マグナム・フォトの写真家が取材したエイズ治療の最前線「命をつなぐ」展


 世界エイズ・結核・マラリア対策基金(世界基金)とマグナム・フォトは、写真展「命をつなぐ」を9月5日から開催する。

マリ(c)Paolo Pellegrin / Magnum Photos


 わずか30年足らずの間に、世界で3000万人もの命を奪ってきたエイズに、近年「静かなる革命」と呼ばれるほどの変化がおきています。1990年代半ば、複数の抗HIV薬を併用した新しい治療法が始められたことにより、先進国では、エイズは「死の病」から「慢性病」へと劇的な変貌を遂げました。しかし、エイズ患者の大半が住む貧しい国には、高価な薬を買う資金がなく、また治療を支える保健医療体制も不十分で 、患者には治療へのアクセスがありませんでした 。急拡大するエイズの流行を食い止めようと国際社会が動き出したのは、21世紀を迎えようとする頃のことです。日本も含む先進国や世界基金などの国際機関が、発展途上国におけるエイズ治療の実現のために支援を開始したことで、ここ数年、アフリカやアジアの貧しい国でもエイズ治療が可能になり始め、何百万人もの命が救われるようになってきました。

 しかし、一人ひとりの人生にエイズはどのような影響を与え、治療にアクセスできたことで何が変わったのでしょうか。本展では、マグナム所属の写真家8名が9カ国のエイズ患者を 同時並行的に取材し、エイズ患者の命と人生に劇的な変化をもたらしたエイズ治療のインパクトを、約550点の作品を通して紹介します。そこには、数ヶ月前までベッドに横たわっていた人々が、治療を開始したことにより元気を取り戻し、たくましく生きる姿が鮮やかに表現されています。同時にまた治療の開始が遅すぎて命を落とした人々のストーリーも語られています。これまであまり語られることのなかったエイズ治療の最前線を捉えた作品は、われわれ人類 がエイズとの闘いのどこに位置するか、鋭く私たちに訴えてきます。

 マグナム所属の写真家8名が9カ国のエイズ患者を同時並行的に取材し、エイズ患者の命と人生に劇的な変化をもたらしたエイズ治療のインパクトを、550点の作品を通してご紹介します。 (写真展資料より)

 ワシントンDC、パリ(以上2008年)、マドリード、オスロ、ローマ、オークランド(以上2009年)、ベルリン(2010年)を巡回した写真展。東京での開催後は、ニューヨークの国連ギャラリーで10月中旬より開催予定。

 参加した写真家および撮影国は次の通り(敬称略)。パオロ・ペレグリン(マリ)、ジム・ゴールドバーグ(インド)、ラリー・タウェル(南アフリカ)、ジョナス・ベンディクセン(ハイチ)、スティーブ・マッカリー(ベトナム)、ラリー・タウェル(スワジランド)、イーライ・リード(ペルー)、ジル・ペレス(ルワンダ)、アレックス・マヨーリ(ロシア)。

  • 名称:世界基金/マグナム・フォト共同制作写真展「命をつなぐ」
  • 会場:有楽町朝日スクエア/ギャラリー(有楽町マリオン11階)
  • 住所:東京都千代田区有楽町2-5-1
  • 会期:9月5日〜9月22日
  • 時間:11時〜19時(最終日のみ18時まで)
  • 入場料:無料
  • 休館日:無休

 また会期中、下記のイベントを実施する。

  • オープニング記念講演(9月3日16時〜17時30分)※記念講演会参加申込ページで受付中
  • トークセッション「ザンビアのキャロル・ニィレンダ氏が語るエイズ、女性、アフリカ」(9月5日14時〜15時)
  • スペシャル・ゲスト・トーク Miss Universe 2007 森理世氏が語る「世界の同世代に気づいてほしいメッセージ」(9月12日14時〜15時)

(デジカメWatch編集部)

2010/9/1 18:10