キヤノン、EOSムービーのプロ向けイベントを開催

~「ズノー」ブランドなど協賛各社のアクセサリー類も

 キヤノンは、EOSムービー、業務用デジタルビデオカメラ、放送用レンズなどを体験できる「プロフェッショナルムービー体験会2010」を3日~4日にかけて開催している。

モデルを撮影できるコーナーを設けていた会場は多くの来場者で賑わった

 4日のスケジュールなどは次の通り。入場は無料で、自由入場制だ。セミナーなどの詳しい内容はイベントサイトを参照されたい。

  • 名称:プロフェッショナルムービー体験会2010(CANON FULL HD MOVEMENT)
  • 時間:13時~19時(18時30分受付終了)
  • 会場:キヤノンSタワー3階 キヤノンホールS
  • 住所:東京都港区港南2-16-6

 キヤノンのプロ向けフルHD関連機材を揃えた体験イベントで、協賛各社もブースを構えて関連アクセサリーなどをアピールしていた。またワークフローなどに関するセミナーも実施している。

 会場にはEOSムービーが撮影できるデジタル一眼レフの体験コーナーも設置してあり、多くの来場者で賑わっていた。セミナーも毎回立ち見の出る盛況ぶりだった。

EOSムービー搭載機を動画用三脚で試すことができる外部モニターに映しての撮影体験も可能

 EOSムービーの体験コーナーでは、新モデルの「EOS Kiss X4」を始め、「EOS-1D Mark IV」、「EOS 5D Mark II」、「EOS 7D」での撮影を試すことができる。動画用雲台に載せた状態で、ステージのモデルを撮影できた。

 説明員によると「EOSムービーで撮影したテレビ番組などが業界で話題になっており、関心を持つ人が多くなっているようだ」と話す。

ハンズオンコーナーには2月発売の「EOS Kiss X4」もいくつかの交換レンズも自由に試せる
EOSムービーの作品も上映EOSムービー搭載機のラインナップ

 会場には、EOSムービーでの撮影を快適に行なうためのリグや編集ソフトなどのメーカーがブースを構えていた。その中のいくつかを紹介する。

銀一

 銀一のブースでは、米ティフェンのカメラスタビライザー「ステディカム」を展示。銀一は、2009年10月から主に小型のステディカムを取り扱っている。

ステディカム マーリンプレートのネジで前後左右のバランスを取ることができる

 ブースで人気だったのは、「ステディカム マーリン」。弓形の本体にカメラを載せるてバランスを取ることで、手持ちで移動しながら撮影しても流れるような動画を撮影できるという。価格は9万円。対応カメラ重量は227~2,270g。EOSムービーに適しているモデルとする。

 「写真を専門にしていたカメラマンがデジタル一眼レフカメラで動画を撮り始めたものの、『手持ちでは映像がブレて使い物にならない』という場合に好評を得ている。ステディカム マーリンを使うことで、自由にスナップ感覚で撮影できる」(説明員)。

 ステディカムマーリンは、同様の他社製品に比べて調整可能箇所が多いのが特徴という。おもりの重さはもとより、弓形部分の角度も変えられる。また、カメラを載せるプレートは前後と左右に微調整可能なため、ズーミングによる重心の変化に対応できる。「一眼レフはカメラは、ビデオカメラに比べてバランスが変わることが多いが、調整箇所が多くセッティングが追い込めるためよりよい映像が得られる」(説明員)としている。

 なお安定したセッティングにはコツが必要とのことで、銀一では直営の「スタジオショップ」でステディカムのセッティングや撮影方法のセミナーを実施している。

フォノン

 フォノンはZunow(ズノー)ブランドの一眼レフレンズ用ワイドアタッチメント「DWA-075」を出品していた。価格は5万2,500円で、5月28日に発売した。

DWA-075装着例

 フィルター径77mmのレンズに装着することで、焦点距離を0.75倍に変換できるレンズ。ワイドコンバーターとは異なり、ズームレンズの広角端でしか使用できない。フォノンではF値が一定のレンズでの使用を想定しており、動画用と謳っている。

 対応レンズは、キヤノンが「EF 17-40mm F4 L USM」、「EF 24-70mm F2.8 L USM」、「24-105mm F4 L IS UMS」、ニコンが、「AF-S DX Zoom-Nikkor 17-55mm F2.8 G IF ED」、「AF-S NIKKOR 24-70mm F2.8 G ED」、「PC-E Micro NIKKOR 45MM F2.8 D ED」、トキナーが「AT-X 124 PRO DX」、「AT-X 165 PRO DX」。

 「広角端が24mmのレンズであれば、簡単に18mmが得られる」と、手軽にワイド撮影ができる点をアピールしていた。

ノビテック

 「ザクト」製の一眼レフカメラ用リグなどを扱っているノビテックでは、「Zファインダー」の新製品を展示していた。これまで3倍モデルの1種類だったラインナップは「ZファインダーPro 3x」(4万1,475円)、「ZファインダーPro 2.5x」(4万1,475円)、「ZファインダーJr」(2万7,825円)の3種類に増えた。いずれも5月から発売を開始したが、バックオーダーを抱えており現在は品薄という。

