キヤノン、ノイズを1/4に抑えた「PowerShot G11」

~フリーアングル液晶モニターが復活

 キヤノンは、従来機に比べノイズを1/4に抑えたというコンパクトデジタルカメラ「PowerShot G11」を10月中旬に発売する。価格はオープンプライス。店頭予想価格は6万円前後の見込み。

PowerShot G11新たに、フリーアングル液晶モニターを搭載した

 マニュアル露出などにも対応するPowerShotシリーズのフラッグシップに当るモデル。撮像素子のサイズは、前モデルの「PowerShot G10」と同じ1/1.7型CCDながら、有効画素数をPowerShot G10の1,470万画素から1,000万画素に変更し、画素当たりの面積を約45%向上させてノイズの低減を図った。加えて、新に2009年上半期モデルからノイズリダクションのアルゴリズムを向上させた映像処理エンジン「DIGIC4」を搭載した。新撮像素子と新DIGIC4によるノイズ低減機能を「すっきりクリアフォト」の名称で訴求する。

 すっきりクリアフォトでは、PowerShot G10と比べて、感度が同じであればノイズレベルが1/4になるほか、同じノイズレベルで2段高い感度での撮影が可能としている。従来通り、RAW記録にも対応する。RAWデータはCR2形式で、同梱ソフト「Digital Photo Professional」(DPP)による現像が可能。

 さらに、すっきりクリアフォトではダイナミックレンジが拡大し、従来より白トビや黒ツブレが軽減できる。ダイナミックレンジは、PowerShot G10の4倍という。また、オートモードの最高感度がISO1600(PowerShotG10はISO400まで)なったほか、ストロボ使用時は最大ISO800(同ISO250まで)に増感するようになった。そのほか、従来のISO3200モードが最高ISO12800(250万画素相当)になる「ローライトモード」に進化した。

PowerShot G11PowerShot G11
PowerShot G11PowerShot G11

 外観は、PowerShot G10のカメラらしいデザインを踏襲。液晶モニターは、ハイアングルやローアングル撮影に便利なフリーアングル(バリアングル)式を新たに採用した。既存モデルのユーザーからの強い要望によるもので、フリーアングル液晶モニターは「PowerShot G6」(2004年9月発売)以来非搭載となっていたが、3代を経て復活した。液晶モニターは「クリアライブ液晶V」で、約46万1,000ドットの2.8型TFTとなっている。クリアライブ液晶Vとは、クリアライブ液晶の特徴である23万ドット以上、広視野角、広色域の条件に加えてフリーアングル式であることを表す。

 従来からの光学ファインダーや、モードダイヤルとISO感度ダイヤルを2段に配置する意匠も継承した。露出補正ダイヤルも健在。ホットシューも備える。なおグリップ部のラバーは、同社のデジタル一眼レフカメラ「EOSシリーズ」で採用しているものを使用した。機種名ロゴは、プレートからボディへの彫込みに変った。

 自動シーン認識機能「こだわりオート」には、新たに人物が動いている場合の認識に関わる4シーンを追加した。これにより、合計22シーンからカメラが最適なシーンを選択するようになる。また、こだわりオート中にシャッターボタンを半押した後でも、AFおよびAEを追従し続ける「サーボAF/AE」も追加した。同機能は被写体が人物の場合のみ有効。従来、シャッターボタンを半押し後は、AFとAEが固定してしまうため、被写体が動いた場合ピントや露出が合わないことがあった。なお、目つむり検出(レックレビュー)も新搭載した。目をつむった顔を検出したばあい、アイコンを表示して知らせる。

同梱品

 また、マニュアル撮影時の「暗部補正」を改良し、「ダイナミックレンジ拡張」機能を追加した。より滑らかな階調になるという。また同機能は、撮影後にオート、弱、中、強から選択して補正することもできる。ホワイトバランスでは、2軸のマトリックスで微調整する機能も付いた。

 光学ファインダーを活かした素早い撮影が可能な「クイック撮影」機能を新たに搭載した。シャッターボタンを押す前から被写体にピントと露出を合わせ続ける機能で、シャターボタン半押し後のタイムラグが短縮できる。クイック撮影では、液晶モニターにヒストグラムを含む詳細な撮影情報を表示可能。

 従来、逆光シーンで日中シンクロ撮影を行なうとシャッター速度が最高1/500秒に制限されており、露出オーバーになる場合があった。PowerShot G10では、シーンに応じてシャッター速度を自動調節し最高速度も1/2,000秒まで広がった。またこれにより、同環境であれば、絞りを最大2段分明るく設定できることから、より遠くまでストロボ光が届くようになった。

 グラフィカルユーザーインターフェースでは、設定を切替える度に機能説明を表示するようになった。

 最大記録解像度は3,648×2,736ピクセル。画素補間無しで撮影できる感度はISO80~3200。最大640×480ピクセル、30fpsのMOV(H.264形式)動画も撮影できる。

 レンズは両面非球面レンズ1枚を含む9群11枚。35mm判換算の焦点距離は28~140mm、F2.8~4.5でPowerShot G10と同じ。最短撮影距離は50cm。マクロ時は1cmまでの接写が可能。

 記録メディアはSDHC/SDメモリーカード、MMC、MMCplus、HC MMCplus。HDMI端子も備える。電源はPowerShot G10と同じリチウムイオン充電池「NB-7L」。CIPA準拠の撮影可能枚数は約390枚。

 本体サイズは112.1×48.3×76.2mm(幅×奥行き×高さ、以下同)、本体のみの重量は約355g。

 専用ケース「SC-DC65A」も同日発売する。価格はオープンプライスで、店頭予想価格は7,500円前後の見込み。ストラップは付属しない。大きさは121×65×94mm。また、会員制サイト「キヤノンイメージゲートウェイ」限定のケースも用意する。ラインナップは「SC-DC65B」(レッド)、「SC-DC65C」(イエロー)。いずれも限定1,000個で、価格は8,500円。ケースと同色のストラップが付属する。大きさはSC-DC65Aと同じ。また、キヤノンイメージゲートウェイ限定の本革ストラップ「PSS-25」も用意する。こちらも限定1,000本で、価格は2,000円。

SC-DC65ASC-DC65Aの使用例
SC-DC65BSC-DC65C
防水ケース「WP-DC34」も用意する。価格は2万6,250円。



(本誌:武石修)

2009/8/20 13:00