ニュース
フルサイズコンパクト「ライカQ」発表会レポート
Reported by 本誌:鈴木誠(2015/6/17 16:07)
ライカカメラジャパンは6月16日、レンズ一体型デジタルカメラ「ライカQ」の新製品発表会を代官山T-SITEで開催した。
ライカQ(Typ116)は、有効2,400万画素の35mm判フルサイズ相当のCMOSセンサーと、ズミルックス28mm F1.7 ASPH.を搭載するデジタルカメラ。EVF、光学式手ブレ補正機構、Wi-Fi/NFC機能を搭載する。価格は税込58万6,440円、発売日は6月20日にそれぞれ決まった。
“100周年”の翌年
ライカの原形「ウア・ライカ」誕生から100年を迎えた2014年、同社は“誕生の地”であるドイツ・ウェッツラーで新社屋がスタートし、日本では銀座と並ぶ旗艦店に位置づける直営店の「ライカ京都店」がオープンした。
また同年は2年に一度のフォトキナイヤーであり、液晶モニターのないデジタルのM型ライカや、完全機械式のフィルムライカの発売といった、新製品の話題に事欠かない年でもあった。
関連記事
ライカ、“誕生の地”ウェッツラーで100周年イベントを開催
祇園・花見小路にオープンした「ライカ京都店」レポート
液晶がないデジカメ「ライカM Edition 60」を使ってみて
原点回帰のフィルムカメラ「ライカM-A」を使ってみて
【フォトキナ】ライカカメラ社主に聞いた「ライカM60」と今後の構想
ライカカメラジャパン代表取締役社長の福家一哲氏は、その翌年である2015年になり「今年は大丈夫ですか?」「新しい製品は全部出してしまったのではないですか?」といったストレートな質問が顧客達からも寄せられたと、冒頭の挨拶で話した。そんな中で登場したのがライカQである。
新CEO就任。ソフトとサービスにも今後注力
発表会では続いて、2015年4月にライカカメラ社のCEOに就任したオリバー・カルトナー氏が登壇。氏は2014年9月に入社して以来、世界を旅してライカファンに会い、その“重責”を感じているところだという。
ライカは昔から手仕事で造られてきて、今後も守られていくべきだと語るカルトナー氏。ライカカメラ社に入った際、現在のカメラメーカー各社がスマートフォンの台頭にショックを受けていることに驚いたという。また、カメラは低価格帯と高価格帯の二極化が進んでいることにも着目した。
これまでは「ハードウェア」に力を入れてきたという同社だが、これからは「ソフト面の開発」と「サービスの向上」も加えた3つのポイントに注力するという。また、インドのような現在拠点がない地域も開発し、ライカストアも世界中に増やしていきたいとした。
ライカカメラ社内にデザイン部門を新設
写真関連製品の責任者であるステファン・ダニエル氏は、ライカQの詳しい製品仕様を紹介した。
ライカQは、クラスで最も明るいという28mm F1.7のズミルックス銘レンズを搭載。撮像素子は35mm判フルサイズ相当のCMOSセンサーで、有効2,400万画素。APS-Cセンサーのレンズ一体型カメラとしてライカXシリーズが存在するが、フルサイズセンサーのコンパクトカメラは同社初。
ここで同社の言う“クラス”とは「35mmフルサイズセンサー搭載のレンズ一体型デジタルカメラ」であり、ライカQのほかにはソニーRX1/RX1Rが存在する。
そのほか、光学式手ブレ補正、クラス最速のAF、タッチスクリーンによる撮影・再生操作、新採用マエストロIIプロセッサーによる10コマ/秒のフル画素連写などが特徴。
シャッター速度や絞り値はダイヤルでマニュアル設定が可能。フォーカシングはAF/MF切り替えにロックの付いたノブがあり、最短撮影距離は通常時30cm、マクロ時17cm。
また、フルHD動画記録に対応。30fps・60fpsのMP4を選べる。風音低減に対応したマイクを本体に内蔵している。
Wi-Fi/NFCに対応し、リモート撮影も可能とした。専用スマホアプリを提供する。
ライカ的な撮影体験を謳う機能として、クロップ撮影機能の「デジタルブライトフレーム」がある。28mmのライブビュー画面に35mmもしくは50mmの画角を示す枠が表示され、M型ライカのように「フレームの外を見ながら撮影できる」という点を特徴とする。同モードで撮影時、JPEGはクロップした部分が記録され、RAWは28mmのフル画素で展開することもできる。
外装はトップカバーが無垢アルミニウムの削り出しで、ハウジングはマグネシウム製。レンズやダイヤルの文字にはレーザー彫刻と色入れを行なっている。デザインは新たに設立された社内のデザイン部門で行われたという。
本誌では、プロダクトマネージャーのステファン・ダニエル氏へのインタビューと、写真家によるライカQの機能解説や実写画像を交えた詳細レポートを近日掲載予定。