デジタルカメラマガジン
風景といっしょに猫を写すには? 雲の動きを活かして風景を撮るには?
デジタルカメラマガジン2月号特集より
Reported by デジカメWatch編集部(2016/1/22 15:00)
1月20日発売の最新刊「デジタルカメラマガジン2016年2月号」の特集1は、「写真家50人のレンズテクニック」です。焦点距離別に各レンズの使いこなしを様々な被写体で解説します。ここではその中から2つのテクニックを採り上げます。
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【標準:35mm】ほどよい画角で背景を入れて、ネコのいる街の様子を伝える
(写真・文:内山晟)
35mmの画角で距離を詰めて想像できる程度に背景をぼかす
南仏プロヴァンスでネコを追った。プロヴァンス・リュブロン地方の村は石畳の細い道や階段が多く車は入り込めない。だから、ネコたちは自由気ままに歩き回っている。ネコたちは人見知りすることなく、すり寄って来るネコに良く出合う。
しかし、ここのネコもネコはネコ、単にネコをアップで撮ってしまっては、日本で撮ってもプロヴァンスで撮っても変わりなくなってしまう。そこで、この地方の特徴として石造りの家々のブルーに塗られたドアや窓枠、村の広場にある小さな水飲み場や石畳をネコとともに写真に写し込むことに努めた。
必要なのは標準ズームレンズだ。標準域で視野に近い35mmを使ってネコに近付けば、ほどよく背景を入れて撮影できる。上の写真では、水飲み場に現れた1匹の子ネコにぐっと近付いて、プロヴァンスらしい雰囲気を取り込んで撮った1枚。
絞り込めば街の様子はもっと写るが、ネコが背景に埋もれてしまうので、開放に近いF3.2で、背景を想像できる程度にぼかした。
【望遠:174mm】雲の動きを生かして迫力のある風景を表現する
(写真・文:木村琢磨)
F14まで絞り込むことで雲海のうねりとなめらかさを出す
雲海を撮影するときは、ただ雲海だけを撮影しても比較対象となる要素が少ないため、いまいちスケール感や奥行き感が伝わりにくい。そのため必ず比較対象物を画面に配置している。
今回は画面の中に鉄塔を配置することで雲海のスケール感が増して力強さが出た。雲海は全体を写しても絵になるが、望遠レンズで必要最小限の部分を切り撮ることで、より一層、撮りたい物を主張することができる。
雲海の動きを出すために絞りはあえてF14まで絞って、シャッター速度を1/2秒まで遅くしている。回折現象も多少出るが逆にそれを利用してディテールを柔らかくしている。
望遠レンズでは雲海のような被写体の動きを生かした作品を撮りやすい。代わりに手ブレの影響も受けやすいので三脚を使ったり、手持ちなら高感度にすることをオススメする。