ニコンサロンbis新宿、村上将城写真展「es anschauen」


(c)村上将城

 ニコンサロンbis新宿は、村上将城写真展「es anschauen」を7月27日から8月2日にかけて開催する。

 ドイツに限らず、ヨーロッパの多くの国では大小関係無く全ての通りに名前が付けられている。日本では大通りに名前が付けられていることはあるが、小さな通りまで名前が付けられていることはほとんどない。京都の通りの多くは名前を持つが、大半は大通りを起点とし、その通りからどの方角を向き、何本目にあたるかを示しているものだ。つまり、小さな通りはそれ固有の名前を持っているわけではない。そのため、ドイツではどんな小さな通りでもそれぞれ独自の名前を持っていることが、日本人である作者にとって、非常に興味深いことであった。

 作品の撮影場所Bitterfeldは、作者が滞在していた Leipzigから列車で約20分の所にある旧東ドイツの街だ。かつて東ドイツ時代には化学産業で栄えたが、工場からの排煙、排水が原因で深刻な公害を引き起こした。東ドイツ側での、他都市も含んだ公害問題は89年に東西ドイツが統一された後に明るみとなる。その中でもBitterfeldはドイツ国内だけでなく、ヨーロッパで最も汚染された街とも言われている。

 公害の原因となったBitterfeldの工業施設はその後取り壊され、今はほとんど残っていない。しかし建物は無くとも、当時の面影を残す通り名は現在でもそのまま残っている。工業にちなんだ名前だけでなく、他にも滑稽な通り名も多数存在している。

 ある通りは新しく開発された工業地帯の一角に、また別の通りは街から離れた場所にぽつんと鎮座している。

 これらの通りは目まぐるしく変わる時代の流れの中で一体、何を見て来たのだろうか。それぞれの通りの端に立ち、そこを起点として眺める通りの景観と、通りから眺める街の景観を撮影しながら作者は一人、思いを馳せる。

 通り達は、これからも変わり行く街の姿を眺め続けていくのだ。カラー約40点。(写真展情報より引用)

 なお、7月31日の13時よりギャラリートークを行なう。

  • 名称:村上将城写真展「es anschauen」
  • 会場:ニコンサロンbis新宿
  • 住所:東京都新宿区西新宿1-6-1新宿エルタワー28階
  • 会期:2010年7月27日~2010年8月2日
  • 開館時間:10時~19時(最終日は16時まで)
  • 休館日:会期中無休
  • 入場料:無料

(本誌:鈴木誠)

2010/7/13 00:00