コラム
プロに聞くカメラ清掃テクニック
ボディ外装からレンズまで シルボン紙の巻き方を動画でレクチャー
2019年12月30日 12:00
オリンパスが先ごろ開催したイベント「OLYMPUS Photo Festa 2019」で、カメラのメンテナンス講座が好評を博していた。全国5会場とも同講座はほぼ満員という盛況ぶりとのこと。
そこで今回、そのメンテナンス講座の内容をオリンパスのプロサービス担当に再現してもらい、詳しい手順などを聞いた。自分のカメラ清掃に不安がある方は、プロのメンテナンスを参考にしてほしい。
目次
・カメラ清掃への意識は高いが……
・使用アイテム
・ボディ外装
・フタの内側
・ボディ側マウント
・ファインダー
・背面モニター
・レンズ外装
・レンズ側マウント
・レンズ表面
・レンズの仕上げ
・フードとキャップ
・電子接点
・プロの道具を拝見(参考)
・カメラの掃除にチャレンジしよう
カメラ清掃への意識は高いが……
同イベントのメンテナンス講座は、サービスセンターのプロがクリーニングなどの講義をし、そのあと参加者にメンテナンスをしてもらうという内容だった。オリンパスによるとカメラクリーニングの需要が高いことから、ユーザーが自分でできるようにとこうした講座を企画したとのことだ。
ホコリなどの汚れが付いたままカメラやレンズを長期間保管したりすると、カビが発生するなど重症化しかねないそうで、そうしたことを防ぐためにもセルフクリーニングはユーザーのメリットになるという。
今回はボディ外装やマウント部分、レンズのクリーニングについて教えてもらった。クリーニングペーパーの使い方やレンズ表面の拭き方など、プロのテクニックを間近で観れたのは収穫だった。
なお、イメージセンサーのクリーニングについては、上記で開催された講座でも扱われていなかった。イメージセンサーにキズを付けてしまう恐れもあることから、必要な場合はサービスセンターに任せて欲しいとのことだ。
使用アイテム
まずはオリンパスプロサービスで使用する道具を紹介しよう。いずれもユーエヌ製だが、オリンパスの直販サイト「OLYMPUS Online Shop」でも販売されている公認の品。これからセルフクリーニングを始めようという人は揃えておくと良いだろう。
ボディ外装
ではボディ外装からクリーニングをしていこう。
レンズが付いている場合は外すが、このとき電源をOFFにしてからレンズを外した方がトラブルが起きにくいそうだ。
ボディ、レンズともすぐにキャップを被せておく。
続いて、ファインダーのアイカップとホットシューのカバーを外す。
最初はブロアーで外装のホコリを飛ばす。スイッチやダイヤルがある入り組んだ場所はホコリがたまりやすいので念入りに吹いておく。
液晶モニターのヒンジ部分もホコリがたまりやすい部分。
次に刷毛を使ってボディ外装を払っていく。刷毛によってブロアーでは取り切れなかったホコリを除去する。
ボディ側マウント
そしてマウント部分のクリーニング。同社のカメラはセンサークリーニング機能が付いているので、イメージセンサー表面にゴミは付きにくいが、マウントの内側(イメージセンサーの外側)にはゴミが溜まっている場合があるそうだ。
そこでブロアーをマウント内側に向けて吹いて、ホコリを飛ばす。この時、イメージセンサー表面にホコリが付くのを防ぐため、マウントを下側に向けると良い。
マウントの表面もクリーニングする。ここは乾いた綿棒でなぞって拭くようにする。
ファインダー
ファインダーも指紋が付いたり化粧が付いたりと汚れやすい部分。見え方にも影響するので綺麗にしておきたい。ここでは、先に挙げたクリーニングペーパーとクリーナーを使う。
クリーニングペーパーは柔らかく毛羽が出ないようになっているそうで、このペーパーのみを使用する。ティッシュやキッチンペーパーはもとより、実験などで使われる紙ワイパーもオリンパスではレンズ表面の清掃には使わないそうだ。
まずクリーニングペーパーを折って、指の腹ほどの大きさにする。
続いてクリーニング液を含ませる。
その状態でファインダー表面を吹き上げる。
ペーパーの折り方や拭き方は動画を参考にして欲しい。ペーパーは綺麗に折ることが重要。このように、段差ができるような折り方だと拭きムラに繋がる。
ファインダーの隅に汚れがある場合などは、クリーニングスティックにペーパーを巻いた上で、クリーナーを付けて清掃する。
ファインダーの角に沿って動かすのがポイント。ペーパーの巻き方などの手順は、動画で確認して欲しい。
レンズ表面
ブロアーでホコリを飛ばす。刷毛は使わない。
ファインダー清掃と同じ要領で、折ったクリーニングペーパーにクリーナーを付けて拭いていく。ファインダー清掃に使ったクリーニングペーパーを再利用するのはNG。ペーパーは1回使ったら捨てること。こちらの拭き方も動画を参照して欲しいが、中央から螺旋状に周囲に向かって拭いていくイメージだ。
後玉も前玉同様、ブロアーで拭いてからクリーナーを付けた新しいクリーニングペーパーで拭く。
レンズによっては後玉が奥まっていて、拭きにくい場合もある。その時はクリーニングスティックにペーパーを巻いて拭くと良い。
フードとキャップ
フードも汚れやすいもの。ブロアーで吹いてから刷毛で払っておく。
キャップも同様にブロアーと刷毛でクリーニング。キャップにホコリがあると、イメージセンサーに付いたりする場合があるので、忘れずに清掃したい。
電子接点
電子接点のクリーニングは、正常に動いている場合は必要ないとのこと。もしボディとレンズで通信しないといったトラブルがあった場合のみ、ボディとレンズの電子接点表面を綿棒で乾拭きする。
またバッテリーの接触不良が起きた場合は、バッテリーの端子を綿棒で乾拭きする。こちらも通常は必要ないクリーニングとなっている。
以上でボディとレンズのクリーニングは全て終了となる。
プロの道具を拝見(参考)
今回、プロが使う道具も見せてもらった。クリーニングスティックを使う場面において、プロはピンセットを使うそうだ。ピンセットの方がペーパーを挟んで巻きやすいため、作業が早いとのこと。
クリーニング箇所やメンテナンス内容に応じて、先端形状などが異なる数種類のピンセットを使い分けている。いずれも先端のかみ合わせが良い比較的高価なピンセットだそうだ。ピンセットを使うのはプロならではで、ユーザーがクリーニングに使うのは同社では推奨していない。ピンセットの先端がペーパーを破ってしまうと、傷の原因になってしまうためだ。
また刷毛についても、柔らかいものから硬いものまで用途に応じて使い分けているそうだ。