イベントレポート

OM-D E-M5 Mark IIIのハンズオンが盛況の「OLYMPUS Photo Festa 2019」

全国5都市を巡回 オリンパス100周年やPENデザインの展示も

オリンパスが11月下旬に発売するミラーレスカメラ「OLYMPUS OM-D E-M5 Mark III」(以下E-M5 Mark III)をいち早く手に取れるイベント「OLYMPUS Photo Festa 2019」が10月20日、名古屋会場を皮切りにスタートした。名古屋会場にお邪魔したのでその模様をお伝えしよう。

E-M5 Mark IIIを存分に触れるハンズオンコーナー

会場は製品ハンズオンコーナーを中心に、トークライブ、プロギャラリー、メンテナンス講座などで構成。E-M5 Mark IIIは会場各所に15台ほど用意され、いずれも操作感やサイズ感を確かめることができた。

前モデル「OM-D E-M5 Mark II」まで控えめだったサムグリップが大きくなった。これにより、MFフィルム一眼レフカメラのようなルックスを維持しつつ、ホールド性能ははかなり良くなっている。ISOボタンも設けられた。

バッテリーも変更されている。より小型の「BLS-50」を採用。

会場には通常のハンズオンコーナーに加えて、「レンズハンズオン」と呼ばれるエリアもあった。各種M.ZUIKOレンズの装着例を見ることができる。

M.ZUIKO DIGITAL ED 12mm F2.0(装着レンズ、以下同)
M.ZUIKO DIGITAL 17mm F1.8
M.ZUIKO DIGITAL ED 30mm F3.5 Macro
M.ZUIKO DIGITAL ED 45mm F1.2 PRO

片岡摂哉本部長インタビュー

開発の陣頭指揮を執った片岡摂哉氏(映像開発本部本部長)に、E-M5 Mark IIIについて聞いてみた。

——性能が底上げされた結果、上位モデルのE-M1 Mark IIに近いスペックになりました。コンセプトをどう差別化しているのでしょうか。

E-M5 Mark IIIは性能を維持しつつ、小型軽量なボディを生かした軽快な撮影を楽しむための製品になります。フラッグシップとして展開しているE-M1X、E-M1 Mark IIとあわせ、3製品で様々なニーズをカバーできます。

——E-M1Xが出たとき、これから小型軽量を担うのはE-M1 Mark IIとなり、E-M5系列はもうなくなるのかと危惧しました。E-M5系列を残した意味はどこにあるのでしょうか。

E-M1 Mark IIを出した時、「この性能をE-M5のボディで実現して欲しかった」という声をよくいただきました。もともと弊社は機能を凝縮させる設計が得意ですし、OM-DシリーズはE-M5から始まっています。OM-Dらしさが一番現れるということで、E-M5系列に思い入れのある方が多いのです。そのため、現時点でE-M5系列をなくす選択はありませんでした。

——E-M5 Mark IIIは、他社で言うところのミドルクラスになるのでしょうか。そして、どういう思想で上位・下位機種とのバランスを取ったのでしょうか。

ミドルクラスに何を入れるかは、各社の考えが一番出るところです。エントリークラスと異なり、撮影ジャンルが幅広いのも特徴でしょう。E-M1 Mark IIで得た性能をそのまま小型化することで、E-M5系列の良さを生かしつつ、より多くの人にフレンドリーな製品としました。

——キットレンズが高倍率ズームレンズなのも、間口の広さを担保するためでしょうか。

撮影するジャンルがある程度決まっているプロ・ハイアマに比べ、ミドルクラスを求める方は様々なジャンルに挑戦される傾向があります。キットレンズのM.ZUIKO DIGITAL ED 14-150mm F4.0-5.6 IIの採用もそうしたニーズを考慮したためです。

——バッテリーを小型のものに変更しました。省電力化を進めた結果でしょうか。

デジタルカメラは性能が上がるほど、バッテリーに求められる性能が高くなります。消費電力もそれに連れて増えますが、本機では性能を上げつつ消費電力を抑えるチャンレンジをしました。そのため回路設計は基本的に変えています。

