イベントレポート

ソニーα向け「カスタム・グリッド・ライセンス」サービスが発表…PHOTONEXT 2024(前編)

GFX100S IIなど富士フイルム新製品も/ライティングアクセサリー関連も充実

写真館などのフォトビジネスおよびプロフォトグラファーを対象としたイベント「PHOTONEXT 2024」が6月11日(火)と6月12日(水)にパシフィコ横浜で開催されている。主催はプロメディア。

訪れた初日は午前中から多くの来場者で賑わっていた。熱心にスタッフの説明を聞いたり、セミナーを聴講する来場者が多く見られた。

通路まで混雑しているほどの盛況ぶりだった

ソニーが「カスタム・グリッドライン ライセンス」を発表

ソニーは写真館やスタジオ向けの導入提案を行うブースを展開。カメラやレンズのハンズオンコーナーも人気だった。

ソニーブースのハンズオンコーナー

そのなかで今回、αシリーズ向けの新サービスとなる「カスタム・グリッドライン ライセンス」を国内で初めて参考出展した。対応カメラのモニターに好きなグリッドラインを表示できる機能拡張サービスとなっている。

スクリーンにグリッドを表示できる
対応機種

アメリカとカナダではすでに開始されているサービスで、国内では夏頃にスタートするという。同社のプラットフォームであるCreators' Cloud経由で購入することで使用可能になる。対応機種は当初「α9 III」「α7 IV」「α1」「α7S III」で、今後増やす。

1ライセンスで1台のカメラに対応する。価格は未定だが、2万3,000円程度になりそうだとのこと。個人でも購入可能だが、価格は法人向けを想定したものという。

ユーザーがPhotoshopなどで作成したグリッドのpng画像をカメラに転送することで、レイヤー的に重ねて表示できるというシステム。4枚まで登録して切り換えられる。HDMI出力時も有効。

主に人物写真の撮影での利用を見込んでおり、グリッドに合わせれば誰でも同じ構図で撮影できるメリットを訴求していた。学校でどの先生でも同じく撮影したいといったニーズに応えるという。

グリッドの表示例。カラーで表示に対応
こうした複雑なグリッドも利用できるようになる
縦位置にも使える。これは三角形の間に顔を置くという提案

PNG画像なのでグリッド以外のロゴやイラストなども表示可能。カメラ内で合成はできないが、PCでの合成時の位置確認用として使用できる。また数字などで作っておくと人文字の撮影時のガイドにも使えるのではないかとのこと。

ソニーは2019年を最後に本イベントに出展していなかったが、今回改めてプロユーザーに訴求したいと出展したそうだ

X-T50やGFX100S IIを展示した富士フイルム

富士フイルムは例年通り入力から出力までを提案する大きなブースを展開しており、発売前のカメラやレンズも並んでいた。

ブースにはフィルムシミュレーションをアピールする巨大なフィルム型のオブジェが登場。今回新たに制作されたもので、今後のイベントでも活用していくそう。来年のCP+でも見ることができるかもしれない。

6月28日(金)発売の「X-T50」はラインナップ中の小形軽量モデル。フルオートのスイッチもあるので初心者でも使いやすいという。上位機種には無い内蔵ストロボもアピールしていた。

X-T50

同時に発表されていた「XF16-50mmF2.8-4.8 R LM WR」も試すことができた。こちらも小形で、ズームで全長が変わらないインナーズームという点もポイントになっている。

XF16-50mmF2.8-4.8 R LM WR

ラージフォーマット機では同じく6月28日発売(金)の「GFX100S II」が展示。「GFX 100 II」に対して8K動画の省略や連写速度を落とすことで価格を抑えたモデル。画質はGFX 100 II同等で、8段分の手ブレ補正機構も搭載している。

GFX100S II

GFX向けで初となる超望遠単焦点レンズ「GF500mmF5.6 R LM OIS WR」もあった。35mm判換算で396mm相当の焦点距離ということで、天体や野生動物の撮影などのニーズに応えるという。

