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前ローマ教皇のライカ、約11億5,000万円で落札。全額を寄付

第47回ライツ・フォトグラフィカ・オークションのハイライト

© Christoph Welkowitz

ライツ・フォトグラフィカ・オークションは11月22日(土)、オーストリアのウィーンで第47回のオークションを開催。落札結果のハイライトをプレスリリースで発表した。同オークションは高い希少性やユニークな来歴を持つカメラ関連製品が多く扱われることで知られる。

フランシスコ前教皇のライカM-Aがチャリティーに

希少なアイテムのひとつとして、前ローマ教皇フランシスコ(1936〜2025年)に献上され、チャリティーアイテムとして今回出品されたライカが挙げられている。6万~7万ユーロの予想落札価格に対し、650万ユーロ(約11億5,000万円)で落札された。なお、その全額はフランシスコ前教皇の慈善団体に寄付され、ライツ・フォトグラフィカ・オークションも落札手数料を徴収しない。

本アイテムは特別デザインのライカM-Aとライカ ノクティルックスM f1.2/50 ASPH.のセット。ライカがフランシスコ前教皇の功績を称えて2024年に献上したもので、特別な個体に区切りの良いシリアルナンバーを与えるライカの慣習にならい、5000000番がそれぞれに刻印されている。

エリザベス2世のために作られたライカM3の1台

著名人のために作られたカメラとして、前英女王のエリザベス2世へ西ドイツ初代連邦大統領が献上するために製造された「ライカM3」も登場。トップカバーにエリザベス女王のイニシャルである「E II R」、ベースプレートにドイツ語で“エリザベス女王陛下へ – 1958年10月20日 – テオドール・ホイス”と刻まれた個体。予備も含めて2台製造されたうちの予備機が出品された。予想落札価格9〜12万ユーロに対し、15万6,000ユーロ(約2,800万円。落札手数料含む)で落札された。

依然として高い人気のライカMP

希少なライカのひとつとして有名な「ライカMP」(1956年登場)のブラックペイントの人気も再確認されたという。報道写真家向けに作られた“M Professional”を意味するというライカMPは、製造412台のうちブラックペイントが141台。その中のシリアル番号“MP-114”が出品された。予想落札価格70〜80万ユーロに対し、90万ユーロ(約1億6,000万円。落札手数料含む)となった。

4点セットの“ライカI ルクサス”がオークション初登場

また、1929年に製造開始された「Leica I Mod. A Luxus special outfit」(通称“ルクサス”。ラグジュアリーの意)は、95台が製造されるも現存は数台と言われているアイテム。カメラの外観とマッチした3×20の双眼鏡と、ゴールドメッキが施されたケーブルレリーズおよび単体距離計が付属。4点セットでオークションに出品されたのは初めてだという。30〜36万ユーロの予想落札価格に対し、36万ユーロ(約6,500万円。落札手数料含む)で落札された。

ライター。本誌編集記者として14年勤務し独立。趣味はドラム/ギターの演奏とドライブ。日本カメラ財団「日本の歴史的カメラ」審査委員。YouTubeチャンネル「鈴木誠のカメラ自由研究