キヤノン、「EOS 60D」の新製品発表会
キヤノンは26日、デジタル一眼レフカメラなどの新製品発表会を都内で開催した。
発表したのは、ハイアマチュアモデルのデジタル一眼レフカメラ「EOS 60D」、交換レンズ「EF 8-15mm F4 L Fisheye USM」、「EF 70-300mm F4-5.6 L IS USM」、「EF 300mm F2.8 L IS II USM」、「EF 400mm F2.8 L IS II USM」、エクステンダー「EXTENDER EF 1.4X III」および「EXTENDER EF 2X III」。いずれも2010年9月から2011年1月にかけて発売する製品。詳細に関しては関連記事を参照されたい。
EOS 60D | 左からキヤノンマーケティングジャパン代表取締役社長の川崎正己氏、渡辺謙さん、キヤノン常務取締役イメージコミュニケーション事業本部長の真栄田雅也氏 |
■ターゲットは“本格的に写真を始めるユーザー”
製品の説明を担当したのは、キヤノン常務取締役イメージコミュニケーション事業本部長の真栄田雅也氏。
「ハイアマチュアユーザーはもちろん、これから一眼レフカメラを使って本格的に写真を始めるユーザー」をターゲットとした。
EOS 60Dは、APS-Cサイズ相当の有効約1,800万画素CMOSセンサーやバリアングル式液晶モニターを搭載。機能面では、画像に対する味付けを分かりやすく選択できる「表現セレクト」および「アートフィルター」のほか、マルチアスペクトや動画機能「EOSムービー」を紹介した。EOS初搭載となるバリアングル液晶モニターに関しては、「構図やアングルを考えるうえで表現の幅が広がる。操作性を向上したことで、気軽に携帯していただけるカメラになったと自負している」とのこと。
キヤノン常務取締役イメージコミュニケーション事業本部長の真栄田雅也氏 | EOS 60Dは「EOS 5D Mark II」と「EOS 7D」の下位モデルという位置付け |
表現セレクト機能 | アートフィルター |
マルチアスペクト機能 | バリアングル液晶モニターを初搭載 |
マルチサブ電子ダイヤルにより操作性の向上を図る |
また、「一眼レフの魅力は豊富な交換レンズにある」とも言及。フルHD動画機能を有する「EOS 5D Mark II」および「EOS 7D」に、同日発表の「EF 8-15mm F4 L Fisheye USM」を装着して撮影したムービーを上映し、キヤノン製レンズの表現力と描写力をアピールした。「写真を愛する人たちに愛されるレンズを作りたい。レンズで写真を変えていきたいという気持ちを持ちながら、レンズを作っている」(真栄田氏)
EF-S 18-135mm F3.5-5.6 ISを装着したEOS 60D | 背面 |
両側面 |
バリアングル液晶モニターを開いたところ | 操作ボタンは1ボタン1ファンクション |
ダイヤルロックを備える | マルチコントローラーとサブ電子ダイヤルを同軸上に配置したマルチサブ電子ダイヤル |
HDMI端子など外部出力端子を側面に備える | 電源はEOS 7Dと同じリチウムイオン充電池「LP-E6」 |
EF 8-15mm F4 L Fisheye USM | 全周から対角180度までを撮影できる |
EF 70-300mm F4-5.6 L IS USM | EF 300mm F2.8 L IS II USM |
EF 400mm F2.8 L IS II USM。「EF 300mm F2.8 L IS II USM」と「EF 400mm F2.8 L IS II USM」は、スポーツや報道分野のカメラマンの要望に応え、高画質化とともに軽量化を図ったという | シャッターボタン半押し状態では手ブレを補正しない「ISモード3」を搭載した |
EXTENDER EF 2X III | EXTENDER EF 1.4X III |
「EF 500mm F4 L IS II USM」(手前)と「EF 600mm F4 L IS II USM」(奥)のモックアップを展示した |
■ミドルクラスを活性化させる決定版
キヤノンマーケティングジャパン代表取締役社長の川崎正己氏は、国内市場動向と新製品の狙いについて説明した。
キヤノンマーケティングジャパン代表取締役社長の川崎正己氏 | デジタルカメラの市場規模とキヤノンのシェア |
デジタルカメラの国内市場規模は、2007年、2008年と1,000万台超。デジタルカメラの出荷台数はリーマンショックの影響で2009年に前年割れとなったものの、2010年は1,030万台の出荷を予想した。メーカーシェアは2005年以降、6年連続での1位を見込む。
