イベントレポート
大村祐里子さんによる「PEN-Fカラー写真講座」レポート
カラープロファイルコントロールとラークリエーター使いこなしのポイントは?
2017年9月11日 16:18
オリンパス株式会社は8月26日、「PEN-Fカラー写真講座」を開催した。
ミラーレスカメラ「OLYMPUS PEN-F」が搭載する撮影機能「カラープロファイルコントロール」および「カラークリエーター」の使いこなしを伝授する趣旨の講座で、講師をつとめたのは写真家の大村祐里子さん。両機能を使って「自分なりの表現を見つける」ことを目標とした。
カラープロファイルコントロールは、色ごとの彩度を自分好みに操作する機能。レーダーチャートに用意された12色を各11段階で調整でき、ファインダーやライブビューで仕上がりの色を確認しながら撮影できる。
カラークリエーターは、画面全体の色相と彩度を操作する機能。こちらも操作UIとしてはレーダーチャートを採用する。
両機能はボディ前面の「クリエイティブダイヤル」で切り替え可能。イベント当日は参加者にPEN-Fが貸与され、大村さんによるレクチャーの後、実際にフィールドで撮影を行ない、最後にこの日撮影した写真の講評を実施する流れだった。
"自分の色"を見つけるのに適したカメラ
「ものをパッと見た時に一番最初に目に飛び込んでくるのは、色だと思うんです。何が写っているかより先に、『きれいだ』とか、『ポップだ』という印象を受ける。それが個性につながっていると私は思っています」
大村さんはPEN-Fについて、「色を直感的にいじれるすごいカメラ」と評している。大村さんによれば、写真で表現をする中で自ずと決まってくる"自分のカラー"は試行錯誤の末に見つけ出すもので、簡単に作れるものではないと話す。
PEN-Fでは今回のセミナーのテーマでもある「カラークリエーター」と「カラープロファイルコントロール」の存在が試行錯誤を助ける役割を果たしており、PEN-Fはそれができる唯一のカメラだという。
大村さんのレクチャーでは、事前にカラープロファイルコントロールおよびカラークリエーターを使って撮影した写真を例示した。
「カラークリエーターとカラープロファイルコントロールはどちらも色を操作する機能ですが、両者の違いは、調整範囲が「全体」か「部分」かです。カラークリエーターはホワイトバランスに近い感覚で使えます」
「人がたくさんいるところを撮ると特に分かりやすいのですが、カラークリエーターで全体の色味を変えると、人の顔色まで一律で変わってしまうので、そうした効果を抑えたいときは、カラープロファイルコントロールで選択的に色を変えるといいでしょう」
カラークリエーターの使いどころとしては「空や風景など構図全体の雰囲気を変えたいとき」を挙げている。
「例えば空の青や夕焼けのオレンジの彩度をちょっとだけ上げてみたりだとか、元の雰囲気を自分の好きなイメージに変えたいときに使うといいでしょう。私はあまり極端なのは好きではないので、ほどほどにしていますが、段階で設定できて加減が利くので、それもやりやすいと感じています」
「慣れてきたら、ホワイトバランス設定と併用して、より色味の方向性を強調する使い方もできます。これはあまりやりすぎると色が飽和してしまうので、気をつけてください」
「色の使い方に正解はないです。必ずしも空を青く撮る必要はなくて『自分は赤い空が好きなんだ』と思ったら、そのように設定して撮っていただいて構いません」
「その感覚が非常に大事で、自分が撮影するときにどう思ったかを大切にして、ある意味、本能というか、直感に従って、撮影に臨んでください。PEN-Fは"自分のカラー"を探すのに向いているカメラだと思います」
「カラープロファイルコントロールも方向性としては同じで、自分が良いと思った表現を見つけるために使ってください。個別の色を操作できるので、設定できる項目も多く、最初は難しく感じるかもしれません」
「彩度を下げることもできますので、慣れるまでは特定の色以外の彩度を下げる使い方、例えば『女性の口紅の色だけを強調する』といった表現をイメージするとわかりやすいでしょう」
このほか大村さんは、「やっておいたほうがいい設定」として、「LVブーストの無効化」を挙げていた。LVブーストは、ライブビュー映像の表示輝度を増幅して表示する機能。有効にすると、露出補正などの適用結果をライブビューに反映しない。
主に星景撮影など、暗所での構図やピントの確認で使われている。今回のセミナーではむしろ露出補正やエフェクト類の確認が重要な作業になるので、LVブーストを無効にすることが推奨された。
後半は、カラークリエーター、カラープロファイルコントロールの両機能を用いた撮影実習を実施。参加者は都庁舎周辺を自由に周り、両機能を試していた。
筆者の作品
カラープロファイルコントロールとカラークリエーターの指導を受けた筆者も、撮影実習で両方の機能を試してみた。
都庁舎の無機物感と時間帯不詳な感じを出したかったので、空の色を飛ばし、カラークリエーターで色相を青に振った。
非日常感を出すために、できるだけ人のいないタイミングでシャッターを切った。カラークリエーターは青を強調する設定にした。
花弁の色だけを強調するために、カラープロファイルコントロールで赤、オレンジ、イエロー、ピンクを持ち上げて、グリーンを落としている。
都庁舎広場の赤いオブジェを目立たせたかったので、カラープロファイルコントロールで赤系色以外を落としたが、後ろのマンションの色も残ってしまった。