HP、メール送信でプリントできるA4複合機
日本HPは、A4インクジェット複合機「Photosmart Wireless B110a」を8月5日に発売する。HP Directplusでの直販価格は1万2,810円。
Photosmart Wireless B110a | 発表会場には、今秋発表予定の新ラインナップが並んだ(28日時点で詳細は未定) |
同社のラインナップ中、エントリークラスを受け持つ低価格機ながら、新機能「メールdeプリント」(HP ePrint)と「アプリdeプリント」(Print Apps)を初めて搭載。どちらもネットワーク機能を活かした機能となる。すでに海外で発表済みの製品で、今回、日本での正式展開が決定した。
■一般家庭向けでは世界初のクラウド・プリンティング
「メールdeプリント」は、B110a宛にプリントしたい内容をメールで送信すると、B110aがプリントしてくれるというもの。メール本文だけでなく、JPEGなどの添付ファイルのプリントも行なえる。初回起動時、B110aにはランダムな英数字を組み合わせたユニークなメールアドレスが割り当てられる。
対応ファイルは、PDF、World、Excel、PowerPoint、テキストファイル、メール本文。また、今秋にもJPEGに対応する。今後はビジネス向けを含むすべてのインクジェット製品に搭載するという。
日本HPでは、「お孫さんの写真をおじいちゃんの家のプリンタに送信して成長記録を見せる」、「外出先でメール受信した文書をプリントして出力することで、帰宅後にすぐ確認する」といった用途も提案している。
メールdeプリントの概念。データはHPのePrintCenterを経由し、B110aのメールアドレスに送られる |
もうひとつの「アプリdeプリント」は、プリンターからインターネット上の専用アプリにアクセスし、アプリを操作してインターネット上のコンテンツをプリントアウトするもの。現在、罫線やカレンダーなどのフォーマットを収録した「クイックフォーム」、気軽にクイズを楽しめる「数独」、キャラクターのぬり絵がプリントできる「ディズニー」、ペーパークラフトが楽しめる「ドリームワークス」、登録した地点のピンポイントの天気予報がプリントできる「Weathernews」など、ワールドワイド共通のアプリを用意しているという。
また今秋には、株式会社ぐるなびと提携し、レストラン情報や割引クーポンのお店の地図などをプリントできるアプリも投入予定。さらに株式会社クレオとは、年賀状などの印刷が可能なはがき印刷アプリケーションの提供準備を進めている。上記のWeathernewsについても、今秋から日本地域の情報に対応する予定。
タッチフレームで、アプリdeプリントを実行しているところ | アプリ、コンテンツともWebに存在する |
アプリdeプリントのコンテンツパートナー | 今秋から日本地域の情報を配信するというウェザーニューズのアプリ |
同じく今秋から参入するぐるなび | 年賀状印刷アプリなどを提供する予定のクレオ |
なお上位機では、アプリの追加が可能になる予定。価格は無料で、アプリの総数は「最低100アプリを準備している」という。アプリdeプリントの操作は、B110a前面の2.4型液晶タッチフレームで行なう。
インクジェット複合機としての基本機能は、4色独立インク、最大プリント解像度4,800dpi、読み取り解像度1,200×2,400dpiの48bitカラーCISスキャナー、IEEE 802.11nの無線LAN機能などを搭載。SDメモリーカード/MMC用およびメモリースティックデュオ用の記録メディアスロットも備える。
本体サイズは452×299×200mm。重量は6.02kg。対応OSは、Windows XP/Vista/7。PowerPC G4/G5、Intel Coreプロセッサ搭載のMacでも動作する。
■あらゆるデバイスからドライバーレスでプリント
両機能がプリンタードライバーのないデバイスからの印刷を実現することから、日本HPではスマートフォンなどPC以外の機器からのプリント需要に期待を寄せている。
7月28日に日本HPが開いた「個人向け次世代インクジェットプリンター戦略ならびに新製品発表会」で、日本ヒューレット・パッカード株式会社の執行役員イメージ・プリンティング事業統括の挽野元氏は、「10年で1度ぐらいあるかないかの革新的な製品。この場で発表できることが光栄。ネットプリンターというコンセプトで、市場をさらに盛り上げて行きたい」と、B110aの先進性を興奮気味に伝えた。
「今までプリンターは、ドライバーを介して接続したPCの周辺機器だった。これからはスマートフォンなど、いかなる情報デバイスからもプリントできる。また、プリンター自らアプリでインターネットに接続できる。2010年代から顕著な情報端末のモバイル化という流れに合った製品」(挽野氏)
代表取締役社長の小出伸一氏 | 執行役員イメージ・プリンティング事業統括の挽野元氏 |
クラウドを意識したと思われる雲の中、新ラインナップが登場した | シンガポールから送信したデータをプリントするデモを実施 |
メール本文を東京の複合機に送信 | プリントに成功 |
発表会では、会場内のB110aにシンガポールのスマートフォンからメールを送信、プリントするデモを実施した。また、「シュレック」アプリにアクセスして、塗り絵コンテンツやクーポンのプリントも行ない成功している。
日本ヒューレット・パッカード株式会社代表取締役社長の小出伸一氏は、データセンターからスマートフォンまで幅広い製品・サービス分野を擁するHPの側面を紹介。そのすべてがサービスで結ばれる将来像を説き、B110aを「クラウド時代のデバイスとしてのプリンター」と説明した。
現在、日本HPの国内シェアは8%程度。本機の投入で「3年以内に15%以内を達成したい」という。また、アプリdeプリントにおいて、他のプリンターメーカーと協業する可能性は否定した。
【2010年8月1日】HP Photosmart Wireless B110aの製品画像を正しいものに差替えました。また、デモンストレーションで使用した機種名を修正しました。
2010/7/28 18:20