ZファインダーPro 3xを新型の取付けプレートに接続したところ取付けプレート
三脚への装着例。手持ち撮影でも使用できる

 3製品とも新たにベースプレートを備え、カメラの三脚ねじ穴を使ってカメラに固定するタイプになった。従来は取付け枠をカメラに両面テープで貼付けていた。複数の機種間で使い回しが容易になるという。

 また、ZファインダーProの2つは曇り止めのコーティングを施した。2.5x(2.5倍)のモデルは、眼鏡をかけた状態では画面全体が見づらいという声などに応えた低倍率バージョンとなっている。

 実機の展示は無かったZファインダーJrは、同Proから視度調節機構や曇り止めコーティングなどを省き低価格化したモデル。ただし、レンズ自体はZファインダーProと同じシュナイダー製を採用した。また、カメラ取付け用のベースプレートが簡易なタイプになっている。

ライトアップ

 ライトアップでもデジタル一眼レフカメラ向けのリグを展示してた。ライトアップが扱っているのは米レッドロックマイクロの製品。

DSLRフィールドセット各パーツ自体はどれも発売済だが、手持ち撮影に合わせてセレクトした

 5月に発売したというリグの新パッケージ「DSLRフィールドセット」を紹介していた。デジタル一眼レフカメラを肩載せにして安定して撮影できるセット。5月から発売しており、価格は30万円ほどという。フォローフォーカスもセットに含まれているほか、外部モニターも装着できるようになっている。

ザハトラー・ジャパン

 ドイツの三脚メーカーであるザハトラーの新製品「FSB8」を展示していたザハトラー・ジャパン。FSB8は、2009年11月に発売した動画用雲台。カメラ装着機構の違いで「FSB8T」という姉妹品もある。価格はいずれも18万9,000円。

FSB8。写真の組み合わせでも、ドラッグ(粘性)の設定を上げれば安定して使用できる

 三脚取付け部分が75mm径ボールの製品としては、同社最上位のモデル。最大積載量は12kgと本来ENGカメラ向けだが、超望遠レンズで野鳥などを撮影するユーザーに売れているという。ただ、EOS 5D Mark IIと標準ズームレンズクラスといった比較的軽量な組み合わせの場合、カウンターバランスのマッチングからすると、下位の「FSB4」(8万9,250円)や「FSB2」(6万3,000円)が良いとのこと。

 動画用雲台は、滑らかな動きを実現するために粘性のあるオイルで抵抗を作り出すのが一般的だが、ザハトラーの雲台はディスクにより抵抗を生み出すため、気温が低くても抵抗が強くなりすぎることがないという。また、「こうした雲台では、斜め方向に動かした場合の滑らかさが問題になるが、ザハトラーは斜め方向の滑らかさには自信がある」(説明員)としている。

KPI

 KPI(ケンコープロフェッショナルイメージング)のブースでは、ドイツの照明メーカー「デドライト」のLEDライト「ミニDLOB」のデモを行なっていた。2009年11月から販売している。価格は10万2,900円。

ミニDLOB

 最近多くの製品が登場している撮影用LEDライトは、多数のLEDを並べた面光源タイプがほとんど。その中にあってミニDLOBは、“点光源のLEDライト”をアピールポイントにする。「くっきりとした綺麗な影で絵作りができます」(説明員)。カメラのホットシューに取付け可能で、発光部の角度も自由に変えられる。

 調光機能を備えるほか、5~58度までの照射範囲調節もできる。タングステン変換フィルターのほか、デフューザーも備えており、柔らかい照明も可能。LEDはオスラム製で、定格18Wの製品を8Wで点灯させている。余裕を持たせることで高い演色性を実現しているという。

 電源はオプションのアダプターにより探3電池×8本やビデオカメラ用バッテリーを使用できる。今後は、先端に取付けられるソフトボックスを発売する予定とのこと。

点光源になるよう、シングルLEDを採用カメラへの装着例

Studio PON

 Studio PONのブースでは、米CineFormの3Dコーデックソフト「neo3d」を展示していた。発売済で価格は53万5,000円。3D機能は搭載しながら編集機能を簡易にした廉価版の「neoHD」(10万円程度)もある。

コーデック変換後にFinal Cut Proで読み込んだところ。2つの動画が表示されているが、タイムラインには動画1本分の素材しかない

 2台のカメラを並べて撮影した3D画像を既存の編集システムで扱うためのコーデック。neo3dで右と左用の2本の動画を合成したかのようにして扱えるのが特徴。変換後はそのまま、Final Cut Pro、iMovie、Premiere、Windowsムービーメーカーなどのソフトで1本の動画を扱うように編集できる。読み込み対応形式はMOVとAVI。

 neo3dが使用するコーデックは、オリジナルの動画には手を加えることなくメタデータ領域で編集結果を規定している。そのため、編集後にオリジナルの2本の動画に戻すことも可能。また、平行方や交差法といった表示のほか、アナグリフ(赤青メガネで見る方式)にも随時表示を切替えることができる。

 「3D動画を作る際に、特別な編集システムを使いたくないというニーズに向いています」(説明員)。

同梱のソフトでも編集が可能ワンクリックでアナグリフの表示もできる



(本誌:武石修)

2010/6/4 00:00