GF500mmF5.6 R LM OIS WR

GODOXのストロボ製品が進化

ケンコープロフェショナルイメージングのブースでは、GODOXなどの新製品が並んでいた。

円形ヘッドのクリップオンストロボでは「V1 Pro」が新モデルとなる。着脱可能なサブフラッシュを搭載しており、バウンス時にキャッチライトを入れることができる。充電式のバッテリーも進化し、直接のUSB充電に対応した。加えて容量も従来より増えている。

V1 Pro
サブフラッシュは使わないときは外せる
バッテリーはUSB Type-C充電に対応

ワイヤレストリガーの「X3」も新製品。タッチスクリーンや側面ダイヤルの採用でスマートウォッチのような操作性を実現している。多機能なワイヤレストリガーとしては小形軽量になっている。

X3はかなり小形
上面は全面ディスプレイで表示も鮮明

新製品ではないが、スタジオ用スタンドをそのまま小型化したような製品が展示されており目を引いた。スタンドで知られるマシューズの製品。金属製で本物同様のギミックを備えている。ディスプレイモデルに見えるが耐荷重は3kgあり、ブツ撮りのスタジオなどでは実際に活躍しているとのこと。

いわゆる「Cスタンド」のミニチュア版といったところ
本物と同じ固定システムになっている
本物同様の畳み方が可能

シルバーカラーは定番品で3万9,800円、ブラックはシルバーとのセットモデルでのみ購入可能となっている。会場では10セット限定でセットモデルの特価販売を行っていた。

会場特価で売られていたシルバーとブラックのセットモデル

電源部内蔵のLEDライト

ケンコー・トキナーは「ZHIYUN」のLEDライトの新モデルを展示していた。「MOLUS B SERIES COB LIGHT」で6月14日に発売する。100/200/300/500Wの4モデルをラインナップする。価格は4万7,800円~12万円。

100Wモデル。3方向にファンを搭載

いずれもボーエンズマウントを採用したバイカラータイプ。電源部を内蔵しているのが特徴で、ACアダプターが不要になり取り回しが良い。それでいて小形に作ってあり、特に500Wタイプは出力に対して小さい印象だった。

最大の500Wモデル。ACコードで直接電源供給している

Bluetooth接続でスマホアプリに対応し、複数台を同時コントロールすることもできる。

3色対応の自立式レフ板

レイクプラッツはSMDVの新製品「Flip Bansaリフレクター」を展示。人物撮影などに向けた自立式のレフ板となっている。6月11日(火)発売で価格は3万8,000円。

Flip Bansaリフレクター

SMDVのソフトボックスなどに見られるフリップシステムを採用しており、簡単に展開と折りたたみが可能。反射面はシルバーで、ホワイトとゴールドに変更できるシートも付属する。付属のスタンドを外せば、一般的なスタンドに装着可能。

色を変えるシートは数カ所の固定で簡単に着脱可能
フリップシステムの折りたたみ機構を採用している

入手しやすいリングライトアダプター

ライティングアクセサリーなどを手がけるサンテックではリングライトのような効果を得られる「あましょくディフューザー」を展示。6,050円で近日発売する。名称は菓子の「甘食」に似ていることから。

あましょくディフューザー
クリップオンストロボを付けたところ

クリップオンストロボなどを装着し、ソフトな円形の光を得られるディフューザー。収納時は丸レフのようにひねることで直径17cmに畳める。同様のアイテムは以前から存在したが、今回量販店でも扱うことでより入手がしやすくなるとしている。

直径130cmと大きめのホワイトアンブレラ「PW130」も5月発売の新製品。価格は1万5,950円。従来のアンブレラよりもコントラストを強く表現できるというディープ型となっている。骨はグラスファイバー製の16本構成で、より円形に近い光になるとしている。

PW130。最近は光のコントロールがしやすいディープ型も人気とのこと

同社のアンブレラはブランドロゴがプリントされておらず、型番のみの記載とシンプルなのも特徴。特定のブランドロゴが目立つアンブレラが敬遠される機材レンタル会社などからの引き合いも好調という。

1981年生まれ。2006年からインプレスのニュースサイト「デジカメ Watch」の編集者として、カメラ・写真業界の取材や機材レビューの執筆などを行う。2018年からフリー。