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100台限定「ライカM-A ハンマートーン」の実機をチェック。ライカ銀座店のオープン20周年を記念

ライカM-A ハンマートーン “Leica Store Ginza 20th Anniversary” ※レンズは別売

ライカカメラジャパン株式会社が4月25日(土)に発売した「ライカM-A ハンマートーン “Leica Store Ginza 20th Anniversary”」の外観写真をお届けする。

本機はライカ銀座店のオープン20周年を記念した特別限定モデルとして、100台限定で販売されるフィルムレンジファインダーカメラ。レンズは付属せず、ボディ単体に特別なカメラストラップが付属する。価格は143万円。

ベースとなるライカM-Aは、2014年に登場したフルメカニカルのフィルムカメラ。機能としては「ライカMP」から露出計を外したようなイメージだが、外観にはいくつかの差異がある。

前提となるライカMPとライカM-Aの主な違いは、露出計非搭載のためボディ前面に電池蓋がないところ。上面のシャッター速度ダイヤルにはライカメーター(外付けの連動露出計)を取り付けられる溝がある。そして機能には影響しないが、ボディ前面に4本のマイナスネジが見えており、露出計を内蔵する以前のM型ライカのようなクラシカルな顔つきとなっている。

今回登場したライカM-A ハンマートーンは、前面に施された「20 JAHRE」の刻印が目を引く。Jahre(ヤーレ)とは英語でいうYears。このモチーフはオープン5周年、10周年の記念モデルにも配されていたが、今回のデザインはライカ誕生50周年記念のライカM4やM5、CLに見られたものを想起させ、より伝統的な印象を受ける。

また、上面は通常のライカM-Aにないライカクラシックロゴを刻印。添えられる文字が現在標準的な「LEICA CAMERA WETLAR GERMANY」ではなく、「ERNST LEITZ WETZLAR GERMANY」と書かれているのも特別感がある。シリアル番号も昔ながらの配置だ。控えめでありながら細部にこだわりが宿る部分は、いかにも日本企画の限定モデルらしいところ。

背面の刻印は「MADE IN GERMANY」とシンプル。上面にクラシックロゴが入っていない通常のライカM-Aでは、ここに「LEICA CAMERA WETLAR MADE IN GERMANY」と情報が集約されている。

背面のISO感度ダイヤルはメモ用で、ライカMPのように露出計との連動機構はない
付属のストラップ
付属のボディキャップを装着。金属製でずっしりと重さがあった

ハンマートーンとは

本モデルについて、ライカカメラ社の“Mr. M”ことステファン・ダニエル氏に話を聞く機会があった。

ライカM-A ハンマートーンを手にするステファン・ダニエル氏。「目立ちすぎない20周年ロゴは、“本質への集中”という日本のデザイン思想に通じる」と印象を語った

同社でハンマートーン仕上げを初めて採用したのは、おそらく1950年代の終わりに登場したスライドプロジェクターだという。他にもライカ製品では、レプロビット(複写装置)や卓上三脚にもハンマートーンは存在した。

ハンマートーンは1950〜60年代の精密工業製品において、耐久性と機能性を象徴する“ジャーマン・シグネチャー”と呼ばれるような定番的な仕上げだったそうで、今回のモデルはハンマートーン模様として、その質感を塗装で再現している。

メタリック塗料に少量のシリコーンオイルを混ぜて塗布すると、スープの表面のように塗装表面に丸い模様ができるのだという。しかし、シリコーンを含む塗料を使うと塗装ブースの洗浄ができず、専用のブースが必要になるため、引き受けてくれる業者を探すのも大変なのだとか。それが、特別なモデルにのみ採用される理由だ。

製品の大きさによって模様の大きさを調節することにも技術が必要なため、ライカM-Aのような“ハンドクラフト”のカメラに合うとのこと。これまでのハンマートーン塗装は引き受けてくれる外部業者に委託していたが、今回はポルトガルにあるライカの第2工場で塗装したとのこと。

世界1号店が銀座だった理由

ライカ銀座店がオープンした日にちなみ、4月24日(金)に都内で記念イベントが行われた。

ライカカメラ社が直営店をオープンしたきっかけは、当時の主要株主だったエルメスから「ライカはカメラとして特別な尊敬を集めているのだから、専売店を持つべきだ」と助言されたため。ライカカメラジャパンが独ライカカメラ社とエルメスジャポンの合弁会社だったことから出店先に日本が選ばれ、新宿や銀座といった場所を検討した結果、銀座に決まった。

カメラを販売するだけでなくギャラリーを併設し、撮影会やワークショップを通じて写真文化を育むコミュニティのハブとなっているのがライカ銀座店、そして後に続く世界のライカストアだ。

今回のオープン20周年を記念し、ライカ銀座店2階のライカギャラリー東京では、写真展「Timeless Vision」を7月19日(日)まで開催。これまで同ギャラリーで写真展を開催してきた国内外の写真家12名による作品35点を展示する。

ライカカメラジャパン株式会社 代表取締役社長の福家一哲氏。既存のカメラ販売店と異なる価値をどのように生み出すかの模索から始まったことを振り返り、今では国内12店舗の直営店を軸にライカの輪が広がっていると感謝を述べた
ライカカメラ社 監査役会会長のアンドレアス・カウフマン氏がケーキに入刀
ジャズ・ ヴァイオリニストの寺井尚子さんが登場。10周年記念の際にも、ライカ銀座店の2階で演奏を披露した
写真家のハービー・山口氏は過去20年の体験から、ライカという会社やそれに関わる人々から感じたヒューマニティについて語った
ライカ銀座店にも記念のケーキが登場。モチーフはライカM-A ハンマートーンだ
このページで紹介した個体を、シリアル番号まで忠実に再現していた

ライター。本誌編集記者として14年勤務し独立。趣味はドラム/ギターの演奏とドライブ。日本カメラ財団「日本の歴史的カメラ」審査委員。YouTubeチャンネル「鈴木誠のカメラ自由研究