レンズ交換式デジタルカメラの市場規模は、2010年は前年比131%の140万台、2011年は150万台規模になると予想した。この中で川崎氏は、いわゆる“ミラーレス機”と呼ばれるレンズ交換式デジタルカメラについて言及。「コンパクトカメラから一眼レフへのブリッジとして、市場の拡大・活性化に貢献してくれている」とし、2011年以降はレンズ交換式デジタルカメラ市場の3割前後を占めると予想した。
デジタル一眼レフの市場規模 | レンズ交換式デジタルカメラの国内シェア |
デジタル一眼レフカメラに関して、2010年は前年比110%の104万台となる見込み。キヤノンの国内シェアは、数量ベースでは1~7月の累計で2位。7~8月では1位を回復した。金額ベースでは、比較的単価の高いミドルクラスが好調につき金額シェアで1位としており、年間シェアでも数量・金額ともに1位を目指す。
現行機種では、とりわけ「EOS 5D Mark II」や「EOS 7D」といったミドルクラスが好調とする。フルHD動画機能「EOSムービー」が、映画やコマーシャル撮影といった映像分野の市場を開拓しているという。
そのうえで川崎氏は、EOS 60Dを「好調なミドルクラスをさらにもう一段活性化させる決定版」と位置付ける。性能と使いやすさを兼ね備えた製品とアピールした。
また、交換レンズの販売数量も伸長したという。2010年は前年同期比115%となる見込み。特に高級・高性能な「L」レンズは前年同期比136%と大きく売り上げを伸ばし、過去最高の売上数量に達する勢いだとしている。中でもマクロレンズの「EF 100mm F2.8 L Macro IS USM」は、前モデルと比べて1.7倍(発売から1年間)の販売数量となっており、川崎氏も「10万円を超える商品がこれほど売れ続けるのは記録的」とコメントしていた。
ミドルクラスカメラの好調に伴い、交換レンズ需要も上向いた | Lレンズの需要も増加 |
EF 100mm F2.8 L Macro IS USMの販売数量は前モデルの1.7倍 |
■本気で「趣味の写真」を始めたいユーザーに訴求
続いて、キヤノンマーケティングジャパン専務取締役の佐々木統氏が、新製品の国内マーケティング戦略について説明した。
キヤノンマーケティングジャパン専務取締役の佐々木統氏 | EOS 60Dのターゲット顧客層 |
同氏によると、デジタル一眼レフカメラ購入者の大半は新規購入という。EOS 60Dは新規購入層をターゲットとしており、「いかに新規購入者を増やせるか、本気で写真に取り組むお客様にご支持いただけるかがマーケティング上のポイント」と話す。
新規購入者の購入動機の1位と2位は、「子どもの成長記録」と「趣味として写真を始めたい」。ミドルクラス機購入者に関しては「趣味として写真を始めたい」ユーザーの割合が多いという。
“せっかくならば、きちんとしたカメラで写真を始めたい”との気持ちを表現することから、コミュニケーションワードを「趣味なら、本気で。」に決定。コミュニケーションキャラクターは、2007年の「EOS 40D」、2008年の「EOS 50D」に引き続き、俳優の渡辺謙さんが担当する。
デジタル一眼レフカメラ購入者のうち、ミドルクラスモデルの購入者は、趣味として写真に取り組む意識のある層という |
コミュニケーションキャラクターに渡辺謙氏を起用 | 秋から冬にかけて各媒体で訴求していく |
■トークショーや即席の写真教室も
会場では、コミュニケーションキャラクターの渡辺謙氏と、EOS 50Dに引き続き宣伝写真を担当した写真家の立木義浩氏によるトークショーを実施。EOS 60Dに対する思い入れを語った。
渡辺謙氏 | 立木義浩氏 |
渡辺氏は宣伝写真を撮影している時でも、現場の写真を撮影しているという。立木氏は「この間、撮った写真を見せてもらったんですが、きちんと現場にあるものを利用しながら撮っているし、これがなかなか上手いんですよ。広告に使いたいくらい」と話す。
どこにでもカメラを持っていくという渡辺氏。映画の仕事で海外に行く機会も多く、移動時などによく写真を撮っているという。「EOS 40Dの頃からEOSシリーズ使ってきて思うのですが、デジタル一眼レフの面白いところは、思わぬ写真がたくさん撮れるところだと思います。仕事のロケは早朝とか深夜の時間帯にすることもあるのですが、そういうときに思い立って撮ってみると、面白い写真が撮れることがありますね」と感想を述べた。
司会はフリーアナウンサーの松本志のぶさん | CMのメイキング映像を上映 |
EOS 60Dのカタログ写真も担当する立木氏。掲載作品を解説する場面も | 立木氏の指導のもと、松本さんを被写体とした即席の写真教室を開講した |
2010/8/27 12:01