——片岡さんが考えるE-M5 Mark IIIの特徴を挙げていただけますか。

まず、ハイスペックを小型化したことです。小型化に際して、画質やAF性能に妥協はありません。

2つ目は操作性の良さです。OM-Dシリーズは代を重ねたこともあり、それらのフィードバックをE-M5 Mark IIIにもいかしてます。

3つ目はデザインです。道具としてのデザインの良さ、持つ喜びを感じるデザインを目指しました。ぜひ触って欲しいです。

——E-M5 Mark IIIは小型軽量で軽快な撮影を担うポジションにあります。そうなるとより小型の下位モデル、OM-D E-M10 Mark IIIの立場はどうなるのでしょう。

ミドルクラスのE-M5系列は、すでに撮影の楽しさを知っている方に向けたモデルになります。一方E-M10系列はエントリークラスに位置づけており、撮影の楽しさを知ってもらうため、裾野を広げるための製品です。例えば子どもを撮るためE-M10 Mark IIIを購入した方が撮影の楽しさに触れ、風景や動体などの撮影に上位モデルで挑戦する……といったストーリーですね。

——同じくエントリークラスのE-PL系列の役割は?

E-M10系列の方がファインダーある分、望遠レンズを使った撮影などひと通りの撮影がこなせます。それに対してE-PL10は、もっとカジュアルな層に向けた製品です。スマートフォンで撮影の楽しさを知り、もう少し本格的に撮影してみたい方などが手に取りやすいよう企画しています。

——このイベントの見どころは?

新製品の体感イベントではありますが、写真家トークライブや被写体別おすすめ展示などを通じて、写真文化そのものの楽しさや広がりを感じていただけたらと思います。

スナップ、野鳥、鉄道…ジャンルも様々な写真家トークライブ

写真家トークライブも3ステージ行われた。

清水哲朗さんのトーク「OM-Dで撮る令和の街」では、前々日に名古屋入りして取り下ろした新作が披露。小さなカメラのため持ち歩きがたやすく、人を撮る時も威圧感を与えないため自然な表情が引き出せるとのこと。

清水哲朗さん

菅原貴徳さんは「OM-Dで撮る 鳥たちの暮らす景色 〜南国フィジー編〜」で、フィジー取材の模様を報告。望遠に強いマイクロフォーサーズの特性や、野鳥を追い続けるAF性能について解説した。

菅原貴徳さん

今回の名古屋出張では、E-M5 Mark IIIと3本のプロレンズ(17mm F1.2、300mm F4、40-150mm F2.8)、テレコン2つ、ノートPCをこのリュックに入れて会場入りしたそうだ。

山下大祐さんは、「鉄道ダイヤ情報」副編集長の星野洋一郎さんと鉄道写真に関するクロストークを実施。「鉄道写真の万能薬 OM-Dの機動力」と題し、コンパクトにまとまるシステム、強力な手ぶれ補正、信頼度の高い防塵防滴性能などを紹介した。

山下大祐さん(左)、星野洋一郎さん(右、「鉄道ダイヤ情報」副編集長)

オリジナルトートバッグがもらえるプレゼントも

その他のコーナーも紹介しよう。

1月に開発発表のあった「M.ZUIKO DIGITAL ED 150-400mm F4.5 TC1.25× IS PRO」は、E-M1X発表イベントの時と同様、透明ケースの中での展示で情報のアップデートはなかった。2020年の発売が予定されている。

サービスセンターのプロが教えるメンテナンス講座。ボディ外装、イメージセンサー、レンズなどかなり充実した内容だった。

トークイベント登壇写真家が撮影した作品の展示。多彩なジャンルの作品が並び、E-M5 Mark IIIの守備範囲の広さがうかがえる。

10月12日に創業100周年を迎えたオリンパス。それにちなんだコーナーもあった。OM-Dの先祖ともいえるフィルム一眼レフカメラOMシリーズの代表モデルもいくつか展示されていた。

OM-1

E-M5 Mark IIIと同時発表のエントリーミラーレスカメラ「OLYMPUS PEN E-PL10」のコーナーもあった。

こちらは「PEN Stroke OLYMPUS PEN デザインの10年展」。東京・大阪の両オリンパスプラザで開催された同盟の展示を再現したもの。同社のデザイン部が企画を担当した。

会場にカメラ雑誌を持参すると、オリジナルトートバッグがもらえるコーナーも。当社刊行の「デジタルカメラマガジン」も対象だ。

今後のスケジュール

「OLYMPUS Photo Festa 2019」は今後、大阪、札幌、福岡、東京の順に巡回する。

詳細はこちらのページをご覧いただきたい。

本誌:折本幸治