ニュース
KDDIがスターリンク衛星との直接通信サービスを開始。山間部など電波圏外でもメッセージ送受信可能に
2025年4月10日 18:10
KDDIと沖縄セルラーは4月10日(木)、衛星とスマートフォンを直接つなぐ通信サービス「au Starlink Direct」の提供を開始した。国内初となる本サービスにより、山間部、島しょ部、海上など従来は通信環境の整備が困難だった地域でもテキストメッセージの送受信が可能になる。
新サービスの開始に合わせ、同社は有村架純さん出演の新CM「つながる歌・スターリンク」篇の放映を同日より全国で開始。CMでは有村さんが山間部でスマートフォンを使いメッセージを送信する様子を通じて、「空が見えれば、どこでもつながる」というサービスの特長をアピールしている。
「au Starlink Direct」は、auスマートフォンとSpaceX社の通信衛星「Starlink」が直接通信することで実現。auユーザーは申し込み不要で当面無料で利用できる。テキストメッセージ(SMS/RCS/iMessage)の送受信に加え、現在地の位置情報共有や緊急地震速報の受信も可能。AndroidスマートフォンではGoogle Geminiによる情報検索も利用できる。
対応機種は2025年4月時点で50機種。空が見える環境であれば、これまで通信が届かなかった山間部やキャンプ場、海上などでも利用できる。サービス利用中は端末画面上部に衛星のアイコンが表示される。
KDDIによると、auの人口カバー率は99.9%に達しているものの、日本特有の地形により面積カバー率は約60%にとどまっていた。「au Starlink Direct」によって、残りの約40%でも通信が可能となり、日本全土をカバーする通信環境の実現に近づく。
今回のサービス開始は、特に撮影現場など野外での活動が多いカメラマンやクリエイターにとって朗報となりそうだ。これまで電波の届かない山間部などの撮影地では通信手段が限られていたが、新サービスにより空が見える場所であればテキストメッセージを送受信可能になる。
スターリンクの特長は、従来のネットワークインフラが整備されていない地域でも利用できる点にある。au Starlink Directにおいては工事も不要で、対応スマートフォンさえあれば利用できる手軽さも魅力だ。
ただし、スターリンクによる通信には空が開けた場所であることが条件となる。建物内や樹木が密集した場所では、衛星との通信が困難になる可能性がある点は留意が必要だ。
KDDIは「当面無料」としているが、同様のサービスは海外では有料提供されているケースもあり、今後の料金体系の変更については「事前にご案内します」としている。