イベントレポート

「第9回新宿クラシックカメラ博」が開幕 初日の模様をレポート

土・日にはトークショーやジャンク品コーナーも

写真愛好家にとって夏の風物詩ともいえる「新宿クラシックカメラ博」が今年も新宿高島屋11階催会場で8月16日に開幕した。9回目を迎える今回は18のカメラショップが出店。ここではその初日の様子をお伝えするとともに、筆者が気になったオールドカメラ・オールドレンズをいくつかピックアップしたい。

最初に、主催する写真機商振興会の会長・川田治徹さんにカメラ博のコンセプトと初日午前の様子をうかがった。

「この即売会は、多くの方々にクラシックカメラの面白さ、楽しさを知ってほしいという思いから2001年に始まりました。カメラ・交換レンズの販売は当然ですが、イベントにも力を入れており、今回もトークショーや写真展など会場内で開催いたします。

初日午前の様子としては、雨天の影響を心配しましたが、お陰さまで例年どおりの人の入りとなっております。

このところのフィルム写真ブームの影響でしょうか、フィルムカメラの動きが昨年よりも活発なようです」

フィルムカメラばかりでなく、デジタル一眼レフカメラの充実もこのカメラ博の特徴。往年の名機と出会えるはず。写真は安定した人気を誇る35mmフルサイズモデルD700などニコンのデジタル一眼レフカメラが並ぶショーケース。(大塚商会)

今回、筆者は初日の午後早くに会場に入ったが、たいへんな人の入り。ちなみにこのようなイベントでは、初日の午前中がもっとも賑わう。反面、じっくりとアイテムを見て購入を決めたいなら、それを外すのがよいと言われている。

「品揃えが充実しているのは初日ですが、それゆえ非常に賑わっています。ゆっくりとカメラ・交換レンズを見たいのであれば、それ以外の日がおすすめです。何より各ショップの店員も相談に乗ってくれやすいと思います。なお、お店によっては会期中に商品が追加されることがあります」(川田さん)

新宿クラシックカメラ博は、主催する写真機商振興会として年1回のビッグイベント。それだけに各ショップが厳選に厳選を重ねたカメラや交換レンズなどが勢揃いする。

「ショップ一押しのアイテムが一同に集まっています。気になっていたカメラ、欲しかったカメラと必ず出会えるはずです」と川田さんは語る。

来場者に話を聞いた

オートレックスPを手にするのが飯田さん。右はモデルの竹内さん。
「あれこれ悩みましたが、スタイルが好みだったことと、ライカ判とハーフ判に切り替えられることが購入の決め手でした」と言うのはカメラマンの飯田さん。スズキカメラ商会でヘキサゴン35mm F2.8付きのコニカ・オートレックスPを購入。

「仕事ではデジタルですが、個人的な作品ではフィルムで撮ることが多いですね。現在フィルムで撮る仕事のオファーが来ており、このカメラで撮るのがすごく楽しみ」と話す。

ちなみにご一緒の竹内さんもフィルムカメラ愛好家。しかも本職はモデルで、飯田さんのフィルムでの作品に登場することも多いという。カメラ博は共に今回が初めて。「フィルムで撮るのが今一番楽しい」と話すお2人である。

今回のカメラ博で開催されるトークショーは、8月19日(土)13時から石垣島在住の写真家・辺銀暁峰さんによる「クラシックカメラとコンディション」、20日(日)13時からは富士フイルム・上野隆さんによる「フィルムとデジタル、それぞれの魅力」を予定。

また、デジタル一眼レフカメラのセンサー清掃コーナー(対象カメラはキヤノンおよびニコン)を開設するほか、土日限定のジャンク品コーナーも予定されている。

クラシックカメラ博の目玉の1つ、イメージセンサーの清掃コーナー。この展示即売会に出店し、カメラのメンテナンスでよく知られているユー・シー・エスが担当する。対象はキヤノンおよびニコンのデジタル一眼レフカメラで、1台税込1,000円。そのほか、このコーナーではモルトプレーン交換(税込6,000円)と外観清掃(税込500円)も行っている。

