イベントレポート
サラ ムーン写真展「D’un jour à l’autre 巡りゆく日々」レポート
日本未公開の近作が中心
2018年4月6日 17:00
サラ ムーンの写真からは時代がきれいに抜け落ちている。被写体に選ばれた人や動物、木々や建物の存在だけが写し出されている。ファッション、モードですらそうだ。
未来ではなく、通り過ぎてきた時間の中にひっそりと在り続ける。だからこそ、時を経ても朽ちることはない。
フランスを代表する写真家の一人である彼女が初めてシャネル・ネクサス・ホールで展示を行なう。このギャラリーでは最も多い展示点数となる約120点で、その多くが近年制作された日本未公開のものだ。
サラは写真とともに、映像作品もいくつか手がけている。会場には昨年来日した際、撮影された映像作品「SWANSONG」も上映されている。
川崎の工場地帯を撮った作品も
「最近、インダストリー、工業的なモノに興味があり、今、取り組んでいる最中です」とサラは話す。
予断なく、その映像を見た時、撮影地が日本だと思わないに違いない。時代すら特定できないかもしれない。
東京湾を出港し、川崎の工場地帯を巡って撮影された。
「理由は分からないが港にも惹かれる。出発のイメージがあるからかもしれない。港、工場は昔からあるもので、コンテンポラリー(時代的)なものだが、時代から離れて在る。私がずっとテーマにしている『時』に関係している」
「SWANSONG」はオリンパス製のデジタルカメラで撮影したものだ。数年前から撮影にフィルムは使っておらず、アナログはネガ付きのポラロイドフィルムだ。
大判のカラー作品はインクジェット出力されたもので、ほかはカーボンプリントなどだ。
どのような出力方式であっても、定着されたイメージには変わりなくサラ ムーンの世界観が広がっている。
外と内の距離が亡くなる瞬間
サラが尊敬する写真家の一人にアンリ カルティエ=ブレッソンがいるようだ。インタビューで彼の2つの言葉を引用している。
写真家として長く活躍する秘訣を問われた時。幸運に恵まれること、撮る欲求があることなどを上げた後、ブレッソンの次の言葉を口にした。
「あなたが写真を撮るのではなく、写真があなたをつかまえる」
彼女は被写体を選ぶ時、「見るものと感じるものとの間に電気が流れる」と表現する。何度も見る光景でも、「心の内で何かがピンときて、外と内の距離がなくなる」。
ブレッソン曰く「…写真…は目と心と頭で作られる」
シャネルのリシャール コラス社長は子どもの頃、雑誌『フォト』でサラの写真を初めて目にしたという。そのイメージに刺激され、どうにか自分でもサラ風の写真が撮りたいと考え、カメラのレンズにクリームを塗った過去を告白した。当然だが、1枚も思い通りのイメージは得られなかったそうだ。
会期中の一部期間、ショップの3階と、10階にあるレストラン、ベージュ アラン・デュカス 東京でもサラの作品が展示されている。
サラ ムーン写真展「巡りゆく日々」
会場
シャネル・ネクサス・ホール
東京都中央区銀座3-5-3 シャネル銀座ビルディング4階
開催期間
2018年4月4日(木)〜2018年5月4日(金)
開催時間
12時00分〜19時30分
休館
無休
入場料
無料