴水も普段より強化されている。
白く広がる霧は、眼前に広がる海と、広場の池をまさに海と一体化して見せる。
8月11日(日)〜8月14日(水)には「Night of Wonder〜夜の不思議の水族館〜」と銘打ち、夏の特別イベントを実施する。開園時間を3時間延長し20時00分までとするほか、屋外ではライティングによる演出を行なう。館内では照明を消し、暗闇で魚たちと時間を過ごす。霧は15分間隔で、約2分半発生する。
さて、どんなシャッターチャンスが訪れるのか、行ってみないとわからない。
展示・イベント名
海とつながる。アートをめぐる。—Harmony with Nature—
期間
2024年8月2日(金)〜2024年8月18日(日)
場所
葛西臨海公園・葛西臨海水族園