フォトコンテスト

ソニーワールドフォトグラフィーアワードが10周年を迎える

記念イベントが開催 海外受賞の影響力を受賞者が語る

ソニーが2007年よりサポートしているフォトコンテスト「ソニーワールドフォトグラフィーアワード」(SWPA)。その2017年度の受賞作品展が、東京・銀座のソニーイメージングギャラリーで開催されている。10月12日(木)まで。

SWPAは、世界最大規模を誇るフォトコンテスト。2017年度は183カ国5万5,000人から22万点超の応募があり、その中から各部門の入賞作品が決定された。

展覧会初日の9月29日、SWPAの10周年を記念して「ソニーワールドフォトグラフィーアワード 10年の歩みと今後に向けて」と題されたイベントが開かれた。招待されたのは、過去の日本人受賞者13名、選考を務めたハービー・山口さんといった面々。

出席したSWPA主催団体World Photography Organisation(WPO)のCEO、スコット・グレイ氏からは、SWPAの10年の歩みと将来についてスピーチがあった。

World Photography Organisation(WPO)スコット・グレイCEO

コンテスト開始の最初のプレス発表は2007年10月で、2009年に最初の授賞式をカンヌで開催。2012年には応募数10万点規模に成長、2013年からは授賞式の場をロンドンに移した。

このところさらに規模を拡大しており、プロフェッショナル部門の場合、2012年に約5万4,000点だった応募点数は、2017年には約110万点へと一気に伸長。一般部門も同様で、2012年の約5万2,000点に対し、2017年は約10万6,000点となっている。

興味深いのは、近年インターネットでSWPAを紹介する記事が急に増えていること。2014年に17万5,000件だったネットでの露出は、2017年になると130万1,569件へと急増。インターネットそのものの重要性が増しているのはもちろんのこと、SWPAはオンラインで応募できるコンテストだけに、インターネットとの親和性の高さがうかがえる。取り上げるメディア側も、ネット応募のみのコンテストに対して抵抗がなくなってきたのだろうか。

欧州発のコンテストだが、とにかく国際的なのも特徴。最近は中国やASEAN諸国からの応募が多いという。これまで120カ国から、5,442名の受賞者が生まれている。

イベントに参加した野見山桂さんもそのひとりで、2016年度一般部門における最優秀賞を受賞した。

野見山桂さん(2016年度一般部門最優秀賞)

愛媛大学沿岸環境科学研究センター准教授である野見山さんは、受賞後、本国版WIREDやZOOMから掲載の依頼がくるなど、海外からの反響の大きさに驚いたという。国内メディアからの反応は少し遅く、NEWS ZEROなどの情報番組で取材を受けたほか、週刊現代のグラビアページに作品が掲載された。

今後は環境学者という本業と作品のリンクを密にするため、生命と生態系を表現する写真に挑戦するとのこと。

片山逹貴さん(京都造形芸術大学)は、実家に飾られた祖先の遺影に対していただいていた幼少期の恐怖を発展させ、遺影の中に自分が入り込む表現を作品にして応募。2017年度の学生フォーカス部門の最終選考に残り、ロンドンに招かれた。

片山逹貴さん(2017年度の学生フォーカス部門ファイナリスト)

そこで課題として、同じくファイナリストの学生2名と作品を一緒に制作することに。言葉の壁はメッセージアプリなどを駆使して乗り切ったものの、片山さんが提案したテーマ「移民問題」が(微妙な問題を想起させるため)他の2人から却下されたことをはじめ、日本と海外との認識の違いを多々感じたそうだ。

2017年度のプロフェッショナル部門静物カテゴリー2位の増田伸也さんは、腐った食べ物を花札の柄に合わせて配置する、独自のコンセプトの作品で受賞した。

増田伸也さん(2017年度プロフェッショナル部門静物カテゴリー2位)

海外のレストランで自分の作品が勝手に使われているを見て、「メジャーになった」と思ったそうだ。

SWPAの日本部門賞を選考したハービー・山口さんは、SWPAに寄せれられた多様な作品群に、写真の可能性を見たという。「ただ上手い写真を撮るだけではく、生き方や人生を表す写真。何を撮ったかではなく、なぜ撮ったかが重要になる時代」とコメントした。

ハービー・山口さん

SWPA 2018 応募受付中

現在応募を受付中のSWPA 2018は、2017年度に続いて4つの部門を用意。いずれも公式サイトから応募できる。

プロフェッショナル部門(10カテゴリー)

組写真で審査。
応募締切:2018年1月11日(木)22時

一般公募部門(10カテゴリー)

単写真で審査。
応募締切:2018年1月4日(木)22時

ナショナルアワード(日本賞)

一般公募部門への応募から、日本人写真家による作品のうち選ばれる。

ユース部門

12歳から19歳までが対象。1つのテーマ(ブリーフ)に沿った作品のうち、最高の1点を選定。
応募締切:2018年1月4日(木)22時

学生フォーカス部門

写真を学ぶ学生が応募できる。
応募締切:2017年12月4日(月)22時

第10回 ソニーワールドフォトグラフィーアワード 2017年度受賞作品展

会場

ソニーイメージングギャラリー銀座
東京都中央区銀座5-8-1 銀座プレイス6階

開催日

2017年9月29日(金)〜10月12日(木)

開催時間

11時〜19時

休廊日

なし

入場料

無料