リコー、手ブレ補正を搭載した「GR DIGITAL IV」
リコーは、コンパクトデジタルカメラ「GR DIGITAL IV」を10月中旬に発売する。価格はオープンプライス。店頭予想価格は8万円前後の見込み。
GR DIGITAL IV |
なおリコーが同日発表した、「GR DIGITAL IV ホワイトエディション」についてはこちらを参照されたい。
2009年8月に発売した「GR DIGITAL III」の後継機種。シャッタースピード換算で3.2段分の効果という手ブレ補正機構を搭載した。35mm判換算28mm相当、開放F1.9の単焦点レンズ、有効1,000万画素の1/1.7型CCDセンサーをGR DIGITAL IIIに引き続き採用し、本体サイズや対応バッテリーもGR DIGITAL IIIから据え置いた。撮影可能枚数は370枚から390枚に向上している。
外観はGR DIGITAL IIIをほぼ継承したが、前面グリップ幅を調整し、背面の親指スペースも拡大。十字ボタンは斜め移動がしやすいという一体型に変わった。ほかにもカメラ前面上部の稜線をシャープにし、ホットシューの位置を0.3mm下げるなどの変更を施した。
製品コンセプトは「最強のストリートスナップカメラ」。同社は2009年12月にユニット交換式デジタルカメラ「GXR」を発売したが、引き続きGR DIGITALシリーズをリコーデジタルカメラのフラッグシップと位置づけ、ターゲット層も変えないという。
画質面では、光学フィルターの改良と画像処理の最適化によりSFR(空間周波数応答)特性を向上し、解像感を高めたとしている。SFR特性は光学系から画像処理まで含めたデジタルカメラの解像特性を測るもので、レンズ性能を評価する指標であるMTFに画像処理の評価も加えたものという。
画像処理エンジンは「GR ENGINE IV」を新搭載。高感度撮影時の色ノイズ低減を図ったほか、ホワイトバランスのアルゴリズムも進化したという。カラーバランスのチューニングも実施。GR DIGITAL IIIではシーンによって空の青などがマゼンタがかることがあったが、GR DIGITAL IVでは銀塩の頃からファンに“GRブルー”と呼ばれていた青の再現も意識したという。
各種アクセサリーの装着例 |
また、「GR DIGITAL」(2005年9月発売)以降の同シリーズで省略されていたパッシブAFセンサーが復活。外部AFセンサーとコントラストAFを組み合わせることでフォーカス時間を短縮するという「ハイブリッドAFシステム」として利用可能になった。AF合焦速度は最短約0.2秒で、GR DIGITAL III比で最大1/2の短縮になるとしている。マクロ時はコントラストAFのみを用いるが、アルゴリズム改良により同じくGR DIGITAL III比で1/2の合焦速度を実現したという。
ハイブリッドAFシステムは、シャッターボタンを全押しするとあらかじめ指定した距離にフォーカス・撮影する「フルプレススナップ」機能にも応用。GR DIGITAL IVでは距離指定に「AUTO」が加わり、設定時はパッシブAFセンサーでフォーカシングする。
GR DIGITAL IVが採用する同システムは、2月に発売したコンパクトデジタルカメラ「CX5」の同システムを進化させたものという。独自開発の外部AFセンサーは、2つのCMOSセンサーを使用した2次元エリアセンサー。最大190のAFポイントを持つ。
外部AFセンサー | 外部AFセンサーの搭載によりAF補助光、マイクの位置などが変更 |
オプションで「メタルレンズキャップ」(GL-1)を用意。フードアダプターなどを装着するバヨネット部に取り付けるもので、電子接点を利用して装着時に電源ボタンを無効化する。「バッグの中などで勝手にカメラの電源が入ってしまう」というユーザーの要望に応えたという。キャップ装着時も再生モードを起動することは可能。
メタルレンズキャップ「GL-1」。電源ボタンロック機能付き |
撮影モードには「ダイナミックレンジ補正」を搭載。領域ごとの補正によりハイライトの白飛びと暗部の黒潰れを軽減するという。従来から採用する連写合成の「ダイナミックレンジダブルショット」に加え、ワンショットでの補正撮影も可能とした。