楽しかった夏休みが終わり一抹の寂しさを感じている写真愛好家も少なくないかと思う。しかし、このイベントに出向き、憧れのカメラ・交換レンズを鑑賞し、さらに手に入れればそんな思いも一気に吹き飛ぶはず。

このカメラ博でもライカの数は圧倒的。バルナック型およびM型とも主要なモデルはほぼ揃っていると言っても過言ではない。もちろんデジタルのライカにしてもそうで、憧れのあのモデルをじっくりと手にとって見られるはずだ。(ステレオカメラ)

「第9回新宿クラシックカメラ博」は8月22日(火)まで新宿高島屋11階催会場で開催。営業時間は10時~20時。ただし、18日(金)と19日(土)は20時30分まで、最終日22日(火)は16時閉場。

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OLYMPUS E-5+ZUIKO DIGITAL 14-54mm F2.8-3.5

オリンパス最後のデジタル一眼レフカメラ。強力な防塵防滴ボディに1,230万画素Live MOSセンサーを搭載。手ブレ補正機構は約5段分の補正効果が得られ、さらに視野率100%、倍率1.15倍のファインダーなど隙のないスペックを誇る。(スズキカメラ商会)

ミノルタ試作レンズ各種

いずれもシリアル番号が極めて若いロッコールレンズである。試作品と言うことであるが、一応きちんと絵を結ぶと言う。あくまでも推測だが、ミノルタがコニカと合併したときに放出されたもののように思われる。(カメラのヤマゲン)

カールツァイスDistagon T*28/2 ZF

ニコンFマウント用のディスタゴン。画面周辺部まで鮮鋭度が高く、ディストーションが極めて少ないことでよく知られたレンズだ。MFゆえに、じっくりと被写体と対峙するような撮影に特に適しているように思える。(ユー・シー・エス)

コンタックスCarl Zeiss Tessar T* f/2.8 45mm 100周年

テッサーレンズが誕生して100周年を記念し2002年に発売された限定モデル。レンズ構成自体はレギュラーモデルと同じだが、アルミ合金を外装に用いるほか、100周年の記念ロゴが鏡筒に入るなど細かな部分が異なっている。(日東商事)

コニカHEXANON AR 57mm F1.2

HEXANON AR 57mm F1.2は細かな変更が幾度もあったレンズで、写真の個体は最後期型(第4世代)と言われるものである。光学系は6群7枚。前玉もさることながら後玉の大きさにも驚かされる。(鈴木特殊カメラ)

Zeiss Ikon+カールツァイスPlanar T* 50/2 ZM

75mmもの基線長を誇ったレンジファインダー機。露出制御はマニュアルのほか、絞り優先AEも可能。最高速は1/2,000秒を実現するなど、同時代のライカレンジファインダー機を凌駕していた。(ワカイカメラ)

蔵CURA 利きフィルム

蔵CURAの扱うフィルムの詰め合わせセット。カラーネガ2本(アグファVista200、同400)、カラーポジ1本(アグファCT100)、モノクロフィルム2本(ローライRPX100、同400)に加え、フィルムケースが付く。もちろん、いずれも新品。(蔵CURA)

【注意】掲載した商品は全て取材時のものです。すでに完売や予約済みになっているものがあることをご承知置きください。

大浦タケシ

(おおうら・たけし)1965年宮崎県生まれ。日本大学芸術学部写真学科卒業後、二輪雑誌編集部、デザイン企画会社を経てフリーに。コマーシャル撮影の現場でデジタルカメラに接した経験を活かし主に写真雑誌等の記事を執筆する。プライベートでは写真を見ることも好きでギャラリー巡りは大切な日課となっている。カメラグランプリ選考委員。