ニコンプラザ仙台がオープン。「震災復興の拠点に」


 ニコンは28日、「ニコンプラザ仙台」をオープンした。写真の展示やカメラ修理の受付業務のほか、東日本大震災における復興支援の拠点としての利用を呼びかける。

ニコンプラザ仙台の入口製品展示。修理受付はこのカウンターで行なう

 仙台におけるニコンのサービスセンターは、2008年12月に業務を終了した「仙台サービスセンター」以来の設立となる。

 所在地は宮城県仙台市青葉区中央1-3-1 AERビル29F。AERビルはJR仙台駅から徒歩圏内のオフィスビル。営業時間は9時30分〜18時(日曜・祝日、年末年始を除く)。

 主な業務内容は、公募形式の「フォトギャラリー」、多目的スペース「コミュニティスペース」、修理窓口の「仙台サービスセンター」、一般向けの写真展示スペース「フォトスクエア」。

 このうちフォトギャラリーでは、オープン記念特別企画展として、木村伊兵衛写真展「秋田」を開催中。ニコンが所蔵する本物のプリントで、その終了後は土門拳「仏像」の展示に移行する。

初日のフォトギャラリーの様子。本物の木村伊兵衛「秋田」が展示中

 フォトギャラリーは、企画展や地元の作家個人や団体の展示の場になることが想定されている。

開催期間名称
2月28日〜3月13日木村伊兵衛写真展「秋田」
3月14日〜3月27日土門拳写真展「仏像」
3月28日〜4月10日ニコンフォトコンテストインターナショナル2010-2011入賞作品展
4月11日〜4月24日第59回ニッコールフォトコンテスト入賞作品展Part1
4月25日〜5月8日第59回ニッコールフォトコンテスト入賞作品展Part2
5月9日〜5月22日渡辺義雄写真展「伊勢神宮」
5月23日〜6月5日奈良原一高写真展「人間の土地」

 フロアをフォトギャラリーと2分しているのが、多目的スペースとして設けられた「コミュニティスペース」だ。セミナーなどを実施する場して設けられたものだが、ここを「復興の拠点としての場として提供したい」(株式会社ニコンイメージングジャパン取締役社長の五代厚司氏)というのがニコンの想い。ニコンの商品知識やメッセージを伝えるというよりは、写真を通じた震災復興に協力するのがニコンプラザ仙台の大きな役割という。ニコン自体も仙台ニコンが被災するなど、震災で影響は少なくない。実際、商品の展示スペースは狭い。代表的な商品については要望があれば手にとれるようにはなっているものの、銀座、新宿、大阪の各ニコンサロンよりも小規模だ。

コミュニティスペース。中学生フォトブックプロジェクトの成果物や、写真展「未来への教科書」の展示を行っていた

 現在、NPOやボランティア団体と協力して行なうプロジェクト遂行や活動の報告・展示を行なうことが発表されており、復興支援活動の拠点として利用されることも考えているという。

 例えば現在コミュニティスペースでは、ニコンが支援した「中学生フォトブックプロジェクト」で制作されたフォトブックや、特定非営利活動法人映像情報士協会を母体とする復興支援メディア隊の活動による写真展「未来への教科書」が開かれている。これは被災地域の中学生が撮影した作品をまとめたもの。子ども自身が写真を通じて発信する機会を作ることで、子どもを後押しする活動となる。ニコンはこの活動に機材を提供している。

ニコンプラザ新宿と同様、アマチュアが無料で利用できるフォトスクエアが設けられているニコンプラザ仙台の佐藤哲郎所長。先週までニコンプラザ新宿に務めていたという。開所にあわせて故郷仙台に戻ることになったそうだ。スタッフ5名は全員が仙台出身

 同日行なわれた開所式で、ニコン副社長執行役員兼CFOの伊藤純一氏は「名取市の仙台ニコンも地震で被災しました。約1カ月で操業は復旧したものの、従業員の状態や地域の様子からは、復旧への道のりにはまだ厳しいものがあると感じています。被災された方々が震災を乗り越えるお手伝いをしたいと考え、『写真の力で復興支援を』をスローガンに、地域に根ざした様々な取り組みを進めます」と挨拶。ニコンプラザ仙台を復興の拠点として位置づけた。

 乾杯の発声をしたニコンイメージングジャパン取締役社長の五代厚司氏は、「6月の末から7月にかけ、ニコンとしてどんな復興支援ができるのかを現地の方にインタビューさせていただきました。その中で感じたメッセージが『仙台に来て欲しい』、『通常の生活に戻りたい』、『笑顔を取り戻したい』でした。そこから考えてかたちになったのが、ニコンプラザ仙台になります。この場所が復興支援の拠点となり、携わる方の交差点となるよう、切に願っております」と述べた。

ニコン副社長執行役員兼CFOの伊藤純一氏ニコンイメージングジャパン取締役社長の五代厚司氏



(本誌:折本幸治)

2012/3/2 20:22