画像設定には、往年の名フィルムを思い出させるという「ポジフィルム調」と、低彩度・高コントラストな銀残し効果を与える「ブリーチバイパス」を追加した。いずれも既存の「クロスプロセス」や「ハイコントラスト白黒」と同様に、オート/P/A/S/Mの各モードで使用できる。アスペクト比には16:9が加わり、既存の4:3、3:2、1:1とともに利用できる。記録画質設定にはRAWファイルのみを記録するモードを追加した。
ポップアップ式のストロボを搭載 |
シーンモードには星景写真に向くという「インターバル合成モード」を追加。一定間隔で撮影した画像の高輝度画素データのみを置き換え合成することで、星の光跡と夜景の点光源といった輝度差のある被写体を両立させた写真をカメラ単体で撮影できる。シーンモードは再編を行ない、「ジオラマ」、「トイカメラ」といったモードは最新のCXシリーズおよびGXRのように画像設定に移動した。
オートブラケット機能も強化。従来の露出、ホワイトバランスのほかに「コントラストブラケット」、「ダイナミックレンジ補正ブラケット」、「画像設定ブラケット」を搭載した。画像設定ブラケットは任意で選択した2つの画像設定で3枚のブラケット撮影を行なうもので、1度の撮影で「クロスプロセス」、「ブリーチバイパス」といった異なる設定の画像を記録するようにもできる。
「バルブ撮影」および最大5枚までの「多重露光」も可能とした。多重露光は撮影枚数に応じた露光量の自動調整、合成前画像の保存などを細かく設定できるという。ケーブルスイッチは端子の変更に伴い「CA-1」が利用不可となり、新たに「CA-2」をラインナップした。
ケーブルスイッチ「CA-2」 | 対応バッテリーはGR DIGITAL IIIと同じ |
液晶モニターは、RGBにW(白)の画素を追加することで高輝度対応としたパネルを採用。最大輝度での明るさはGR DIGITAL III比で約1.7倍としている。画素数は92万ドットから123万ドットとなったが、表示解像度はVGAで同じ。自動で輝度を調整する機能を新たに搭載した。
十字ボタン左の「Fn1」およびセルフタイマーと排他利用の「Fn2」ボタンの機能設定をペアで記録し、その組み合わせを瞬時に切り替えられるという「Fnボタンペア設定」機能も新たに加わった。
マイセッティングは保存可能数が6から12に増加。従来同様、モードダイヤルのMY1〜MY3に割り当てられる。SDメモリーカードにマイセッティングを書き出す機能も搭載した。
電子水準器はアオリ方向にも対応。インジケーターは従来とほぼ同様の位置・大きさで撮影画面に表示され、アオリ方向の傾きも同じインジケーターで示す。
再生画面のカレンダー表示を「RICOH PX」(2011年6月発売)から継承。撮影日を選択すると、1枚目に撮影した画像を表示する。
GR DIGITALシリーズで初めて無線LAN内蔵のEye-Fiカードに正式対応。通信状態をアイコンで表示できるようになった。
アクセサリーは上述のケーブルスイッチを除き、純正のケースやワイドコンバージョンレンズ、ストロボなど多くをGR DIGITAL IIIから流用可能。発売済みのHDMIケーブル「HC-1」にも新たに対応した。
アクセサリーに本革製ハンドストラップ「GS-2」を追加。GRロゴ付き |
製品名 | GR DIGITAL IV | GR DIGITAL III |
有効画素数 | 1,000万 | |
撮像素子 | 1.7型 | |
画像エンジン | GR ENGINE IV | GR ENGINE III |
最短撮影距離 | 1cm | |
最低感度 | ISO80 | ISO64 |
最高感度 | ISO3200 | ISO1600 |
手ブレ補正機構 | センサーシフト式 | - |
AF方式 | ハイブリッドAF (CCD+外部AF) | CCDコントラスト式AF |
内蔵メモリー | 40MB | 88MB |
液晶モニター | 3型VGA (RGB+W、123万ドット) | 3型VGA (RGB、92万ドット) |
充電池 | DB-65(DB-60も対応) | |
サイズ | 108.6×59.8×32.5mm(CIPA基準) | 108.6×59.8×25.5mm(突起部含まず) |
重量(本体のみ) | 190g | 188g |
【2012年4月25日】仕様表の本体サイズに誤りがあったため修正しました。
2011/9/15 14:00