デジタルカメラマガジン
丸ボケに埋め尽くされた夜景を撮るには?
ジャンプしている猫を撮るには?
カメラとレンズの疑問に答えます!
デジタルカメラマガジン8月号、特集「カメラとレンズの疑問 新108」より
Reported by デジカメWatch編集部(2015/6/19 13:52)
明日発売「デジタルカメラマガジン2015年7月号」の特集1は、「いまさら人には聞けない カメラとレンズの疑問 新108」です。62ページにおよぶ総力特集で、人気写真家40名が、Q&A形式で作品とともに疑問に答えます。ここではその一部を紹介します。
QUESTION:ふわふわとした丸いボケに埋め尽くされた夜景を撮りたい
ボケを大きくするため明るいF値を選ぶ→F1.4
絞ると光源のボケが小さくなり、開放にするとボケが最大になる。明るいレンズほどボケが大きくなるので、できるだけ開放F値が明るレンズを選ぶ。ティルト撮影をするので撮像素子よりもイメージサークルが大きいレンズを選び、フォーカスは無限遠に合わせておく。自作のフードでレンズとカメラを覆う→遮光フード
この撮影ではレンズとカメラを離して撮影する。離すと当然、周りから光が入ってきて写真が全体的に白くなる。そこで遮光カーテンの生地などで簡単な遮光フードを作って、レンズとカメラを覆うと黒がぐっと締まる。生地は専門店で必要な長さを購入可能だ。レンズを手動で動かして撮影する→ティルト撮影
カメラとレンズをそれぞれ片手で持ち、液晶モニターで確認しながらレンズを寄せたり離したりしてピントを合わせる。ボケはレンズをティルトさせて作り出す。下にあるように、かなり上下に動かすので、イメージサークルが大きいレンズが必要なのだ。QUESTION:猫がジャンプしている瞬間を撮りたい
広めの画角で猫を待ち構える→24mm
基本的に猫はどこから飛んで、どう着地をするのかは予測できない。そのため猫が飛ぶ場所を発見したらできるだけ広い画角で待ち構えておく。ただあまりにも広すぎると猫が豆粒のように小さくなってしまうので、3m先で猫が飛ぶのなら24mmくらいで待っているのが良いだろう。建物と猫の両方をシャープに写す→F11
屋根の上など少し遠くを飛んでいる猫を撮るときは、絞りをF11まで絞り、ピントの位置は無限遠のちょっと手前に合わせておく。これで手前から奥までシャープに写る。手前がぼけるからといってこれ以上絞ると回折現象で画質が落ちるので、F11までにしておくのがベストだ。素早く動く猫の動きを止める→1/2,500秒
猫は多少ぶれていても動きが表現できるが、あまりぶれすぎると単なる失敗写真になる。飛んでいる猫の場合は1/2,500秒くらいに設定し、空中を飛んでいるときに撮ると浮遊している感じが出る。ジャンプをしたら連写をして撮ると成功率が上がる。QUESTION:人物が浮かび上がって見えるスナップの撮り方が知りたい
動いている人物を止めるために光らせる→ストロボ
動いている被写体を逆光で瞬間的に止めて写す。被写体の向こう側にストロボを設置し、ワイヤレス・システムで発光。マニュアルで発光量を調整。発光量は1/4~1/8位に設定する。定常光との関係で弱めがよいのと、必要なときに上下に変更できる幅を確保しておくためだ。人物の明るさはF値で調整する→F8
ストロボ光の当たる人物の露出はF値で調整する。もっとも明るくなる光の輪郭部分が白飛びしないように設定する。あまり絞ると背景まで被写界深度内に入り、絵に立体感がなくなるのでF8にするのが良い。F8でも白飛びを抑えられないときにはストロボの発光量を落とす。背景の明るさはシャッター速度で調整→1/4秒
背景の定常光をどれだけ見せるか、さらに被写体の透ける具合はシャッター速度で調整する。背景を明るくし、被写体を透かせて背景と重ねたいときには1/8~1/4秒のスローシャッターにするのがポイント。定常光が弱く、光が足りない場合にはISO感度を上げる。反対側にストロボを置いて人物の裏から発光
雨が降り始めた日の夕方、ショーウィンドーを背景として構図を決めた。フラッシュはスタンドを用いて顔の高さに設置。フラッシュの発光量は1/4。フォーカスは人の歩く位置を予想してマニュアルで合わせておき、歩道の反対側で撮影チャンスを待った。フラッシュとカメラの間に被写体が来たタイミングで撮影
雨が降り始めた日の夕方、ショーウィンドーを背景として構図を決めた。フラッシュはスタンドを用いて顔の高さに設置。フラッシュの発光量は1/4。フォーカスは人の歩く位置を予想してマニュアルで合わせておき、歩道の反対側で撮影チャンスを待った。フラッシュとカメラの間に被写体が来たタイミングで撮影
背景と人物のバランスが重要
このテクニックのキモは定常光で撮影される背景の明るさと、ストロボで照らされた人物の明るさのバランスになる。特にシャッター速度で調整する背景が暗いとのっぺりとしてしまう。シャドウからハイライトまで一様にとらえた露出になると立体感のある絵になり、後でソフトウェアで好みに仕上げるときの自由度も高い。
(写真・文:Nagata Satoki)
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本特集では、撮影現場の再現をイラストで示したほか、撮影のポイントを写真付きで解説。また、撮影手順を色分けしたアイコンで分かりやすく説明しています。
ぜひお気に入りの撮影テクニックを見つけてみてはいかがでしょうか。